日系四大工作機械メーカーが収集したフランス美術の300年 愛知:ヤマザキマザック美術館

愛知県

こんにちは。
今日は、愛知県2館目は日本が誇る四大工作機械メーカーが1970年から収集したコレクションを有する美術館です。

こちら、恐らくこれまで本ブログでもなかなか取り上げてこなかった(というよりこの国、この時代の作品を所有できるタイミング、人脈、チャンス等々ある館が少ないと言った方がいいでしょうか)フランス美術を主軸に置かれています。それでは早速。

このブログで紹介する美術館

ヤマザキマザック美術館

・開館:2010年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県観光協会より転載)

・場所
ヤマザキマザック美術館 – Google マップ
→名古屋駅からすぐ近くです。

日系四大工作機械メーカーが収集したフランス美術の300年

・美術鑑賞を通して豊かな地域社の創造、ひいては日本、世界の美と文化に貢献すべく、名古屋の中心地葵町に2010年4月に開館。創立者であり初代館長でもある山崎照幸が蒐集した18世紀から20世紀に至るフランス美術300年の流れを一望する絵画作品及びアール・ヌーヴォーのガラスや家具等、ヤマザキマザックのコレクションを所蔵・公開。展示室は、壁布やシャンデリアなど往時のサロンの雰囲気を髣髴とさせる内装で、部屋を訪れたお客様が、ゆっくりと作品に向き合えるよう心がけているそうです。作家達の筆づかいまで感じていただけるように、絵画作品は、あえて額からガラス板やアクリル板をはずしています。(→え?!これ驚きました)

山崎照幸は、自身が運営していた工作機械メーカーと美術工芸品を重ね合わせ、「優れた感性の結晶で、工作機械と同様に、高度な技術とセンスが融合された世界」と表現しました。

ヤマザキマザック株式会社とは

・ヤマザキマザック株式会社は、1919年に創業、オークマ、DMG森精機、ジェイテクトと共に日系四大工作機械メーカーの一角を占める「世界のモノづくり」の基礎を支える工作機械メーカーです。工作機械は、金属やプラスティックなどの材料を加工して部品や金型を作り上げる機械で、身の回りのあらゆる製品の製造に係わることから、「マザーマシン」と呼ばれています。私たちの生活の根幹となる重要な産業として、携帯電話、自動車、飛行機、船、人工衛星など、また人工骨や関節など医療分野でもさまざまな製品を加工するのに高性能な工作機械が使われています。

ちなみに、社名の「マザック(MAZAK)」という名称は、世界で使われているブランド名で、これは世界進出の際に「YAMAZAKI」の「Y」は欧米人に発音しにくい事を考慮して「YA」を抜き、英語っぽさを出すために「I」を抜いて「MAZAK」としたそうです。英語圏での発音は「メイザック」が近いとの事。
 
※画像はヤマザキマザックHP及び日経クロステックより

コレクションの概要

・ヴァトー、ブーシェ、フラゴナール、シャルダンといった18世紀フランスを代表する巨匠たちが活躍したロココの時代から、新古典主義のアングル、ロマン主義を代表するドラクロワ、写実主義、印象派、そしてエコール・ド・パリ等、18世紀から20世紀に至るフランス美術300年の流れが一望できる内容で構成。さらに、19世紀末にフランスを中心に花開いたアール・ヌーヴォーを代表する工芸家であるガレをはじめとする、様々な作家達のガラス工芸品と家具調度品のコレクションも常設展示。なお、本館が誇るロココ絵画の名品フランソワ・ブーシェ作《アウロラとケファロス》(縦約2.4メートル、横約2.6メートルの大作)を天井高を5メートル以上とった余裕ある絵画展示空間で展示している空間は圧巻です。

主なコレクション

<フランソワ ブーシェ>※アウロラとケファロス

→たぶん、フランス絵画に詳しくない人でもこの絵、教科書とかで見たことある人いると思います。

<テオドール・ジェリコー>

※本画像は情報サイト「アートアジェンダ」から転載

…すいません、画像は少ないです、が、あとは館内の雰囲気を少しだけ載せておきます。

 

…なんか贅沢な空間ですね。Gorgeous(ゴージャス)です。
何となくここにいるとフランスの王侯貴族の館に招かれたような…一瞬だけでもそんな別世界の余韻に浸れるのではないでしょうか。

そんなヤマザキマザック美術館、工作機械メーカーというBtoBの会社がコレクションを集めたというのが不思議な気もします。フランス、ロココという「優雅で甘美な世界」…そこに工作機械同様の「高度な技術とセンスが融合された世界」を見出したヤマザキマザック元代表の山崎照幸さん、昨今STEAM(スティーム)教育が叫ばれつつありますが、山崎さんは既に(我々一般人からすると一見地味な工作機械の中に)Arts[美]が見えていたのかもしれませんね。そんなことを考えさせられる美術館でした。

※STEAM教育とは…Science(科学)+Technology(技術)+Engineering(工学)+Mathematics(数学)にArts(芸術・教養)を加え、その頭文字を取った言葉です。2006年にアメリカの技術科教師ジョーゼット・ヤークマン氏によって提唱。AI(人工知能)が劇的に仕事や生活のあり方を変え、求められる人間の仕事は単純作業から独創的な創造性と高い生産性の業務へと変わりつつある現代において、すべての職種においてScience、Technology、Engineering、Mathematicsの教養が必要となり、人間の特徴である創造的な分野「Arts」を掛け合わせ、総合的に学ぶという教育が重要だという考え方。

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