家康公没後400年を記念して創設、英国で長らく保管されていた徳川家随一の霊廟模型を展示 東京:増上寺 宝物展示室

東京都

こんにちは、マウスです。 今日ご紹介する美術館、これまでご紹介してきたお寺の宝物を展示する美術館(京都の相国寺承天閣美術館平等院ミュージアム鳳翔館、奈良の東大寺ミュージアム、岩手の中尊寺(宝物館讃衡蔵など)と立ち位置は似ているかもしれません。但しこのお寺は家康はじめ徳川家の菩提寺として建造されたものであることからどちらかというと愛知の徳川美術館などと一緒に観ると歴史好きな人にとっては整理しやすいかもしれませんね。

 …個人的にはこの美術館(お寺)、立地がすごい…東京タワーのほぼ真横に位置し、芝公園のど真ん中に設置されています。それだけ今でも徳川将軍家というのは歴史の1つとなったのではなく、今でもなおこうやって現代に生き続けているような気がします。 どんな美術館なのか…早速見ていきましょう。

このブログで紹介する美術館

増上寺 宝物展示室

・開館:2015年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、都、観光協会HPより転載)

・場所
増上寺 宝物展示室 – Google マップ

家康公没後400年を記念して創設、英国で長らく保管されていた徳川家随一の霊廟模型を展示

・平成27(2015)年、徳川家康没後400年を記念し、家康公によって徳川将軍家の菩提寺と定められ発展してきた増上寺本堂地下1階に「増上寺宝物展示室」を開設。展示の中心となるのは、英国ロイヤル・コレクション所蔵の「台徳院殿霊廟模型」。台徳院殿霊廟は二代秀忠公の御霊屋(おたまや)として、1632年(寛永9年)三代将軍家光公によって境内南側に造営された壮大な建築群で、徳川家霊廟の中で最も壮麗とされる日光東照宮のプロトタイプとなった霊廟です。当時の霊廟は、1930年(昭和5年)に国宝に指定されるも1945年(昭和20年)5月の戦災により焼失しています。

 本模型は、いまではモノクロ写真でしか往時の姿をしのぶことができない台徳院殿霊廟の主要部分が、10分の1のスケールで製作されたもので、1910年(明治43年)ロンドンで開催された日英博覧会に東京市の展示物として出品。博覧会終了後に英国王室へ贈呈され、ロイヤル・コレクションの一つとなり、英国にて保管されていたものを展示しています。

主な展示品

台徳院殿霊廟模型

・模型の製作は、東京美術学校(現東京芸術大学)が行い、古宇田実教授(建築)、高村光雲教授(彫刻)両名の監修のもと、明治末期の最高の技術をもって忠実に再現したと言われています。英国側がこの模型を日本で展示し、ひろく一般公開する意向を持ち、英国大使を通じて徳川御宗家並びに増上寺への協力依頼により本計画が実現。「展示室を開設し一般公開することは、日英文化交流にとって友好のしるしとなること、そして模型が持つ美術工芸品的、資料的、歴史的価値を多くの人に知っていただける好機だと考えて展示しています」と増上寺のHPでは述べられています。

台徳院殿霊廟模型は、本殿・相の間・拝殿・中門・透塀から成り、全体で4×6メートルもの大きさがあります。日英博覧会の後、ロンドン・キューガーデンにて公開されていましたが、その後解体され、英国王室コレクションの倉庫に保管。 2014年(平成26年)4月に日本到着後、本殿の修復及びクリーニングが小西美術工藝社により行われ、その輝きを取り戻しました。展示では本殿の屋根を外し、極彩色の内部空間を鑑賞できるようにするなど、様々な工夫がされます。

<当時の台徳院殿霊廟(モノクロ写真)>

狩野一信作「五百羅漢図」

・狩野一信作「五百羅漢図」など、増上寺所蔵の文化財を順次展示。「五百羅漢図」は江戸末期に活躍した狩野派の絵師・狩野一信により描かれた全100幅の絹本着彩画。各画にほぼ5名ずつの羅漢が描かれ、100幅あわせて五百羅漢現出の様態が、執拗ともいえるほどの描きぶりで精細に表されています。

…うーん、これを執筆しながら、これまで意外と戦火や災害で焼失した日本の国宝級の文化財って多いのではないかと感じました。前に徳島県の大塚国際美術館をご紹介した際、なぜにあそこまで世界各地の文化遺産級の陶板名画を集めることができるのかについて述べましたが、やはり文化財をもつ以上、(日本のみならず世界においても)その消失のリスクは避けては通れないということなのでしょう。

あらためて、いまの時代、いま文化財としてのこってくれた芸術作品の数々に感謝です。
そんなこんなで今日も勉強になりました。引き続き、本ブログ「絵本と、アートと。」をよろしくお願いします。

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