「もの派」を先導した韓国の現代アーティストの作品に安藤忠雄建築が融合 香川:李禹煥美術館

アートな場所

こんにちは。今日ご紹介する美術館、韓国の現代アーティストの作品を展示する専門館です。
…そういえばこれまで沢山の美術館をご紹介してきましたが、海外の作家、しかもその作家名を冠名につけた美術館はまだなかったかもしれません。(例えて言うなら草間彌生や平山郁夫の美術館が韓国にあるようなイメージでしょうか。なんとなく種々の理由で設立難しそうな気がしなくもないですが…)

そんな現代韓国を代表するアーティスト、李禹煥(イ-ウファンと読みます)、その経歴も含めご紹介していきましょう。

このブログで紹介するアート施設

李禹煥美術館

・開館:2010年
・美術館外観(以下画像は施設HP、県・観光協会HPより転載)

・場所
李禹煥美術館 – Google マップ
→こちらも直島です。(直島…何館目でしょう、ほんと沢山の美術館がありますね)

「もの派」を先導した韓国の現代アーティストの作品に安藤忠雄建築が融合

・現在ヨーロッパを中心に活動している国際的アーティスト・李禹煥と建築家・安藤忠雄のコラボレーションによる美術館。半地下構造となる安藤忠雄設計の建物のなかには、李禹煥の70年代から現在に到るまでの絵画・彫刻が展示、安藤忠雄の建築と響きあい、空間に静謐さとダイナミズムを感じることができると美術館HPでは紹介されています。海と山に囲まれた谷間に、ひっそりと位置するこの美術館は、自然と建物と作品とが呼応しながら、モノにあふれる社会の中で、我々の原点を見つめ、静かに思索する時間を与えることをコンセプトにされています。

李禹煥とは

・韓国で生まれ日本で活動する画家、美術家。慶尚南道(けいしょうなんどう/キョンサンナムド)生まれ。1956年(昭和31)ソウル大学校美術大学を中退、来日。1961年日本大学文理学部哲学科を卒業。在学中よりニーチェやフッサール、ハイデッガーなどの西欧近代哲学を学び、同時に絵画を描く。1960年に初の個展(中央画廊、東京)を行い、1968年に「韓国現代絵画展」(東京国立近代美術館)に出品。1969年の美術出版社芸術評論賞募集で、論文「事物から存在へ」が入賞、同年「現代美術の動向」展(京都国立近代美術館)とサン・パウロ・ビエンナーレに参加。

この時期の「関係項」と名づけられたシリーズ作品の特徴は、鉄板にガラス板を載せ、その上に石を置くことで、物と物の関係性を喚起させるもので、表現にあたって先行するイメージを設定してそれを再現するという方法を止め、その場における観念と現実の分裂を「状態」として示す。このように素材の生の物質的な表情をあらわにし、物の実在性を関係のなかに置き直すという、1960年代末から1970年代初頭における李をはじめとした一連の作家たちによる表現傾向は、後に「もの派」と呼ばれた。

「関係項」シリーズは、さらに油や布、ロープや綿、電球などを使用した。絵画的な平面作品では、木の板の表面をのみで刻んだり、筆と岩絵具でカンバスに点を打ったり、また反復しながら線を引いていく作品がつくられた。それらはいずれも、空間と知覚のずれや不確定性を示している点で一貫している。1971年パリ青年ビエンナーレ、1973年サン・パウロ・ビエンナーレ、1975年インド・トリエンナーレ(ニューデリー)、1977年ドクメンタ6(カッセル、ドイツ)、1986年「前衛芸術の日本 1910―1970」展(ポンピドー・センター)など、多数の美術展に参加中。

もの派とは

・1960年代末から70年代初頭にかけて現われた、「具体」と並ぶ戦後の日本美術史の重要動向。主に木や石などの自然素材、紙や鉄材などニュートラルな素材をほぼ未加工のまま提示することで主体と客体の分け隔てから自由に「もの」との関係を探ろうと試みた一連の作家たち、作品群を指す。

作品を取り囲む空間を意識させる点では、60年代後半の「環境」への注目とも関係しており、インスタレーションの先駆ともいえる。主な作家は李禹煥、関根伸夫、菅木志雄、高松次郎、成田克彦、吉田克朗、小清水漸、榎倉康二、野村仁、狗巻賢二、原口典之、高山登ら。特に李を理論的支柱として展開。彼らに目立つ「作らない」姿勢は60年代の反芸術の延長にあった極北ともいえる傾向だが、現象学を援用した李の「あるがままの世界との出会い」、関根の「概念性や名詞性のホコリをはらってものを見る」といった老荘思想経由の言葉に代表されるような、哲学・思想との強い結びつきも大きな特徴。

主な作品


→もの派の作品を見てよく思うのは、これらの作品は海外の方よりもむしろ日本人の感性に合っているだろうなということです。日本人は昔から茶室しかり、枯山水しかり、借景をベースに自然や風景を楽しむ術を知らず知らずのうちに身につけてきました。それに似たような感覚でこれら作品を見ればより一層楽しむことができるのではないかと思っている次第です。

韓国のみならず世界的に活躍されている李禹煥、その取組み・考えが世界に広まれば、おのずと日本の観光・文化などにもあらためて注目される機会になるような気がしています。そんな李禹煥美術館、安藤忠雄建築ともうまく融合し個性的な雰囲気を作り出しています。ぜひ足を運んでみて下さい。

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