生活と美術(美と結びついた暮らし)をテーマとした美術館 東京:府中市美術館

東京都

こんにちは。町田市、小平市と続き、今日は府中市の美術館紹介です。
府中の森公園内に立地しており、江戸絵画から現代美術まで幅広く扱っているのも特徴です。それでは早速みていきましょう。

このブログで紹介する美術館

府中市美術館

・開館:2000年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、都・市、観光協会HPより転載)

・場所 府中市美術館 – Google マップ

生活と美術(美と結びついた暮らし)をテーマとした美術館

・緑豊かな都立府中の森公園の中にあり、「生活と美術=美と結びついた暮らしを見直す美術館」をテーマに、2000年に開館。名作の鑑賞そして学習や創作、発表の体験を通じて、身近に美術と出会える場所として、美術館本来の使命である美術品の収集・保存・展示を活動の中心に、美術館ならではの教育普及活動も実施。 美術館の建物は、地上2階地下1階建てで、1階は誰でも無料で利用できる美術図書室や、市民ギャラリー、教育普及関係の施設、そしてミュージアムショップ、カフェなどを収容。2階は落ち着いた展示空間で江戸後期から現代にいたるコレクションを紹介する所蔵品展や企画展を観ることができます。

府中市美術館 沿革

・1983(昭和58)年4月、昭和44年、51年の長期計画に続いて、総合計画に「美術館の建設」が盛り込まれる。
・1986(昭和61)年4月、文化振興基金に美術品購入のための積み立てを開始。8月 市民参加による第一次文化懇談会から「美術文化の核となる美術館建設」の提言を受ける。

・1991(平成3)年3月、市民参加による第二次文化懇談会が美術館建設を提言。9月 市民参加による美術館建設検討協議会が「府中市美術館の基本構想について」を答申する。
・1994(平成6)年12月 文教委員会に美術館建設予定地を都立府中の森公園とすること、東北地方の個人が所有する近代洋画のコレクションを一括購入することが報告され、交渉が了承される。
・1996(平成8)年6月 文教経済委員会が、8度にわたる市民関係団体との懇談会を踏まえて修正された基本計画を了承。
・1997(平成9)年3月 文教経済委員会に、基本設計を報告。市議会が実施計画及び建設工事の予算を可決。11月 東京都が美術館の設置を許可(公園施設設置許可)。12月 建設工事着工。
・1998(平成10)年6月 洋画家牛島憲之の作品111点が遺族から府中市に寄贈される。
・1999(平成11)年9月 「府中市美術館条例」が市議会で可決、施行される。
・2000(平成12)年6月 建設工事竣工。10月14日 府中市美術館開館。
・2004(平成16)年10月 府中市制施行50周年記念「牛島憲之と昭和前期の絵画-抽象と具象のあいだ」展を開催。
・2009(平成21)年11月 府中市制施行55周年記念「ターナーから印象派へ 『光の中の自然』」展を開催。
・2010(平成22)年9月 開館10周年記念展「バルビゾンからの贈りもの―至高なる風景の輝き」を開催。
・2014(平成26)年5月 府中市制施行60周年記念「東京・ソウル・台北・長春―官展にみるそれぞれの近代美術」展を開催。9月 府中市制施行60周年記念「生誕200年 ミレー展-愛しきものたちへのまなざし」を開催。
・2019(令和元)年5月 府中市制施行65周年記念「棟方志功展」を開催。9月 府中市制施行65周年記念「おかえり 美しき明治」展を開催。

コレクション

収蔵方針

・親しみやすい近代以降の日本の美術に焦点をあて、特に西洋美術との相互関係、伝統的美意識の展開などを視野に入れ、日本近代美術の流れや特質を展望できるコレクションを形成。以下の4点を基本方針とする。

①府中市および多摩地域にゆかりのある優れた作家の作品
②国内外の主に近代以降のすぐれた美術作品
③将来性ある若手作家の作品
④その他当美術館にふさわしい美術作品および関連資料

→「親しみやすい」という枕詞がついていることが印象的です。

主な収蔵作家

あ行
靉光、亜欧堂田善、青木繁、浅井忠、浅野竹二、麻生三郎、有島生馬、五百城文哉、池田達雄、石井伯亭、石川欽一郎、井上長三郎、井上安治、猪熊弦一郎、植竹邦良、宇佐美圭司、牛島憲之、梅原龍三郎、瑛九、遠藤彰子、大久保一丘、大下藤次郎、大森朔衞、小山田二郎

か行
郭仁植、桂ゆき、金田実生、金山平三、鹿子木孟郎、加山四郎、川上澄生、川西英、岸田劉生、木村荘八、国吉康雄、倉田三郎、黒田清輝、呉亜沙、河野通勢、古賀春江、児島善三郎、五姓田義松、セザール・ド・コック、小林清親、ラファエル・コラン

さ行
斎藤義重、佐久間文吾、笹島喜平、佐田勝、佐藤多持、司馬江漢、清水登之、鈴木省三、鈴木保徳、須田寿、清宮質文、関根正二、関野準一郎、曽谷朝絵、反町博彦

た行
高橋由一、高松次郎、竹田源太郎、谷中安規、谷文晁、椿貞雄、鶴岡政男、都鳥英喜、堂本尚郎、富田有紀子

な行
中川八郎、中沢弘光、中西利雄、中西夏之、中村不折、難波田龍起、難波田史男、野田英夫、野田裕示

は行
長谷川利行、林倭衛、土方稲嶺、平塚運一、藤島武二、藤野龍、二木直巳、本多錦吉郎

ま行
前川千帆、前田政雄、牧野虎雄、正宗得三郎、増永直樹、松村健三郎、松本英一郎、松本竣介、松本民治、丸山応挙、丸山晩霞、三岸好太郎、三木富雄、水木伸一、満谷国四郎、三宅克己、宮本十久一、棟方末華、村上三郎、村山槐多、森田恒友

や行
安井曾太郎、保多棟人、安田雷洲、藪野健、山口長男、山田正亮、山本麻友香、山脇信徳、吉井忠、吉田博、吉田ふじを、萬鐵五郎

ら行
ジョセフ・ラヴ、サンドラ・ラモス、ジャン=ポール・ローランス わ行 チャールズ・ワーグマン、若林奮、脇田和、和田英作、渡辺文三郎

靉光『花』

青木繁『少女群舞』

松本竣介『ビルの横』

和田英作『三保の松原』

→HPからの抜粋なのですが、あいうえお順というのが最近ではそんなに多くなく、逆に妙に新鮮に思えました。
(一部画像など詳細は府中市美術館コレクションページを参照ください:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/museum/collection_introduction/collection.html
市立美術館でありながら質・量ともに充実したコレクション群だと感じます。

最後に、府中市美術館の現:館長である藪野健さん…この方の講義を学生時代受講していたマウスです(と言ったらあらかた素性がバレしまいそうですが)。非常にユニークな方で学生たちと周辺を散策してはスケッチブックに絵入りのメモをとり、講義ではホワイトボード一杯にサササっとスケッチしながら講義を進めるスタイルに驚いた記憶がいまだ鮮明に残っています。

そんな藪野さん、館長となった今は以下のURLでエッセイも書いているようです。
〇府中市美術館 館長エッセイ:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/museum/online_fuchuartmuseum/yabunoken_essay/index.html

私の思い出話で恐縮ですが、この藪野さん、大学院時代に建築(美術史?)を学びにスペインに留学したところ、その隣にあった美大に間違えて入学ししまったことがきっかけで本格的な画家の道を進むことになったとかなかったとか、そんな噂が当時は飛び交っていましたが真相はどうなのでしょう。その館長の藪野さんが常々言っていた絵の面白さについてコメントを最後に府中市美術館のご紹介を終わりたいと思います。

 「絵はどんな時代にも出掛けることができ、どんな人とも出逢え、またどんな場所にも訪れることができる。画中で自由に、時、人、場を行き来できる。」(藪野健)

藪野健「記憶の都市」

(マウス)

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