日本を代表する「飛脚」が集めたコレクション、大規模な水庭に浮かぶ日本画、彫刻、陶芸の逸品 滋賀:佐川美術館

滋賀県

こんにちは、マウスです。
私、前にも少し触れたかと思いますが、高校生から油彩画、社会人になって2年ほど陶芸をかじったことがあります。(といっても、簡単な茶碗が数回に1回できるかどうかレベルですが、、釉薬の塩梅などもってのほかです)

そんな陶芸を習い始めたころ、どうしても観に行きたいとある作家のとある作品が眠っている場所があり、いてもたってもいられず、半日(新幹線で)かけて観に行ったことがあります。こんな無鉄砲なことをやったのは先日のリヒター展を除き初めてでした。(リヒター展もLCCで行った私)

それが今日ご紹介する美術館です。3人の偉大な美術家のコレクションを有しているという点では、前にご紹介した直島の地中美術館に通ずるところがあるかもしれませんが、本美術館の方がより多彩な分野でのコレクションになっている気がします。それでは早速。

このブログで紹介する美術館

佐川美術館

・開館:1998年 ※今気づいたのですが、MIHO MUSEUMと開館1年差ですね。
・美術館外観、内観(以下画像は美術館HP、県観光協会より転載)

→設計・建築は大手ゼネコン:竹中工務店さんです。

・場所
佐川美術館 – Google マップ
→日本のおへそ:琵琶湖のほとりに位置しています。佐川急便の運営…なぜ佐川の美術館が守山にあるのかというと、サッカースクールに代表される佐川のメセナ事業がここ守山を拠点としているためだそうです。

日本を代表する「飛脚」が集めたコレクション、大規模な水庭に浮かぶ日本画、彫刻、陶芸の逸品

・設立母体の佐川急便株式会社が創業40周年記念事業の一環として、 琵琶湖を望む美しい自然に囲まれた近江・守山の地に1998年3月に開館。日本画家:平山郁夫氏、彫刻家:佐藤忠良氏、陶芸家:樂吉左衞門氏の作品を中心に展示。地域社会をはじめ世界に開かれた美術館を目指しているそうです。

なお、Youtubeに大変美しい公式動画が掲載されていましたので併せてご覧ください。雰囲気が楽しめると思います。

 

主なコレクション

平山郁夫

・主要所蔵品一覧:https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/hirayama/collection.html
・昭和5年6月15日、広島県瀬戸田町生まれ。日本画家。 昭和27年に東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後、前田青邨に師事し、主に院展を舞台に活動。 昭和20年の夏、広島での被爆体験がきっかけとなり、「平和を祈る心」を仏教伝来の道シルクロードに重ね合わせ、昭和43年以来「シルクロードシリーズ」を描き続ける。
また、作品制作活動のほか、世界文化財赤十字構想を提唱し、人類の文化遺産としての文物保護活動への協力を事業目的の一つに挙げて活動。「敦煌研究センター」の建設などに協力、敦煌の石窟群の保護などの活動を通して10年間で計50人を中国から招き、修復技術を伝授。 日本と中国の文化交流を深める。また、日本美術院理事長を務めるかたわら、日本人初のユネスコ親善大使やアフガニスタンの支援活動など多方面で活躍。2009年12月2日、79歳で永眠。

佐藤忠良

・主要所蔵品一覧:https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/sato/collection.html
・明治45年、宮城県黒川郡生まれ。彫刻家。少年時代を北海道で過ごし、絵画を学ぶために上京するが、ロダン、マイヨール、デスピオなど新しい生命主義の作品に感銘を覚え彫刻家を志す。東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後、新制作派協会(現新制作)を舞台に活躍。昭和19年に兵役に招集、終戦後のシベリアでの抑留生活を経て帰還後に制作を再開。その体験から、平凡なごく普通の日常生活の中でほんの一瞬だけ垣間見る「人間の美」を追求した作品を多く手掛ける。昭和56年には、パリの国立ロダン美術館で日本人初の個展を開催。その功績により、フランス・アカデミー・デ・ボザールの客員会員に推挙されるなど、国際的にも高い評価を得ている。

  
  

樂吉左衞門

・主要所蔵品一覧:https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/raku/collection.html
・昭和24年、京都市生まれ、陶芸家。日本独自の陶芸・樂焼の家系の十五代目。昭和48年に東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業後、イタリア留学を経て昭和56年十五代吉左衞門襲名、現在に至る。桃山時代に樂茶碗を造りだした初代長次郎以来、400年余りの歴史と伝統を継ぐ樂家十五代当主として、伝統に根ざしながらそこに安住することなく、常に斬新な感覚を示す造形美の世界を表現し続けている。国際陶芸アカデミー会員。

 
  

→私が冒頭に申し上げた欲求にかられて半日かけて観に行った作家さん、樂吉左衞門さんのことです。この茶碗を観るためだけに新幹線に乗りました。以前、福井市美術館のご紹介の中で高田博厚さんが龍安寺の石庭を、作為的すぎる「人間のごまかし」だと一蹴したという話を書きましたが、この樂吉左衞門さんのつくる世界(茶碗)は「作為の中にある無作為の美」が追求されており今でもマウス的に大好きな作家さんです。

なお、樂吉左衞門館では樂吉左衞門さん設計の茶室が併設されており、定期的に茶会が催されていますので興味のある方は是非ご参加ください。
(参考URL)
・茶室見学のご案内  :https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/tearoom.html
・呈茶 立礼席のご案内:https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/serve.html
・茶会のご案内    :https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/party.html

国宝:梵鐘

・なお、佐川美術館はそのコレクションの中に1点国宝を有しており、天安2(858)年に比叡山西塔の宝幢院鐘として鋳造された鐘です。正暦3(993)年に京都・岩倉の大雲寺に移され、その後も数奇な運命を経て、1998年秋当館に収蔵されることに。鐘身内には「比睿山延暦寺西寳 幢院鳴鐘天安二年 八月九日至心鋳甄」の3行24文字の銘文が逆文字で鋳ためられています。鐘身内に銘文を持つ鐘としては全国で6番目に古く、丈が高く裾開きの形状は他に例がないものです。

(付録)佐川急便とは

・最後に、本ブログらしく運営会社について触れておきたいと思います。これまでの企業美術館に負けず劣らず、東証プライムの大変有名な運送会社ですがあらためて。

佐川急便 沿革

・1957年:佐川急便創業者・佐川清が京都において京都-大阪間を主体とした飛脚業を開始
・1961年:「有限会社佐川」設立
・1965年: 佐川急便株式会社を設立
・1975年:京都自動車興業株式会社(現・佐川アドバンス株式会社)を設立
・1980年: 佐川自動車工業株式会社(現・SGモータース株式会社)を設立
・1980年:佐川航空株式会社(現・SGHグローバル・ジャパン株式会社)を設立
・1983年:佐川コンピューター・システム株式会社(現・SGシステム株式会社)を設立
・1988年:翼運輸株式会社(現・SGムービング株式会社)を子会社化
・1990年:佐川急便(香港)有限公司を子会社化
・1997年:SAGAWA EXPRESS VIETNAM CO., LTD.を設立
・2003年:保利佐川物流有限公司を設立
・2005年:佐川フィナンシャル株式会社を設立
・2006年:純粋持株会社体制へ移行、SGホールディングス株式会社を設立
・2006年:SGホールディングス株式会社が、佐川急便株式会社から佐川グローバルロジスティクス株式会社(現・SGHグローバル・ジャパン株式会社)他子会社10社の株式を譲受
・2007年:SGリアルティ株式会社を設立
・2008年:佐川ロジスティクスパートナーズ株式会社(2019年4月に佐川グローバルロジスティクス株式会社を存続会社とする吸収合併により消滅)を設立
・2009年:ワールド・ロジ株式会社が保有する株式会社ワールドサプライの全株式を譲受け、同社を子会社化
・2011年:SGエキスパート株式会社を設立
・2011年:SGフィルダー株式会社を設立
・2012年:SG HOLDINGS GLOBAL PTE. LTD.を設立
・2013年:佐川グローバルロジスティクス株式会社において、SGHグローバル・ジャパン株式会社に商号を変更するとともに、会社分割により佐川グローバルロジスティクス株式会社を新設し、国内ロジスティクス事業を承継
・2013年:シンガポール国内の物流事業強化のため、AMEROID LOGISTICS(S)PTE. LTD.(現・SG SAGAWA AMEROID PTE. LTD.)を買収
・2013年:当社グループの国内ネットワークを生かした高品質な一貫物流サービスの提供を目的とし、SG SAGAWA USA, INC.を設立
・2014年:国際貨物事業の拡大を目的とし、スリランカの物流会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCを買収
・2015年:ベトナム国内で貨物・物流サービスを行うための事業会社として、SG SAGAWA VIETNAM CO., LTD.を設立
・2016年:株式会社日立物流と資本業務提携契約を締結
・2016年:ベトナムにおけるデリバリー事業の拡大・強化と顧客基盤拡大を目的とし、Phat Loc Express and Trading Joint Stock Company.(2017年3月にSG SAGAWA EXPRESS VIETNAM., LLCへ商号変更、2019年4月にSG SAGAWA VIETNAM CO., LTD.を存続会社とする吸収合併により消滅)を買収
・2016年:電報類似サービス事業の拡大を目的とし、株式会社VST(現・佐川ヒューモニー株式会社)を設立
・2017年:東京証券取引所市場第一部に株式を上場
・2019年:ベトナムにおける車載冷凍冷蔵設備の供給事業を目的として、SG Motors Vietnam Co., Ltdを設立
・2020年:東アジア及び中国におけるロジスティクス事業の拡大を目的として、上海虹迪物流科技有限公司を買収
・2022年:東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

→うーん、、さすがすごい歴史です。

Grow the new Story~佐賀急便 会長挨拶

以下は佐川急便(現:SGホールディングス)の会長あいさつでHPからの引用です。
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・私たちSGホールディングスグループは、川上から川下まで、お客さまのあらゆる物流ニーズにお応えする総合物流企業グループです。1957年の創業以来、お客さまのために何ができるかを常に考え、誠心誠意尽くすという「飛脚の精神(こころ)」を受け継ぎながら物流ビジネスを展開してまいりました。そして、「信頼・創造・挑戦」を企業理念として掲げ、お客さまへ新しい物流の価値を提供するために、日々、挑戦を続けております。

近年、私たちを取り巻く社会環境は、かねてからの課題である少子高齢化による労働人口の減少に加え、政府目標である2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み、AI・IoT技術の進化、DX推進など、過去に類を見ないほどのスピードで劇的な変化が起こっています。さらに新型コロナウイルス感染症の蔓延など、誰もが予測しない新しい時代へ変化しております。

このような急激に変化する社会環境に対応するため、2030年に向けた新たな長期ビジョン「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を掲げました。このビジョンには、お客さまや多様なパートナー、そして仲間たちと力を合わせて物流を変革し、未来を導く価値の創出を目指していく、そういった想いが込められています。

この新しい長期ビジョンに向けた一歩である最初の3か年計画「SGH Story 2024」が2022年度からスタートしました。この3か年計画の基本方針は「持続可能な成長を実現する次世代の競争優位性創出」とし「総合物流ソリューションの高度化」「競争優位創出につながる経営資源の拡充」「ガバナンスの更なる高度化」に取り組んでまいります。

私たちSGホールディングスグループの強みは、お客さまとの接点の中心であるセールスドライバー®の情報収集力。そして、デリバリー、ロジスティクス、不動産、IT、車両整備などさまざまなリソースを活用し、お客さまのあらゆるニーズに対応する総合力です。この強みを最大限活用して社会にもお客さまにも価値のある物流サービスを提供し、皆さまと共に成長し続けていくために、これからも事業活動に真摯に取り組んでまいります。

今後も「飛脚の精神(こころ)」を源泉に、時代に適応する最適なソリューションを提供することで、ステークホルダーの皆さまに信頼される企業グループを目指してまいります。皆さまにおかれましては、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。(SGホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長:栗和田 榮一)
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→こんなに佐川急便のこと調べたの初めてでした;
皆さん、宅配便があるときは佐川急便を使いましょう…とテキトーなこと言いながら終わるのもどうかと思いますが、佐川美術館、本当に3人の作家の織りなす美と竹中工務店さん設計の水庭に浮ぶような建築美、心が洗われるようです。

皆さんもぜひ滋賀県に行かれた際は、この佐川美術館を一度ご来館ください。きっと日本の飛脚に感謝したくなると思います。

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