人間の生と表現芸術の世界を追求する現代の古墳、19世紀以降の写真・映像をとりまく状況や歴史を検証 静岡:クレマチスの丘(IZU PHOTO MUSEUM)

静岡県

こんにちは。本日も静岡県が誇る文化複合施設「クレマチスの丘」からご紹介です。こちら19世紀以降の写真・映像作品を中心に芸術多方面で活躍されている杉本博司さんの設計による美術館です。それでは早速。

このブログで紹介する美術館

クレマチスの丘(IZU PHOTO MUSEUM)

・開館:2009年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県・市観光協会HPより転載)

※現在休館中です

・場所
IZU PHOTO MUSEUM – Google マップ

人間の生と表現芸術の世界を追求する現代の古墳、19世紀以降の写真・映像をとりまく状況や歴史を検証

・現代美術作家、杉本博司氏の設計(内装・坪庭)。19世紀以降変容してきた写真・映像をとりまく状況や歴史を検証・提示しながら、企画展を中心とし、人間の生と表現芸術の世界を享受する美術館の実現を目指しているそうです。(以下は本美術館建築にあたって杉本博司氏のコメントです)
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・−(略)私は自然石の平積みによる石垣を作ろうと思っていたのだが、大きな石を並べ替えるうちにその姿は次第に古墳の石室のような姿になっていった。組み上げてみるとちょうど人一人が横たわるのに充分な広さだ。

そして床石、天井石、壁石と、殆ど人の手を加えずに、石と石とはお互いを支えあって、まるで今発掘されたばかりの古墳の石室のような姿で自ずから現れてきた。私はこの現場を私が指図しているのか、それとも石によって私が指図されているのか、判断がつかなかった。

 この場所はちょうど富士山の裾野部分に位置している。私はこの土地にいつ頃から人が住み始めたのかを調べてみることにした。すると近辺には縄文時代の遺跡をはじめとして、古墳時代の古墳が散在していることが判明した。多くは農地開発で取り壊されてしまったが記録のあるものもある。

そのうちの一つ、原分古墳は神社の境内にあった為に保全されていた。
おそらく古墳を神の依代として土地の人々が崇め、やがてその地に神社が建てられたのであろう。私は現場から数キロしか離れていないこの古墳を訪ねてみた。

そして私が試みようとしている、もしかして完成の暁には現代美術と呼ばれてしまうかもしれない私の石組みが、すでにお手本としてそこにあることを知って、不思議な思いに捕われた。(略)—「作庭記」『杉本博司 光の自然』より

過去の展覧会

・過去の展覧会の開催の様子は以下のURLから確認することが可能です。
●IZU PHOTO MUSEUM展覧会情報:http://www.izuphoto-museum.jp/exhibition/past.php

(参考)杉本博司とは

・東京都生まれの写真家、美術作家。1970年(昭和45)立教大学経済学部を卒業後、渡米。ロサンゼルスのアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学び、1974年ニューヨークに移住。当時のアメリカ美術のメイン・ストリームを形づくっていたミニマル・アートやコンセプチュアル・アートの影響のもとに制作活動を開始。

1970年代後半から「ジオラマ」「劇場」「海景」という写真作品のシリーズを並行して発表。8×10インチの大型カメラを用いて対象を精緻にとらえたそれぞれの作品は、厳格なコンセプトに基づいて自らの内的ビジョンを視覚化したもので、写真というよりはむしろコンセプチュアル・アートとして評価され、次第にニューヨークの美術界で注目を集めるように。

三つのシリーズはそれぞれにまったく違う性質のものであるが、すべてに一貫して流れているテーマは時間であった。「ジオラマ」シリーズでは、各地の自然史博物館に展示されている動物標本を撮影。色鮮やかに再現され今にも動き出しそうな剥製を白と黒の厳格な階調のなかへと移しかえることによって、静止した時間を浮かび上がらせた。一方、「劇場」シリーズでは、1920年代から30年代にかけて建設された豪華な装飾の映画館内部にカメラを設置し、1本の映画の始まりから終わりまでシャッターを開放にして撮影。一こま一こまの映像すべてを内包しながら画面中央で真っ白な光を放っているスクリーンによって、持続している時間を鮮やかに視覚化。また、「海景」は、世界中を旅しながらそれぞれの地域の海と空、そして画面を等分するかのような水平線のみを写したシリーズで、文化の枠を越えて太古から永続する自然の時間を映像化しようと試みた。

ジオラマ

劇場

海景

1980年代を通じてそれぞれのシリーズを追求していた杉本は、90年代半ばごろから次第に新しいシリーズにも着手。京都の三十三間堂の1001体の千手(せんじゅ)観音像を撮影したシリーズ「三十三間堂」(1995)では宗教的な時間を映像化。また、世界中の近代建築の名作を外観をぼやかしながら撮影し、建築家がもともと描いていたイマジネーションを探っていく「建築」シリーズ(1997~ )や、ロンドンのマダム・タッソー蝋(ろう)人形館の偉人の蝋人形を闇を背景に撮影して、精緻に描かれた北方ルネサンス期の肖像画を彷彿させるようなポートレートのシリーズ(1999~ )などに着手し、創造的、芸術的時間を映像化することを試みた。

三十三間堂

1994年(平成6)ロサンゼルス現代美術館、95年ニューヨークのメトロポリタン美術館、96年ハラミュージアムアーク(群馬県)、2000年にはベルリン・グッゲンハイム美術館で個展が開催されるなどその作品は国際的に評価、また、1989年には毎日芸術賞、2001年にはハッセル・ブラッド国際写真賞を受賞。

 

→IZU PHOTO MUSEUM、いかがだったでしょうか。最後は杉本博司氏の実績をご紹介しました。こうやって事前に美術館の設計者について予習していくと、またひと味もふた味も違って見えるかと思います。

現在休館中なのは残念ですが、年に複数回、写真好きにはたまらない企画展を開催されていたようです。また再開した折には私もぜひ足を運んでみたいと思います。それにしても静岡まだ2館目ですが、全国には魅力的な美術館がたくさんありますね。

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