現代アートを通じ人が自然に溶け込む場所 新潟:「大地の芸術祭」越後妻有里山現代美術館 MonET

アートな場所

こんにちは。
新潟十日町市で開催されている「大地の芸術祭」…そういえば2000年当時、新潟県知事と北川フラムさんを中心に発案されたと書きました。当時の新潟県知事…どんな人だったか気になりませんか?(え私だけ)

「大地の芸術祭」の発起人、元新潟県知事ってどんな人?

こんな方です。
 ※新潟県生涯学習協会HPより転載

自分でいうのもアレですが、初っ端から政治家を載せるってなかなか無いブログですね。でもたぶんアートと政治って近づきすぎず遠からず…絶妙な距離感が必要だと個人的には思っていて、昨今の混迷を深める現代社会ではより緊密になった方がいいのだろうと何となく思っています。

新潟県柏崎市のご出身で、日本銀行に25年間勤められたバリバリの経済人だったようです。2014年に旭日重光章を受章し、新潟国際情報大学学長などを歴任。このような方が今や世界的な芸術祭の仕掛け人となったというのは面白い話ですね。

ところでこの方、「平山征夫」と書いて「ひらやまいくお」と呼ぶそうです…いえ、何でもありません。完全に余談ですが、アートをご紹介するブログとしてはどうしても触れておかねばならない名前でしたので。

さて、この平山征夫さん、「幸せ経済社会研究所」という「幸せ」と「経済」と「社会」を相互に研究している団体に所属しており、その会報の中でこのようなコメントを残されています。(かなり骨太な経済談義になっておりますので、もしかしたら経済学をある程度かじった人じゃないと読みずらいかもしれません…がかなりかみ砕いて解説いただいています)
〇元新潟県知事の平山氏インタビュー:https://www.ishes.org/interview/itv11_01.html

→平山征夫さん自身は25年間も日銀に勤められたようなバリバリの経済人だったわけですから、そこまでアートにはお詳しくなかったんじゃないかなと推測していますが、それでもこの「大地の芸術祭」につながるような根本の考え方は少し垣間見えますので。抜粋して載せておきます。
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・人々は、生活の潤いとして新しい、より便利なものを必要とするけれども、企業は、常にもうけるために供給する。企業がほとんど雇用の場を提供する中心になっている資本主義というシステムは、常に利益を目指し、モノを作って供給してゆく、成長しないと成り立たない仕組みだからです。でも、人間の社会は成長が目的でなくてもいい。幸福だと満足できればいい。そう考えれば人類は幸福を感じるのに必要な経済的豊かさという目的をほぼ達成した。私は少なくとも8割は達成したと思っています。

成長はたぶんもうしないでしょう。だから成長しなくてもいい社会を考えた方がよい。成熟によってそのような経済構造になってきたのですから、それを受け入れて、人々を幸福にするにはどうするか。成長力が弱まった社会において、新しい社会をどういうふうにつくるべきか。そちらのほうが大事だと思います。
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…どうでもいいですが、実は私、経済学部卒なのですよね。だから案外「経済とは」「幸せとは」「社会とは」なんて議論、大好きです。しかもそこにアートが絡んでたりすると尚更。

さて、「大地の芸術祭」その発起人たち源流の考え方が大方解ってきたところで本題の美術館を紹介しましょう。今日の美術館はまさにこの「大地の芸術祭」のために建てられたと言っても過言ではないです。では早速。

このブログで紹介する美術館

越後妻有里山現代美術館 MonET

・開館:2003年(その後、2012年、2021年と改修)
・美術館外観:エントランスの中心に存在する四角い池が特徴的です。
 (以下、画像は大地の芸術祭HP及び県観光協会HPより転載)

→神奈川県出身の建築家「原広司+アトリエ・ファイ建築研究所」が設計、建築。
※代表プロジェクトは、札幌ドーム(2001年)やJR京都駅ビル(1997年)、梅田スカイビル(1993年)など。

・場所
越後妻有里山現代美術館 MonET – Google マップ
→ここは里山ではなく十日町駅前にありますね。

美術館のコンセプト

・越後妻有のコンセプトは豊かな自然の中で現代アートを楽しむことですが、この敷地の環境は、街なかであり、「大地の芸術祭」全体でいうと特殊な条件下にあります。以下、美術館のHPに本館のコンセプトが載っていましたのでご紹介しておきます。
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・まず施設自体が空間的魅力を持つこと、そして自らが集客力を生み出すという建築的特性を持つことを目指した。そこで建築それ自体が自然を包括したものとして存在するより他にないと考え、自然のひとつとして「池」を選択した。
 囲い込みプランとした場合に純粋幾何学形態である「正方形」は他の形態よりも圧倒的に美しく、この敷地において雑然とした街並みの中で景観の調整子としての役割を果たす。また、表現としてコンクリート打放し仕上げとガラスを多用し、「静かなたたずまい」を呈した様相は、外界から切り離された別世界を実現し、内部空間に配置された幾つかの室は、「建物の中の建物」となり、「入れ子」の構造になっている。これは日本の伝統として寺や神社の聖なる場所に見いだされる建築の造り方でもある。
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建物それ自体が1つのアート作品

・今更ですが、ここ、展示室に飾られた作品だけでなく、建物それ自体が1つの作品なのですね。
          
→うーん、同じ建物なのに見る角度、時間、季節などによって雰囲気がだいぶ違います。すでに行った方も、まだ行かれていない方も是非、様々な角度から十日町市のアートの数々を満喫してみて下さい!

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