100年を生きる画家、野見山暁治 人はどこまでいけるか ⑤完

アートな人

こんにちは、マウスです。
4/10のブログからだいぶ空いてしまいました、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私も単に家でごろーごろしていただけではなく、ここ1ヶ月、瀬戸内を中心にいくつかの美術館を巡ってきました。その感想はまた後日書きたいと思います。

そういえば、旅の途中で面白い商品を発見しました。

緑茶と醤油のセットだそうです。
このセット、どちらも日本古来のものでありながら、あんまり見ない組み合わせだなーと。たぶん最終的には胃の中で混ざり合うんでしょうけど、口内までで考えると一番遠い存在かもしれないな、そんなことを考えていました。

さて、画家:野見山暁治さんについて連載してきました。
今回が最後の予定ですが、NHKのインタビューで、100歳を超える野見山さんが、これまでで何が最も心残りであったかを語った場面があります。

それは私個人としては意外でもあり納得の答えでした。

それは何かというと、
2人の奥さんを自分よりも先に亡くしたことです。
特に最初の妻、内藤陽子さんは野見山さんの人生を語る上で切っても切り離せない存在だったようです。

野見山さんは28歳の頃、7つ年下で妹の同級であった内藤陽子さんと結婚しています。戦後の激動の時代、野見山さんを懸命に支えた彼女ですが、野見山さんが36歳の頃、念願のパリ留学中、夫婦水入らずの生活をはじめてわずか1年後、ガンにより29歳という若さで亡くなります。

このことは今でも野見山さんの心に深く残っていることで、そのNHKのインタビューではこう答えています。

・僕は自分の亡くなった女房についてずいぶんやさしい思いでいたけど、今になってみたら自分はとてもひどい男だったと思うようになった。(陽子には)僕と結婚しても子どもは産まないでいいですねと言ってしまった。子どもを拒否したのはいちばん残酷なことをしたんだなと。

・僕はパリに行きたかった。今から思うとそれは執念、生きがいだった。それを見ないで死ぬということはできない。油絵に憧れていたから一回油絵というものを見てみたいと思った。油絵の具というものがどんなものなのか。今と違って戦前は公立の美術館が日本には1軒もなくて、倉敷の大原美術館のほかは三宅坂の三井コレクションが週に一度、午後の三時間だけ絵を見せていた。大原美術館では、マチスの娘を描いた絵と、グレコの「受胎告知」、そればっかり見にいった。あとは画集。写真はモノクロだし、周りに西洋ふうの建物もない。情報も入ってこないし、ふだんは畳に正座して食事してたんだから、フランスがどういう国だか、セザンヌの絵に出てくるような風景が実際にあるのかさえわからないわけよ。–みんな信じられないだろうけど本当にそうだった。セザンヌもゴッホも、デッサン一枚さえ、ほんものを見たことがないんだよ。あの時代、そりゃあもう、みんなパリに行きたかったんです。

・だから結婚したときに僕が考えたのは、もしも子どもがいて家庭となるとパリに行けなくなる。そうなればお金も要る、時間も無くなる。それは絵描きを辞めることと同じだから子どもができるんじゃないかと怯えていた。だからそういう人は結婚しちゃいけないんだよね。今にして思えばやっぱりひとつ大事なものが欠けていたという気がする。

※2020年12月27日 NHK放送「100年のアトリエ 画家・野見山暁治」

…100年を生きる野見山さん、その最も心残りなのが戦争でもなく、一生をかけて追い求めている画業でもなく、最愛の妻だったというのは野見山さんの何とも人間らしい一面だと感じます。

2022年、コロナ禍とはいえ、セザンヌもゴッホも機会があれば近くの公立美術館へも巡回する時代になりました。私たちはなんと恵まれた時代に生きているのだろうという気がしてきますね。

余談ですが、当時は日本は貧しく、海外に渡航できる人も限られていたそう。
もちろん絵描きなんかにはパスポートは発行されず、野見山さんは外務省を門前払いにされ、新聞社や美術大学のお偉い方にも頭を下げたがそれも叶わず…最終的に豆腐を包んでいた新聞にたまたま載っていた「フランス私費留学生募集」という記事を妻が見つけ、それに手を挙げて渡航が叶ったそうです。また、金銭的にも長男としての遺産を親から前受けしたそうで、そこには野見山さんの何としてでも画業で生きていくという並々ならぬ意思を感じます。

その後、50歳で福岡のクラブ経営者であった後妻:竹富京子さんと結婚することになる野見山さんですが、前妻の反省からか、その京子さんがガンを患って80歳で永眠するまで健康面・お店の経営面の両面で京子さんを支えたそうです。

…いかがだったでしょうか。
5回にわたって画家:野見山暁治さんを掲載してきました。
本ブログでご紹介したのはほんの僅かであるため、興味ある方は以下の書籍「のこす言葉 野見山暁治 人はどこまでいけるか」を参考にしてみて下さい。

野見山暁治 人はどこまでいけるか (のこす言葉 KOKORO BOOKLET)

100年という時間はやはり伊達ではなく、私もこのブログを掲載するにあたって様々なことを考えさせられました。この1ヶ月で次に書きたい内容も浮かんできましたので、また近いうちにアップできればと思います。では、引き続き、本ブログ「絵本と、アートと。」をよろしくお願いします。

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