日本で唯一の公立楽器博物館、有形遺産の奥に深く広がる無形遺産の世界 静岡:浜松市楽器博物館

静岡県

こんにちは。静岡県、7館目です。静岡市と並ぶ政令指定都市、浜松市にある博物館です。私が静岡県に入った時にYAMAHA、KAWAIとピアノ生産が有名とお伝えしました。(過去はアトラスというメーカーも有名でした)

そんなピアノを中心とした音楽の街、浜松市。今日はこの駅前にある楽器を専門に展示する日本で唯一の公立博物館をご紹介します。それでは早速。

このブログで紹介するアート施設

浜松市楽器博物館

・開館:1995年
・博物館外観(以下画像は博物館HP、市観光協会HPより転載)

・場所
浜松市楽器博物館 – Google マップ

日本で唯一の公立楽器博物館、有形遺産の奥に深く広がる無形遺産の世界

・世界から収集した楽器を公開展示している日本で唯一の公立楽器博物館です。以下は博物館HPの紹介文ですが、この楽器博物館にかける想いが載っていましたので掲載しておきます。
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・楽器と人類、音楽と人類は太古より深い関係にあります。また楽器と音楽も深い関係にありますが、両者はそれぞれ独立した存在でもあります。楽器は目に見えて触れられる有形遺産ですが、音楽は目に見えず触れることもできない無形遺産です。立体造形物という有形遺産としての楽器の奥には、深くて広大な無形遺産の世界が広がっています。その無形遺産とは音楽だけではありません。形や素材、意匠に込められた意味や象徴性もまた重要な無形遺産です。

楽器博は、単に音楽に関わる人にのみ楽しくて有意義な場ではありません。音楽に関わらない人、すべての人にとって、そうであらねばなりません。

私たちは普段の生活で、何らかの音楽と関わっています。それは人類が基本的に音や音楽を必要としている存在であることを示しています。楽器は音を出し音楽を奏でる装置ではあることは確かですが、それ以上に人類の生み出した技術や美意識や宗教や信仰や時代そのものを映し出す鏡でもあります。楽器を糸口にして人類の歴史を振り返れば、そこに、現代社会の持つ様々な課題の解決のヒントが見つかるかもしれません。

今、世界のいたるところで、多様な人間集団それぞれのアイデンティティの再認識が起こっています。そのアイデンティティの構成要素のひとつに楽器と音楽があることは明らかです。

世界各地の楽器や音楽をただ種類別に並べて紹介するという時代は終わりました。文化は流動し接触し消滅と創造を繰り返していきますが、楽器や音楽もまたそうであります。そこには世界史の大きな流れが見て取れます。
世界史の中での、数多の楽器や音楽と、それが生まれ育ち受け継がれてきた地域や人間集団の、相互の関連性を探求できる場になること
異文化を尊重し、文化の違いを超えて人類が生きる価値観を得られる場になること
あらゆる人が相互に交流できる場になること
これが楽器博の目指すところであります。

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→「世界各地の楽器や音楽をただ種類別に並べて紹介する」だけではない、壮大な理念が横たわっているのがわかるかと思います。

館内の様子

常設コレクション

・世界中から集められた1500点(内訳:アジア420点、日本200点、オセアニア60点、アメリカ150点、アフリカ130点、ヨーロッパ360点、国産洋楽器100点、電子楽器80点)の資料を、「世界の楽器を偏りなく同じ目線で平等に展示する」という世界に誇るコンセプトのもと、世界諸地域の楽器を地域別、発音原理別(ホルンボステル=ザックス分類法による)、地域別、年代別に展示。

第1展示室にはアジアと日本の楽器、第2展示室にはオセアニアとアフリカ、アメリカ、ヨーロッパの楽器やコンサートなどに使う天空ホール、第3展示室にはヨーロッパの鍵盤楽器、第4展示室には国産洋楽器と電子楽器や特別展スペース、自由に楽器や音具が演奏できる体験ルームなどを設置しています。

常設展では、「みる・きく・ふれる」をモットーに、アジア、オセアニア、アメリカ、アフリカ.ヨーロッパの5大陸地域別展示とし、日本と国産洋楽器、電子楽器は独立して展示。

→ヘッドフォンで約70種の音を楽しむことができるそうです。イヤホンガイドでは、80種の楽器の説明と音を聴くことが可能だとの事。

楽器の分類法と展示の特徴について

・皆さん楽器の分類法について考えたことがありますでしょうか?(恐らくないかと思います)
楽器博物館のHPには以下の通り、分類法や本館展示の特徴などが載っていましたので併せて掲載をしておきます。

楽器の分類法

第1分類

アジア、オセアニア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパの5大陸地域別。ただし日本は独立して展示。

第2分類

アジア、オセアニア、アフリカ、アメリカは国別、民族別、楽器種別等による分類。
日本は吹き物、打ち物、弾き物の3分類。ヨーロッパは気鳴楽器、弦鳴楽器、体鳴楽器、膜鳴楽器、電鳴楽器の5分類。ただし鍵盤楽器と国産洋楽器、電鳴楽器は独立して展示。

気鳴楽器:空気柱の振動で発音するもの(管楽器やリードオルガン、ハーモニカ、パイプオルガンなど)
弦鳴楽器:弦の振動で発音するもの(弦楽器やピアノ、チェンバロなど)
体鳴楽器:固体振動で発音するもの(打楽器のうち木琴、シンバル、拍子木など)
膜鳴楽器:張力のある膜の振動で発音するもの(打楽器のうち太鼓、タンバリンなど)
電鳴楽器:電気振動で発音するもの(電子オルガン、シンセサイザーなど)

第3分類

・ヨーロッパは楽器種類別・年代別に展示。

展示の特徴

・ガラスケースを使わない露出展示であること。
・楽器の音を聞けるヘッドフォンスタンドを70台余設置。
・楽器の説明と音が聞ける個別イヤホンガイドを100台余導入し無料で貸し出し。
・自由に楽器を演奏できる体験ルームと体験コーナーを設置。
・浜松が日本の洋楽器産業の発祥の地であり現在も日本の洋楽器産業の中心地であることから国産洋楽器展示室を設置。
・国内電子楽器メーカーの協力を得て、2010年1月、第4展示室に電子楽器コーナーを開設。
・ギャラリートークを毎日数回実施。また毎日数回、展示品をひとつ選んで10分間ほど解説。また日曜日には原則として午前と午後に30分間ほどの展示室ガイドツアーを開催(他の催し物がある時には変更されます)。
・日曜日は不定期に天空ホールにて職員やゲストによるミニコンサート&レクチャーを開催。

沿革

・最後に、浜松市楽器博物館の沿革を載せて終わりたいと思います。
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1995年
4月浜松市楽器博物館落成式
1996年
9月アジア・アフリカ展示室公開
2000年
5月市内小学校への移動楽器博物館開始
7月開館5周年記念特別展「楽器誕生!」、ミュージアムコンサート「きよらかに・さわやかに」
2001年
9月収蔵品ジャワ・ガムランを使用して初の実技ワークショップ
2003年
3月特別展「楽器と20世紀~夢と憧れ・創造と亡失~」
2006年
7月特別展「弦楽器の名器たち~大阪音楽大学サントリー弦楽器コレクション展~」
2007年
12月浜松市政令指定都市移行記念第73回レクチャーコンサート「18世紀ヴェルサイユ・クラヴサン音楽の美の世界」
2008年
9月イヴニングサロン開始
2010年
7月特別展「バンジョー大博覧会」
8月開館15周年記念企画「親指ピアノ・フェスティヴァル」
10月開館15周年記念企画「電子チェンバロ・ミニコンサート~電子楽器の未来を探る~」
12月開館15周年記念レクチャーコンサート「19世紀のフォルテピアノと弦楽による室内楽の極み」
2011年
8月特別企画「バグパイプ博覧会」
特別展「人形たちのシンフォニー」
2012年
8月特別展「埋もれた楽器たち~古代への音浪漫~」
11月特別展「楽器というデザイン」
2013年
1月コレクションシリーズCD.No38「イギリス・ソナタ~ブロードウッドピアノ・新世紀の響き」が文化庁芸術祭レコード部門大賞受賞
8月東京特別展覧会「むかしむかしの素敵なピアノ」
2014年
4月企画展「切手に見る楽器たち」
特別展「風に歌う、風に響く~バグパイプの世界~」
2015年
5月開館20周年記念特別展「リードオルガンがくれた幸せ~近代日本の洋楽と学校教育と浜松~」
7月開館20周年記念レクチャーコンサート「日本、アジア、そして世界 雅楽と仏教が織りなす壮大な国際音楽 四天王寺聖霊会の舞楽」
8月開館20周年記念特別展「ポスター、チラシと写真でみる楽器博物館の20年~日本から世界へ~」
11月開館20周年記念特別展「和魂洋才・オークラウロと大倉喜七郎」
2016年
8月特別展「レフ・テルミン博士生誕120周年記念 音楽と革命 それはテルミンから始まった~20世紀と電子楽器の幕開け~」
9月企画展「一絃の琴・二絃の琴~現在に伝わる和の響き~」
10月特別展「世界を聴いた男、民族音楽学者・小泉文夫からのメッセージ」
2017年
7月特別展「耳をすませば浮世絵に、文明開化の音がする」
11月企画展「小さな可愛い世界旅行~人形・切手の楽器たち~」
2018年
6月入館者200万人達成(2日)
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