現代アートを通じ人が自然に溶け込む場所 新潟:「大地の芸術祭」越後松之山 森の学校 キョロロ

アートな場所

いよいよ新潟、大地の芸術祭関連のアート施設も今日が最後です。
(他県もありますので…ごめんなさい!)

ところで大地の芸術祭、どれくらいの費用がかかっているか皆さんご存知でしょうか?(こういう話好きなマウスさん…)

なんと大地の芸術祭に使われる費用は、3年間の総計で6億5000万円との事。
そして、そのうち3億円は2009年の第4回芸術祭から総合プロデューサーとして尽力されている福武總一郎さん(株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役会長)が調達されています。

福武總一郎さん…前に直島のブログでも触れたとおり、直島・豊島を含む瀬戸内海の島々を舞台に「瀬戸内芸術祭」を3年に1度開かれています。そしてこの「大地の芸術祭」も3年に1度開催されるのですから、福武さんどんだけ忙しいのって思いますよね。しかもベネッセゆかりの岡山でも何でもないこの新潟で…ほんと頭が下がります。
(参考)新潟文化物語:大地の芸術祭 ~里山の挑戦…3年で6億5000万円 https://n-story.jp/topic/25/page3.php

このブログで紹介するアート施設

越後松之山「森の学校」キョロロ

・開館:2003年
・美術館外観(以下、画像はアート施設HP及び県観光協会HPより転載)

「森の学校」キョロロ設計者=「手塚貴晴+手塚由比」とは

→「手塚貴晴(東京)+手塚由比(神奈川)」のコンビによって設計、建築。この方々、主な代表作は本作品と東京都立川市にある「ふじようちえん」との事…
…え、幼稚園?と思った方、以下の幼稚園の画像を見たら建築の力ってすごいんだなと感じると思います。こんな幼稚園行ってみたい!(ちなみにモンテッソーリ教育を採用している日本で3番目の規模だとか)
※ふじようちえんHPより転載

・場所
十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ – Google マップ
→山深いです。相当に雪が積もりそうですね。

豪雪地松之山の山中に位置する自然科学をテーマとした教育施設

(以下は大地の芸術祭HPからの引用です)
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・冬は深い雪の下で潜水艦のごとく重さ2000トンの加重に耐える。蛇のような形は周辺の散策路をイメージした。全溶接の鉄板の蛇は冬と夏で20センチ近くも長さを変える。耐候性鋼板の胴体は年月とともに装いを変え、既に耐候性鋼板独特の深みをおびた茶色の縞模様を完成しつつある。高さ34メートルの塔からは、木の梢や越後三山の山なみを観察する。冬の来館者は雪の壁の間を巡っていきなりエントランスへと導かれる。雪の下には雪国独特の外から隔絶されたトンネルの世界が広がる。全ての窓は分厚いアクリル窓で、巨大な加重に耐え、雪の断面を見せる。雪の中の生命体が窓一杯に展開する。夏にはブナ林や棚田が壁面を埋めつくす。深い森に埋もれつつ数百年数千年の時を超えこのまま存在していて欲しいと願っている。
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→どうでしょう、イメージできましたか?実は私、雪国に住んでいないのもあって、「全溶接の鉄板の蛇は冬と夏で20センチ近くも長さを変える」など、最初この文を目にした時イメージできませんでした。。ということで以下に動画も貼っておきます。(恐らく2分過ぎの空から見下ろした風景を見たら解るのではないかと)

そして、キョロロを真上から見た航空写真と雪の断面。


→すごい迫力ですね。これだけでも冬に行く価値があるかも。

名前の由来

・ところでこの館の名前「キョロロ」…変わった名前ですよね。これは、松之山の里山を代表する野鳥「アカショウビン」の鳴き声「キョロロロロ~」から名付けられたそう。アカショウビンは南国から松之山に渡ってきて営巣をする渡り鳥で、飛来時期は田植えの始まる梅雨の季節、松之山ではこの時期を「さずえ」と言うそうです。アカショウビンは「さずえどり」として呼ばれ親しまれてきた旧松之山町の鳥であることからこの名前が採られたそうです。
※アカショウビン

キョロロ創設の目的・コンセプト~地域を創るサイエンス

(以下はキョロロHPからの引用です)
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・世界有数の豪雪地である十日町市松之山には、多雪地特有の生物多様性が育まれており、これを拠り所に特有の伝統知が育まれ、人々は持続的に里山の生物多様性の恵み(生態系サービス)を利用してきました。少子高齢化など里山の社会的課題を背景に、里山の自然や文化を将来にわたって受け継ぐためには、その価値が持続的に活用され、地域づくりにつながることが大きな力となるでしょう。

「森の学校」キョロロは、自然科学館として地域の生物多様性情報を収集・保管・発信するのみならず、この成果を「地域づくり」につなげることを大きな目的にしています。里山の魅力や価値を「みんなで調べ、つなぎ、伝え、行動する」博物館活動を通じて、地域資源を「活用」しながら「のこす」ことが、生物多様性の恵みを活かした協働の地域づくりにつながると考えます。このような博物館活動を有機的に「地域づくり」につなげるために、様々な主体の参画や主体間の情報共有・発信の仕組みづくりが必要です。

キョロロでは、「等身大の科学」「住民皆科学者」「地域全体博物館」というコンセプトのもと、松之山の里山に関わる一人ひとりの行動が地域づくりにつながるよう、自然科学館の機能を活かした仕組みづくりに取り組んでいます。

私たちが自然を理解するために「科学」はとても有効なツールです。しかし、科学は決して専門家だけのものではありません。 地域住民が生活の中で伝統的に育んできた自然への観察眼・伝統知は、里山の自然の理解に大きなヒントを与えてくれることでしょう。

また、自然を前にした「なぜだろう?」「もっと知りたい」 「なるほど」と思う素朴な疑問、等身大の好奇心・探究心が、地域の自然の理解や課題解決につながる大きなきっかけになります。 里山の自然を前にノスタルジーに留まるだけではなく、そんな等身大の視点「等身大の科学」から里山の深い理解を実現するために、様々な気づきや関わりを促す展示や体験イベント、市民協働調査を開催しています。(キョロロHPより)
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地域全体博物館構想

・キョロロでは、里山の自然や文化の中にある一見何も珍しくないようなコトやモノも、博物館を通して観てみると何物にも替えがたい宝物になる場合があると考えているそうです。そのため来館者の皆さんと共に、里山に当たり前にある「コト・モノ」を調べ、価値を見つけ、発信していくことに取り組んでいるそう。そのために、里山の生物多様性や伝統的な文化に関する様々な地域資源情報を発見・調査・共有化し、『地域全体博物館』の実現を目指すとしています。

サビ(耐候性鋼板)に覆われたミュージアム

・キョロロは「サビ」をもアートに変貌させています。建物表面の赤茶けた色は、耐候性鋼板特有の「錆び」の色との事。通常の鉄の錆びと異なり、この鋼板の表面は硬く錆び鋼材と密着する ことで保護膜となり、内部の腐食化を抑える作用があるそう。このため外壁のメンテナンスがほとんどいらず、まさに錆びが建物を守っているのだとか。通常の鉄の錆びと異なり、この鋼板の表面は硬く錆び鋼材と密着することで保護膜となり、内部の腐食化を抑えます。このため外壁のメンテナンスがほとんどいらず、まさに錆びが建物を守っていると言えます。


→なんかやってること千利休みたいですね。マイナスの要素を芸術性高いものへプラスに変える。なかなかのクリエイターだなと感じました。

(マウス)

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