日本文化の始まり、仏教伝来の道をたどった平和と祈りの画家 山梨:平山郁夫シルクロード美術館

アートな場所

シルクロード…なぜか日本人はこの言葉を聞くと異国情緒あふれる感じになりますよね。
恐らく、それを助長したのは1979年10月1日に発表された久保田早紀さんのデビューソング「異邦人(シルクロードのテーマ)」なんだろうと個人的には思っています。
…私も世代ではないのですが…もはや存在自体を知らない年代もいるかもしれませんね。ということで少し載せておきます。

…はい、今日はこの曲を流しながら私も執筆します。皆さんもこの曲を聴きながらとある画家の生涯に思いを巡らせてみて下さい。今日はそんなシルクロードに魅せられた1人の画家、平山郁夫さんの美術館をご紹介です。(どうでもいいですが、久保田早紀さん、この曲を中央線で通学中に八王子で付近で閃いたとか。なぜ…)

このブログで紹介する美術館

平山郁夫シルクロード美術館

・開館:2004年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県・市観光協会HPより転載)

・場所
平山郁夫シルクロード美術館 – Google マップ
→中村キース・へリング美術館など、このエリアに結構美術館が立地しているんですね。

日本文化の始まり、仏教伝来の道をたどる

・1966年、平山郁夫氏は、消失した法隆寺金堂壁画の再現模写のメンバーに選ばれたことをきっかけに、その源流といわれるアフガニスタンのバーミヤン石窟寺の壁画などをシルクロードに関わる中国、中央アジア、西アジア諸国などを歴訪。その期間と回数は約35年間で130回以上にのぼりました。

※シルクロードとは…紀元前の昔からあるユーラシアを東西に走る交易路。19世紀の地理学者、リヒトホーフェンが、その道の全体像を中国の特産品であった絹の輸出ルートに着目して「シルクロード」と表現。絹の取引だけではなく、玉や仏教、野菜、果物、様々なものや文化がこの道を通って運ばれた。奈良・正倉院に残された宝物などもこのシルクロードを通って伝わったと言われています。

※地図は「青少年のための仏教入門 仏教へのいざない」(https://todaibussei.or.jp/asahi_buddhism/11.html)から転載

なお、美術館のHPには動画での詳細ページもありましたのでそちらも掲載しておきます。

主なコレクション

平山郁夫絵画作品

平山郁夫氏は、シルクロードという東西の交易の路で、名もない人びとの想いの積み重ねが文明や歴史を形づくると考え、荒れ果てた砂漠や遺跡に人間の痕跡を探し求めてはシルクロードで感じとった作品を繰り返し描いたそうです。







シルクロードコレクション

   

    

  

(付録)平山郁夫氏と仏教

…平山郁夫氏が追い求めたシルクロードの美、いかがだったでしょうか。ちなみに平山さん、生涯にわたってそのシルクロードから仏教の源流をたどる旅を続けます。平山さんをここまで駆り立てた仏教とは何だったのでしょうか。もしかすると広島ご出身の平山さんが中学3年生の時に体験した被爆体験が根底にあるのかもしれないなとこれを調べながらふと思ったマウスです。

1945年8月6日午前8時15分に投下された広島への原子爆弾、その惨状を目の当たりにし九死に一生を得た平山氏、「平和の祈りを込めて絵を描きたいと思ってはいましたが、当時中学3年生、あまりにもひどい惨状を思い浮かべるだけで悪夢にさいなまれるためなかなか描けなかった」と生前にコメントを残されています。そんな平山さんが広島への想いを込めやっと描き上げた作品がこの「広島生変図」です。

広島生変図(広島県立美術館 所蔵)

→それまでの平山さんの落ち着いた色使いとはうって変わり、真っ赤な赤色顔料で塗られた画面。恐らく、実際には投下後ずっとこんなに街全体が赤色で燃え滾っていたわけではないとは思いますが、むしろ平山さん、その投下後の広島の情景をこと細かく描くことを敢えて避け、一方で、観覧者に当時の悲惨な情景を鬼気迫る勢いで訴えるにはどのようにしたら良いかを考え抜いた結果、この赤色顔料で全体を覆ったのかなとか個人的には考えています。私自身この絵を見ながらそんな描きたいと思いながらも簡単には描けない、その真実を体験した平山さんだからこその表現であるということろに何とも言えない強い説得力を感じました。

幼少時代にそんな経験をした平山さん、恐らくずっと、志半ばで亡くなった広島の多くの犠牲者のことを忘れることはなかったのではないかと思います。仏教の源流を求めてシルクロードへ。それは平山さん自身の探求心だけでなく、今思うと広島の人たちの想いものせて何度も通われたのかもしれませんね。

そんなこんなで今日はここまで。
平和と祈りの画家、平山郁夫、いかがだったでしょうか。
たくさんの作品を世に残してくれています。皆さんも手にとる機会がありましたらぜひ、そんなことを思いながら見てみて下さい。

(マウス)

コメント

タイトルとURLをコピーしました