種をまくこと、未来へ希望をつなげること 山梨県立美術館

アートな場所

こんにちは、山梨県最後は県立美術館です。
こちら、他の都道府県と比べても非常にユニークな、ある意味で分かりやすいコレクションをお持ちです。では早速。

このブログで紹介する美術館

山梨県立美術館

・開館:1978年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県観光協会HPより転載)

・場所
山梨県立美術館 – Google マップ

種をまくこと、未来へ希望をつなげること

・山梨県立美術館は1978(昭和53)年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれています。《種をまく人》などのミレーの代表作を収蔵しており、また、バルビゾン派を中心とするヨーロッパの風景画のコレクションも充実。全国の県立の中でも明確な特徴を持つ美術館です。

美術館のコンセプト

・種をまくこと、未来へと希望をつなぐこと。

ミレーの種まく人について

・19世紀の画家ジャン・フランソワ=ミレーの《種をまく人》は、右足を大きく踏み出し、腕を力強く振り上げて種をまく人物を堂々と描いた作品。まかれた種は、大地に根を張り、芽を出し、葉を広げ、花を咲かせ、実を結び、再び新しい種となります。「種をまく」という行為は、一歩を踏み出す、自分の手でなしとげる、何かが始まる、未来につながるというイメージを持ちます。ひとりひとりが「種をまき」、それぞれの「世界が」開いていくこと、皆さんひとりひとりの「種をまき世界がひらく」きっかけとなりたいという目標を胸に美術館を運営されているそうです。

山梨県立美術館のあゆみ

・美術館HPにこれまでの「あゆみ」がPDFファイルで公表されていました…何気にこういう形で公表されている館って珍しい!
山梨県立美術館のあゆみ(美術館誕生! -開館までの記録ー)
山梨県立美術館のあゆみ(開館後の出来事 -1周年から40周年まで-)

収蔵方針

・置県100周年を記念して設置が計画、1978(昭和53)年に開館して以降、19世紀フランスの画家ジャン=フランソワ・ミレーの作品を一貫して収集、さらにミレーが暮らしたバルビゾン村に集った画家たち(バルビゾン派)の作品もコレクションの柱となっています。これらの絵画は農業が重要な場面として描かれており、豊かな自然環境に恵まれた山梨県の風土に相応しいものとして、収集の柱と位置づけられているそうです。

※バルビゾン派とは…1830年ごろからフランスのバルビゾン村に現れた「イーゼルにキャンバスを入れて風景画や風俗画を描いた」集団。自然主義的な風景画や農民画を写実的に描いた。

ジャン=フランソワ・ミレーとは

・それまでの絵画では主題とされなかった大地の恵みを受け自然とともに生きる人々を描いた画家。パリで画家としての活動を開始したのち、近郊のバルビゾン村に移住、代表作《種をまく人》《落ち穂拾い》などを発表、評価を確立。フォンテーヌブローの森に隣接するこの村には、志を一にする多くの画家が集い、自然や人々の暮らしをテーマにした作品を数多く描いたことが知られています。

なぜ山梨にミレー?

・なぜ山梨県立美術館、ミレーを収蔵することになったのでしょうか。気になりますよね。以下は、その理由が述べられたJタウンネットさんの美術館インタビューです。

[ミレーにこだわる山梨県立美術館 なぜ70点もの名画を集めてきたのか]
・ミレーの収集が始まったのは美術館開館前の1978年。当時の田辺国男山梨県知事が、開館にあたってどのような作品を収蔵すべきか、専門家に相談をしたところ、バルビゾン派の画家、中でもミレーの名前が挙がり、コレクションの中心の1つとして位置づけられた。

「近代美術を中心的に扱うことが構想された当美術館において、特色を出すべく、ヨーロッパ美術の収集が検討されていました。中でもミレーは豊かな自然の中で、大地からの恵みを受け生活する農民の姿を描き出すことで有名になった画家であり、自然豊かな山梨県の風土に合う画派だと考えたからです」

→コレクターのコレクションなどではなく、開館当初からミレーを集めるという意志のもと、継続してコレクションしているのですね。県立でありながらここまでこだわっている館は珍しい気がします。

田辺国男 元:山梨県知事とは

・そんなミレーを集める方針を決断した元:山梨県知事、どんな方だったのでしょうか。以下は略歴です。
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・山梨県塩山市下於曽(現在の甲州市)、造酒業を営む田辺家の次男として生まれる。高度経済成長期にあたる天野県政は「富める山梨」をスローガンに、経済第一主義で道路整備や工業団地造成など産業基盤整備に着手したが、県内の工業生産は未だ発展途上にあり、一方では地場産業への打撃や開発に伴う環境問題や公害の発生も顕在化。そのため、自然環境の保全と両立した経済発展へ方針転換し、「健康山梨」をスローガンに環境保全に配慮した「グリーンプラン」を提唱、後援会も「緑友会」とする。三期目では山梨県立美術館の建設や山梨県立県民文化ホールの着工(完成は望月県政期)などとソフト面を強調した県政を推進し、「文化不毛の地」と評されていた山梨県における文化事業の推進を行った。
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→高度経済期に就任した知事としては、もろもろの反省から環境と両立した経済発展を推奨した方なんですね。当時としては珍しかったのではないかと思います。もしかしたら生家の造酒業を通じて水やその他自然との関わり合いについて思うところがあったのかもしれませんね。

主なコレクション

<ジャン=フランソワ・ミレー>
 

<バルビゾン派ークールベ、コロー、トロワイヨン他>

<野口小蘋>

<近藤浩一路>

<望月春江>

→日本画から洋画まで幅広く楽しめる美術館、ぜひ山梨に行かれた際はお立ちより下さい!

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