障がい者と地域が紡ぐ新たな価値 福島:はじまりの美術館

アートな場所

こんにちは。マウスです。
突然ですが皆さん、アール・ブリュットって聞いたことはありますか?
※「アール・ブリュット」とは「生の芸術」を意味するフランス語。解釈は様々あるが、「正規の美術教育を受けていない人による芸術」「既存の美術潮流に影響されない表現」などと説明されることが多い。広義ではアウトサイダー・アートを示すことも。1945年、フランス人画家のジャン・デュビュッフェによって提唱。彼は文化的処女性と純粋な独創性(要は今まで見たことないようなオリジナリティの高い作品)を収集した結果、精神障がい者の創作物が偶々集まったことにより、それまで芸術の枠組みで取り上げられなかった人々による表現が芸術として扱われるべきとの意識からこれらの作品を「アールブリュット」と名付けた。

→それまで「福祉」の一環として扱われてきた障がい者の絵画活動…ここにとんでもない可能性が埋もれているのではないかと最初に気づいたのがジャン・デュビュッフェだったんですね。参考に彼の作品を少しご紹介して本題に入ります。

※Artpediaから転載(https://www.artpedia.asia/jean-dubuffet/

このブログで紹介する美術館

はじまりの美術館

・開館:2014年
・美術館外観(以下、画像は美術館HP及び県・町観光協会HPより転載)

・場所
はじまりの美術館 – Google マップ
→猪苗代湖の近くにありますね。先日ご紹介した諸橋近代美術館とセットでいかれるのはいかがでしょうか。

障がい者と地域が紡ぐ新たな価値

以下、館長の岡部兼芳さんのコメントです。
----------------
・「表現を楽しむ、つながりの場」
日々を楽しむ気持ち、工夫する視点で、世界は全く違ったものになるはずです。アートは誰もがもつ日常のなかに在り、毎日を豊かにしているものだと考えます。様々な表現に出会って、ウズウズしたり。いろんな人とつながって、楽しいことをはじめたり。はじまりの美術館はそんな場所を目指しています。

開館のコンセプト

この美術館は障がいのある方々のライフステージに応じた支援を行っている社会福祉法人 安積愛育園を中心に運営されています。以下は安積愛育園理事長の佐久間啓さんのコメントです。
ー---------------
・私どもはこれまで障がい者支援のための福祉法人として約50年間活動してきました。この歴史の中で「施設の中で生活する支援」から「地域の中で生活する支援へ」と支援のあり方も変化してきました。様々な障がいへの援助を行うだけでなく、人として地域で暮らし、生活を楽しみ、才能や能力を発揮すること、仕事をすること、スポーツすること、アートで表現することなどが大切な自己表現であり、自己実現につながると考えてきました。そのような中で、日本財団からアール・ブリュットの美術館についてご提案を頂き、そして、猪苗代町の十八間蔵と出会いました。その後、福島県は東日本大震災により全ての状況が一変してしまいましたが、多くの皆様のご協力を頂き、その困難を乗り越え完成に至りました。
「はじまりの美術館」は、ここからがはじまりです。震災後の日本だからこそ、アートを通して人間や地域社会のつながりをつくり、そこから新しい価値を生み出すことが求められています。そんな未来を実現するお手伝いを「はじまりの美術館」が担えればと考えています。この美術館が震災を経験した様々な人の想いと共に、猪苗代をはじめ、福島県、全国のみなさん、そして沢山の子どもたちに親しまれ愛される場所に、そして誰もが何度でも訪れたいと感じて頂ける場所にしていければと思います。はじまりの美術館をどうぞよろしくお願いいたします。

→社会福祉法人の運営ですので、これまでご紹介してきた公立、私立(企業美術館含め)とはその資金力も含め異なる点も多いかと思いますが、アートにかける問題意識、熱量は同等のものです。逆に障がいという役に立つ・立たないで判別されてきた現代社会において一番考えなければならない部分を常に見てきた組織が運営している美術館であるからこそ表現できる空間というのがあるかもしれませんね。

展示作品

(企画展中心に季節ごとに展示を入れ替えているそうです。HPには展示ポスターしか掲載なかったのでURLと一部画像を載せておきます)※順不同
展示内容参考URL:https://hajimari-ac.com/enjoy/



(付録)十八間蔵について

・建物に利用されている十八間蔵…これは美術館がある猪苗代町において明治・大正・昭和・平成と時代の移り変わりを140年あまり見つめ、酒蔵・ダンスホール・縫製工場など、用途を変えながら愛され続けてきたものだそう。十八間(約33m)の長さがある太い梁は、裏磐梯から二十間で切り出されましたが、辻を曲がりきれず二間切ったという逸話が残っており、東日本大震災では大怪我を負いつつも持ちこたえ、町の新たな起点となるべく生まれ変わりました。

(付録)安積愛育園について

・1967年に開園した知的障がい児施設が始まりとの事。

[基本理念]
①「安心して暮らせる街づくり」
②「一人ひとりが望む生活と自己実現に向けた支援」

→幼児期から成人期、壮年期と各ライフステージにおける自己実現に向けた支援に力を入れられているそうです。美術館だけでなく、ラテン打楽器の演奏会なども行われていて、ぜひ彼ら/彼女らがつくり上げている街へ足を運んでみて下さい!

(参考)安積愛育園の社会貢献活動
https://asaka.or.jp/aiikuen/activities/

(マウス)

コメント

タイトルとURLをコピーしました