ロダン彫刻と国内外の版画コレクションに定評 海と巨大迷路のような建物が一体となる芸術融合の場 兵庫県立美術館

兵庫県

こんにちは。さて、兵庫県最後は先日ご紹介の横尾忠則現代美術館からJR神戸線をはさみ南に1㎞ほど(直線に)くだって海に面したところにある美術館です。海に面しているという意味ではこれまた先日ご紹介の新潟県立万代島美術館にも近いかもしれません。いずれにしろ港湾都市兵庫:神戸を代表する美術館といえるでしょう。それでは早速。

このブログで紹介する美術館

兵庫県立美術館

・開館:2002年
・美術館内・外観(以下画像は美術館HP、県観光協会より転載)

→建築家:安藤忠雄氏の代表作です。
館内にはAndo Gallery(安藤忠雄コーナー)と表し、安藤氏が、阪神淡路大震災からの復興のため行った活動、記録、復興のためのプロジェクト、その他兵庫県での安藤建築、安藤氏の建築の原点である住宅作品や代表作である住吉の長屋、光の教会、仕事場などを紹介しています。

※米国の詩人・サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフに安藤忠雄氏がデザインしたオブジェ。

・場所
兵庫県立美術館 – Google マップ

海と巨大迷路のような建物が一体となる芸術融合の場

・日本を代表する建築家、安藤忠雄氏の設計による美術館。美術作品の展示だけでなくさまざまな芸術の融合の場として設計され、単純明快な構成の中での複雑多様な空間体験を実現。感受性を高め、瞑想へと誘う落ち着いた雰囲気のエントランスホール、それとは対照的に自然光がふんだんに降り注ぐ展示室を囲むガラス張りの廻廊など、建築内部の各所がそれぞれ陰影に富んだ表情を見せます。目の前に広がる海とこの巨大迷路のような建物が一体となり様々な光の変化を演出、訪れる時間や季節によって様々に変化したり、館内で迷うことの不便さを逆に美術館建築の仕掛けによって新しい発見へとつなげる楽しさに役立てるような工夫がなされています。

主なコレクション(ロダン彫刻と国内外の版画コレクション)

・前身である兵庫県立近代美術館時代から、購入や受贈により数多くの作品を収集。現在、その数約10,000点を超えるそうです。

海外の彫刻

・兵庫県立美術館はその前身である近代美術館の開館当初から、彫刻作品を収集と展示の中核のひとつに据えています。海外作品では、ロダンから、ブールデル、マイヨールなど19世紀の巨匠たち、アルプ、ザッキン、ガボ、ジャコメッティ、ムーア、ブランクーシ、シーガルなど20世紀の多彩な表現へと向かう流れを一望できるよう系統的収集を続けています。

オーギュスト・ロダン《オルフェウス》1892年(1971年鋳造)

日本の彫刻

・ロダンをはじめとするヨーロッパ彫刻の大きな影響のもとに発展を遂げた日本の彫刻。戦後は新しい表現が次々と生み出されてきました。柳原義達、舟越保武、佐藤忠良、堀内正和、植木茂、新宮晋といった今日を代表する彫刻家たちの作品を幅広く収集、海外彫刻と合わせて常設展示しています。

中原悌二郎《憩える女》1919年

海外の版画

・彫刻とともに国内外の版画をコレクションの柱のひとつに位置づけ。海外版画としては、ゴヤ、マネ、クリンガー、ピカソ、カンディンスキー、ウォーホル、ジャスパー・ジョーンズなど近現代の版画史を彩る作家たちの作品を網羅的に収集。なかでもアンソールの幻想的な作品群やエルンストの奇想に満ちた版画集の数々は、本美術館の版画収集のハイライトになっています。

ワシリー・カンディンスキー 《抒情的》(詩画集『響き』より)1911年

日本の版画

・浮世絵で大きな隆盛を見た日本の版画、近代に入り西洋美術が流入してからはより一層多彩な表現が生み出されます。風景版画の伝統に新境地をもたらした小林清親、新版画の川瀬巴水、創作版画の谷中安規や川西英、そして、国際的にも高い評価を受けた長谷川潔、浜田知明、池田満寿夫の名作を収集。近代から現代にかけての我が国の版画の歴史をたどることができます。

加藤太郎《作品(2)》1938年頃

兵庫ゆかりの洋画

・金山平三と小磯良平という郷土ゆかりのこの両画家の作品を、遺族や関係者の方々から寄贈を受け、数多く所蔵。ほかにも、但馬は生野生まれの三巨匠、白滝幾之助、和田三造、青山熊治の作品、ヨーロッパ旅行から帰国後神戸に住んだ林重義、晩年芦屋に住んだ小出楢重の作品なども。また、短い生涯でめざましい表現を開拓した飯田操朗、浅原清隆といった画家の作品や、兵庫生まれの画家ではありませんが、ロシア未来派のブルリューク「家族の肖像」、阿部合成「見送る人々」など、神戸に関係深いエピソードを持つ作品も所蔵。

金山平三《大石田の最上川》1948年頃

兵庫ゆかりの日本画

・晩年、養家のある神戸・花隈にすんで六甲山や仏様を描いた村上華岳をはじめ、心にしみ入る原風景としての海・山を描いた東山魁夷、生活感あふれる女性像で有名な三谷十糸子の作品、ハイカラな雰囲気の漂う水越松南、山下摩起の作品などを収蔵。兵庫には、日本画の一大中心地である京都とはひと味違う、気骨あふれるユニークな日本画家の存在があるとの事。

村上華岳《秋の山》1935年

日本近代の名作

・兵庫県立美術館では、郷土ゆかりの画家に限らず、日本近代を代表する作品を収集。明治初期洋画の興味深い状況を端的に示す本多錦吉郎「羽衣天女」や神中糸子の作品をはじめ、初期文展の代表作である岡田三郎助「萩」、同時代の若い画家に大きな影響力を持った岸田劉生や安井曽太郎、前田寛治などの作品を所蔵。

安井曽太郎《巴里の縁日》1912年

現代美術

・戦後の関西でもっとも重要な前衛美術運動を展開した「具体美術協会」について、リーダー吉原治良はじめ、元永定正、白髪一雄、嶋本昭三、田中敦子といった初期メンバーの作品を数多く所蔵。また、その他にも菅井汲、津高和一といった、やはり郷土に関係の深い作家の作品も収蔵。さらに、1987年に「山村コレクション」を一括収蔵、グラフィックデザイナーとして出発し現在も活躍を続ける横尾忠則の作品を収蔵しています。

※兵庫県西宮市にあった山村硝子(現在は兵庫県尼崎市に本社を置きガラス製品・PETボトルやPETボトル用キャップなどを製造する企業で、ガラスびんのシェアーでは40%と国内トップ)の社長で、実業家でもあった山村德太郎(1926年-1986年)が収集し、没後、一括収蔵した作品群です(68作家、167点)。

白髪一雄《作品Ⅱ》1958年

いかがでしょうか。館内は通路が巡らされ、前面の海とその建物そのものが鑑賞の対象となるように工夫された美術館です。ロダンや国内外の版画、金山平三と小磯良平の洋画、村上華岳の日本画、そしてここに具体美術協会や横尾忠則の表現世界など様々な芸術が同じ空間で融合しどのような化学反応をおこすのか…それは行けばきっと解ると思います。そんな兵庫県立美術館、ぜひ皆さんもご来館ください。

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