今週のPickUp!展覧会(会期:3月末まで)

愛知県

○天地耕作 初源への道行き @静岡県立美術館
 会期:3/27(水)まで

<概要>
・天地耕作(あまつちこうさく)は、村上誠、渡の兄弟と、山本裕司の3名が協働で行った、美術制作のプロジェクト。

本展では、旧引佐郡(現 浜松市)を拠点に、1988年から2003年にかけて活動した天地耕作の軌跡をたどります。 天地耕作は、街中を離れた野外を主なフィールドに、木や縄、石や土などの自然物を素材として、大がかりな作品を制作しました。

 彼らは伝統芸能や遺跡などを、民俗学者や考古学者のように(あるいは彼らの言葉によれば蟻のように)フィールドワークし、生や死といった根源的なテーマに迫りました。しかしながら、時間をかけて築かれた、それらの耕作物(作品)は、公開期間やアクセスが限られていたため、現場を目撃した人は多くありません。

 本展では天地耕作の活動の全貌を、写真作品や映像、貴重な資料で明らかにします。さらに、美術館の裏山では、未完となっていた2003年の野外作品のプランが実現され、天地耕作を目撃するまたとない機会となります。観客の多寡にかかわらず続けられた天地耕作の試みは、私たちを‘芸術’の初源へといざなうでしょう。

○特別展 生誕270年 長沢芦雪 -若冲、応挙につづく天才画家- @九州国立博物館
 会期:3/31(日)まで

<概要>
・長沢芦雪は、18世紀後半の京都で活躍した人気絵師。現代でも「奇想の画家」の異名で親しまれ、国内外で高く評価されています。その芦雪の画業をたどる本格的な展覧会が、この冬、九州に初上陸。代表作の龍・虎図襖(和歌山無量寺・串本応挙芦雪館所蔵)をはじめ、初期から晩年までの選りすぐりの作品が一堂に会します。

芦雪ならではの奇抜な着想と、大胆かつ卓越した筆さばきをご堪能ください。また、本展では、芦雪と同時代に活躍した、伊藤若冲、円山応挙、池大雅、与謝蕪村らによる珠玉の名品がゲスト出陳します。日本美術の巨匠らが競い合い、創造的エネルギーを燃やした18世紀京都の絵画世界をお楽しみください。

<長沢芦雪関連>
無量寺・串本応挙芦雪館

○所蔵企画展 歳時記 花ひらく春 @メナード美術館
 会期:3/31(日)まで

<概要>
・歳時記とは、季節の年中行事や自然を記し、俳句の季語を解説、分類した書物のこと。古来より四季に親しんできた人々は、四季折々の自然の姿を掛軸、屏風、工芸に描きとめ、季節の装いとして室内を飾りました。「歳時記」と題した本展は、一年間に季節にあわせた全三回の展覧会を開催し、所蔵コレクションが見せる移ろいゆく季節の情景を、歳時記をめくるようにお楽しみいただきます。

 第一回「歳時記 花ひらく春」では、新春から夏が近づく春の終わりまでを、日本画を中心とした作品約50点で紹介します。冬を越えた植物の芽吹き、さえずる小鳥、咲き誇る花々など、メナード美術館の春をどうぞご覧ください。

○荒木悠 LONELY PLANETS @十和田市現代美術館
 会期:3/31(日)まで

<概要>
・日本とアメリカを行き来しながら育った荒木悠は、各地の様々な言語・文化間で起こる誤訳や誤解、オリジナルと複製の関係、それらが表出させる権力構造を、ドキュメンタリー、アニメーションなどの映画や映像作品で、時にユーモラスに表現してきました。

本展のタイトルは、世界的なシェアを誇る老舗旅行ガイドブック「ロンリープラネット」の名前が、ある歌詞の聞き間違いから生まれたことに親近感を覚えた荒木によってつけられました。そこには、青森を旅するように訪ね歩き、本展に登場する人々・風景・モチーフと偶然遭遇した作家の心境が重ねられています。

本展ではこれまでのリサーチを経て、作家のテーマを展開した新作の映像作品4点と過去作品3点(予定)を公開します。異なる軌道を描く惑星のように独立した作品の数々は、真冬の十和田で偶発的に接近しあい、一つの天体を展示室に生み出します。

○森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために @森美術館
 会期:3/31(日)まで

<概要>
・産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われています。この地球規模の環境危機は、諸工業先進国それぞれに特有かつ無数の事象や状況に端を発しているのではないか。本展はその問いから構想されました。

本展では、国内外のアーティスト34名による歴史的な作品から新作まで多様な表現約100点を、4つの章で紹介します。第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の活動が複雑に絡み合う現実に言及します。第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直します。第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介します。最終章である第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)、精神性(スピリチュアリティ)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描きます。

本展のタイトル「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」は、私たちとは誰か、地球環境は誰のものなのか、という問いかけです。人間中心主義的な視点のみならず、地球という惑星を大局的な視点から見渡せば、地球上にはいくつもの多様な生態系が存在することにあらためて気付くでしょう。本展では、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えることを提案します。また輸送を最小限にし、可能な限り資源を再生利用するなどサステナブルな展覧会制作を通じて、現代アートやアーティストたちがどのように環境危機に関わり、また関わり得るのかについて思考を促し、美術館を対話が生まれる場とします。

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