65年の歳月をかけた大干拓事業で有名、関西経済界の父が明治維新や戦争の動乱から国の文化財を守り抜いた蔵 大阪:藤田美術館

大阪府

こんにちは。今日ご紹介の美術館、2017年に一時閉館し、2022年にリニューアルオープンしましたが、かつては「蔵の美術館」と呼ばれていました。
…「蔵」と言えば、栃木県にありましたね、蔵の街美術館。そんな蔵好きにはワンセットで見ていただきたい美術館です。しかもその蔵、国の多くの動乱から文化財を守り抜いた蔵でした。それでは早速。

このブログで紹介する美術館

藤田美術館

・開館:1954年 ※2022年リニューアル
・美術館外観(以下画像は美術館HP、府・市観光協会より転載)

→出来たてほやほやの新築です!

・場所
藤田美術館 – Google マップ

65年の歳月をかけた大干拓事業で有名、関西経済界の父が明治維新や戦争の動乱から国の文化財を守り抜いた蔵

・コレクションの多くは明治時代に活躍した実業家、藤田傳三郎と、息子の平太郎、徳次郎によって築かれた美術館。大名旧家や寺社に伝えられてきた文化財の多くが、明治維新を機に、海外へ流出したり、国内で粗雑に扱われたりすることに傳三郎氏が危機感を覚え設立。傳三郎氏は「国の宝は一個人の私有物として秘蔵するべきではない。広く世に公開し、同好の友とよろこびを分かち、また、その道の研究者のための資料として活用してほしい」と語ったと伝えられています。

また、開館から2017年6月11日の一時閉館までの藤田美術館の建物は、明治から大正時代にかけて建てられた藤田家邸宅の蔵を改装したもの。邸宅のほとんどを焼失した 1945 年の大阪大空襲で幸いにも延焼を免れ、中に収められていた美術品を守り抜いた蔵でもあったそうです。2022年に新たなオープンした藤田美術館もまた、60 年あまり親しまれてきた「蔵の美術館」として、受け継いだ美術品を次世代へとつないでいく使命をもっています。

藤田傳三郎について

・幕末の天保12年(1841)長州(萩市)生まれ。明治初頭(30歳の頃)大阪へ出て、軍靴製造、軍需品や人夫を調達する用達業、トンネルや橋梁、疎水工事に係る土木建築などの事業を興す。明治17年(1884年)、小坂鉱山(秋田県)の払い下げを受けて本格化した鉱山業が中核となり、事業の規模は更なる発展を遂げる。

有名な事業として、岡山県の児島湾干拓事業が挙げられる。これは岡山藩の時代からあり、一部着工されていたものの資金難から頓挫していたもので、大がかりな国土創成計画に夢を感じ当時の傳三郎氏が引き受けたもの。全て完成したのは昭和38年(1963年)で、着工以来実に65年の歳月がかかった。この事業によって、干拓地に作られた村には藤田の地名が付けられ、後に同村が岡山市に合併された後も地区名として残されている。

傳三郎氏は、若い頃から古美術への造詣が深く、特に茶道具に対する鑑識眼は卓越していたとの事。能や茶道をはじめ、日本文化を好み、邸宅には能舞台や沢山の茶室を構え、これに興じていました。維新後の廃仏毀釈などの影響から、歴史的な仏教美術品の数多くが海外へ流出していることに憂慮し、これを阻止するために膨大な財を投じたうえ、古美術品の収集は、亡くなる直前まで続けられました。明治45年(1912年)没(70歳)。

※写真は岡山県観光協会HPより(https://www.okayama-kanko.jp/spot/10196

→関西のみならず、岡山県では偉人として称えられているのですね。(今度岡山の知人に尋ねておこう)

主なコレクション

・美術館HPを見ると、「月」、「奈」、「掌」、「輝」の4つ分けて、詩とともにコレクション紹介されていました。なかなか風流ですね。

夜がまだ暗闇だったころ
地上を照らすのは空に浮かぶ月でした。
人々は月の輝きに畏敬の念を抱き
ゆえに供物をささげ、歌に詠み
その姿を描いてきたのでしょう。

 
※どちらも国宝です。左から柴門新月図、紫式部日記絵詞。

 
 

日本の精神、文化に深い影響をあたえてきた仏教。
しかし明治維新後、逆境に立ち向かうことになります。
押し寄せる近代化の波、
神道との切り分け、
そして廃仏毀釈の嵐——
仏教が受けてきた苦難の
大きな舞台となったのは、南都・奈良でした。(←大阪の美術館ですが…奈良プッシュしてますね)
 
※国宝:両部大経感得図

   

掌中の美
小さく、かわいらしいものに心を寄せる
日本に根付いた美意識
その世界に凝縮された
技巧や趣向の数々
美のエッセンス
手の中に収まるこれらの宝物は
自分だけの「特別」なもの
    

Coming soon…(後日掲載します)

 

→さすが、国宝9件、重要文化財53件を含む世界屈指の日本・東洋美術のコレクションを所蔵する美術館ですね。とりわけ近年有名なのか「曜変天目茶碗」です。これ一度見たら忘れられないくらい美しいお茶碗だと思います。

※写真は情報サイト「Art Agenda」より転載(artagenda.jp/feature/news/20190305

(付録)あみじま茶屋

・ここの美術館、面白かったのが併設しているカフェについてホームページ上で専門ページを作られていたことでした。こういう美術館とカフェが密に連携して運営されているところなかなか無いので皆さんもぜひご賞味ください。
〇あみじま茶屋:https://www.facebook.com/amijima.chaya/

…いかがだったでしょうか。コロナ禍にも関わらず、2022年にリニューアルしたばかりの美術館です。東洋美術として随一と感じます。そんな藤田美術館、皆さんも大阪へ行った際はぜひ足を運んでみて下さい!

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