軽井沢の自然の中で織りなす世界的に著名な作家2人のアートと建築のコラボレーション 長野:軽井沢千住博美術館

長野県

こんにちは、マウスです。
今日ご紹介する美術館、まだ行ったことがない(作家さんの作品は何度も見たことがありますが)恐らく私個人としてもかなり好みな空間つくりがされているのではないかと推測しています。(私の大好きな豊島美術館)と同じ西沢立衛氏による建築です。

また、存命の個人の作家を展示する館は、日本ひろしとは言え、兵庫県の横尾忠則現代美術館の例を除けば多くはありません(このブログでは本館で2館目でしょうか)。それほどまでに日本人を惹きつける作風と軽井沢は世界的な観光地、避暑地としても有名ですが、このような立地にまさしくぴったりな美術館…それでは早速見ていきましょう。

このブログで紹介する美術館

軽井沢千住博美術館

・開館:2011年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県・市、観光協会HPより転載)

・場所
軽井沢千住博美術館 – Google マップ

軽井沢の自然の中で織りなす世界的に著名な作家2人のアートと建築のコラボレーション

・軽井沢の自然とそれを受けたアートと建築による空間作りを焦点に、日本を代表する日本画家の千住博氏と建築家の西沢立衛氏のコラボレーションで創設。1978年から制作された重要な千住氏の作品群を収蔵。西沢氏の建築は、軽井沢の自然地形を活かし、床はかつての土地の起伏のまま、軽井沢の森の中に千住作品が一体となるイメージで鑑賞することが出来る空間を演出。また、敷地には150種類を超えるピンク、イエロー、パープル、シルバー、レッド等の美しい樹々・草花のカラーリーフガーデンが広がっており、館長の品川惠保氏は「光、風、さわやかな空気を感じさせる軽井沢で創造的な新しい世界を実際に体験していただくことで、皆様が知らなかった世界を知る機会になれば」と述べられています。

千住博とは

・日本生まれ。ニューヨーク在住の画家。崇高で巨大なスケールの滝や崖の作品で世界的に知られる。抽象表現主義に根ざしたミニマルな表現と日本古来の絵画技法を組み合わせた作品を制作。2007年から2013年まで京都造形芸術大学学長を務め、現在は京都芸術大学教授、康耀堂美術館館長、ヴァン・クリーフ&アーペル芸術学校(レコール)マスターズコミッティー委員、公益財団法人徳川ミュージアム相談役などを務める。東京、京都、ニューヨークを拠点として精力的に制作活動を続け、ヴェネツィアビエンナーレ絵画部門で東洋人として初めて名誉賞を受賞。

→千住さん、本美術館が建設されるにあたって以下のようなコメントを残されています。
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・異質なもの同士がハーモニーを奏でたときに、本当に美しい調和が生み出される、と私は常に思っています。この美術館も、先進的な建築家と組ませていただくことによって、いままでどこにもなかった新しい空間が出現したらいいなと思っていました。そして、本当に世界どこにも見たことのないような、まったく新しい創造的な空間がここに現れました。私はこの美術館を、豊かな自然に囲まれた避暑地でもあるこの場所だからこそあり得る、光あふれる、明るい美術館にしたいと思っています。その中で、私の作品を年代を追って、観ていただくことのできる、理想的な空間です。 多くの方に観に来ていただいて、美しいものを観たなと、勇気が出てきた、生きる力が湧いてきた、新しい発見があった、そのような体験を、もしこの美術館でしていただけることが出来るのであれば、もうそれにまさる喜びはないですね。
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千住博 略歴

・2022年
日本芸術院会員に任命
第4回日米協会金子堅太郎賞特別賞を受賞
・2021年
日本藝術院より「瀧図」(高野山金剛峯寺襖絵)に対し令和二年度(第77回)恩賜賞および日本藝術院賞授与
国宝薬師寺東塔平成大修理奉賛 平成の寶玉に選出され、同奉納
紺綬褒章飾版と木杯受章
・2020年
個展「Beginnings」(サンダラムタゴールギャラリー、ニューヨーク)
高野山金剛峯寺障屏画が奉納
・2019年
画業40年 千住博展 ー荘厳と格調・21世紀の日本画ー (日本橋三越本店)
「高野山金剛峯寺襖絵完成記念千住博展」巡回展(そごう美術館、北九州市立美術館、神戸ファッション美術館・神戸ゆかりの美術館共同開催、愛媛県美術館)
・2018年
優秀芸術賞受賞(フィラデルフィア日米協会)
ブルガリより「オクト フィニッシモ 千住博」発売
「高野山金剛峯寺襖絵完成記念千住博展」巡回展(富山県美術館、鶴岡アート・フォーラム、秋田千秋美術館・秋田県立美術館共同開催)
千住博&チームラボ コラボレー ション展 「水」(堂島リバーフォーラム)
日米特別功労賞受賞(ニューヨーク商工会議所)
・2017年
個展「地の果て」(サンダラムタゴールギャラリー、ニューヨーク)
第4回イサム・ノグチ賞受賞
・2016年
大徳寺聚光院に奉納した襖絵を狩野永徳の国宝障壁画とともに一般公開
薬師寺「水と光の幻想」展(薬師寺東院堂)
薬師寺 晋山慶讃特別展「千住博展 -色彩 時空を超えて-」(薬師寺東院堂)
平成28年度外務大臣表彰受賞
・2015年
個展「Day Falls/Night Falls」(サンダラムタゴールギャラリー、シンガポール)
JR女川駅・駅舎タイル壁画制作(設計:坂茂)
第56 回ヴェネチアビエンナーレ「Frontiers Reimagined」展出品(ヴェネチア、イタリア)
故宮博物院南院プロジェクト完成(中華民国 台湾)
・2014年
オペラ「夕鶴」の舞台美術を担当
・2013年
オペラ「KAMIKAZE」の舞台美術を担当(東京文化会館)
回向院障壁画完成
大正大学さざえ堂アートディレクション担当
KITTE開業記念アートプロジェクト「想い桜」を監修
個展「Day Falls/Night Falls」(サンダラムタゴールギャラリー、香港)
個展「千住博が描く源氏物語展‐平安王朝の空を見つめて‐」(佐川美術館)
瀬戸内国際芸術祭
「プレリュード」(花柳壽輔、坂東玉三郎主演)の舞台美術を担当(東京文化会館)
・2012年
個展「CLIFFS」(サンダラムタゴールギャラリー、ニューヨーク、アメリカ)
OUBセンター陶板壁画完成(シンガポール)
「日本舞踊×オーケストラ-伝統の競演-」の舞台美術を担当(東京文化会館)
・2011年
JR博多駅のアートディレクション担当
軽井沢千住博美術館開館
「水・火・大地 創造の源をもとめて」展(熊本市現代美術館)
「第5回成都ビエンナーレ」(成都、中国)
「Vision of Nature, Lost and Found, in Asian Contemporary Art」(香港アートセンター、香港)
グッチ創設90周年を記念する金閣寺方丈でのアーカイブ展「時の贈りもの」を監修
・2010年
「20世紀美術への招待状」展(岐阜県立美術館)
「佐久市立近代美術館名品展」(高崎市タワー美術館)
「千住博 青の世界 -東山魁夷からの響き-」展(香川県立東山魁夷せとうち美術館)
瀬戸内国際芸術祭
APEC JAPAN 2010の会場構成を担当
羽田空港(東京国際空港)新国際線旅客ターミナル並びに拡張した第2旅客ターミナルのアートディレクションを担当
・2009年
家プロジェクト「石橋」母屋「空の庭」完成(ベネッセアートサイト直島、香川)
個展「New Light from a Far」(サンダラムタゴールギャラリー、ロスアンジェルス、アメリカ)
個展「Out of Nature」(サンダラムタゴールギャラリー、香港、中国)
・2008年
「液晶絵画」展(三重県立美術館、国立国際美術館、東京都写真美術館を巡回)
赤坂サカス赤坂Bizタワー陶板壁画「四季樹木図」制作
東京メトロ副都心線・新宿三丁目駅陶板壁画「ウォーターフォール」制作
・2007年
「山種美術館所蔵名品展」(富山県立近代美術館)
「松風荘」襖絵完成(ペンシルベニア、アメリカ)
「百柱をたてる-空即是色・千住博」(松本市立美術館)
個展「Haruka Naru Aoi Hikari」 (サンダラムタゴールギャラリー、ニューヨーク、アメリカ)
・2006年
第6回光州ビエンナーレ(光州、韓国)
ジャガー・ルクルト「レベルソ」誕生75周年特別限定モデルの文字盤をデザイン
「直島スタンダード2」展(ベネッセアートサイト直島)
個展「千住博」展(山種美術館)
・2005年
ミラノサローネ「レクサス・Lフィネス」(ミラノ、イタリア)
個展「大徳寺聚光院別院襖絵七十七枚の全て」展(福岡アジア美術館)
・2004年
羽田空港(東京国際空港)第2旅客ターミナルのアートディレクション担当
・2003年
「大徳寺聚光院の襖絵」展(東京国立博物館)
「絵画の現在」展(新潟県立万代島美術館)
「現代『日本画』の精華」展(熊本市現代美術館)
「現代の日本画‐その冒険者たち」(岡崎市美術博物館)
グランドハイアット東京「ウォーターフォール」壁画制作
・2002年
「ニューウェイオブティー」展(ジャパンソサエティー、アジアソサエティー、ニューヨーク、アメリカ)
第13回MOA美術館 岡田茂吉賞絵画部門 大賞受賞
「水墨の香り」展(ソウル国立現代美術館、ソウル、韓国)
・2000年
「両洋の眼展/21世紀の絵画」出品作品「ライフ」に対し河北倫明賞受賞
・1998年
広島市現代美術館収蔵「八月の空と雲」に対し紺綬褒章受章
・1996年
個展「千住博 Waterfalls & Glasses」展(彫刻の森美術館)
・1995年
個展「千住博展」(台北市美術館、台北、台湾)
第46回ヴェネチアビエンナーレ (ヴェネチア、イタリア) にて名誉賞受賞、絵画作品としては東洋人として史上初
・1994年
個展「千住博1980-1994展」(山中湖高村美術館)
「星のふる夜に」に対し第4回けんぶち絵本大賞受賞
第7回MOA美術館 岡田茂吉賞絵画部門 優秀賞受賞
・1993年
ニューヨークの美術誌「ギャラリーガイド」の表紙に選出される
個展「Flatwater」(マックスウェルデビッドソンギャラリー、ニューヨーク、アメリカ)
・1990年
「収蔵作品による近代日本画の歩み展」(神奈川県立近代美術館)
・1989年
個展「ジ・エンド・オブ・ドリーム」(マンリー市立美術館、シドニー、オーストラリア)

→私が学生の頃(2009年以前)から著名な作品を多く残していましたが、また更にそこからの活躍がめざましいのですね。今や世界の「センジュ」となっているようです。

西沢立衛とは

・妹島和世氏とのユニットSANAAにて建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞した建築界の俊英。1966年(昭和41年)、神奈川県生まれの建築家。1990年(平成2年)、妹島和世(せじま-かずよ)建築設計事務所勤務。1995年(平成7年)、妹島とともに建築事務所「SANAA」を設立。1997年(平成9年)、西沢立衛建築設計事務所設立。2001年(平成13年)、横浜国立大助教授。妹島との共同建築プロジェクトで,国際情報科学芸術アカデミー・マルチメディア工房で日本建築学会賞作品賞(1998年)、金沢21世紀美術館でベネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞(2004年)・毎日芸術賞(2005年)、「建築界のノーベル賞」ともいわれるプリツカー賞(2010年)を受賞。2012年(平成24年)、豊島美術館で村野藤吾賞、建築学会賞。2014年、SANAAは仏北部ランスのルーブル美術館分館の建築でフランスの建築賞、銀の定規賞を受賞。横浜国大卒。

→西沢立衛さんの建築としては豊島美術館熊野古道なかへち美術館(田辺市立美術館分館)の際にもご紹介しました。(なお、お兄さんの西沢大良さんも建築家で、その建物は「宮浦ギャラリー六区」でしたね。)

→西沢さんも本美術館が建設されるにあたって以下のようなコメントを残されています。
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最初に千住さんに声をかけていただいたときに、明るく開放的な、今までなかったような美術館を考えられないか、というお話をいただきました。明るい空間の中で、人々が千住さんの作品世界を体験でき、また同時に、集まってくつろいだり、自分の時間をすごせたりできる空間です。
建物の構成は、既存の敷地地形に合わせてゆるやかに傾斜していく、ランドスケープのような一室空間です。深く軒を出して、シルバースクリーンとUVカットガラスによって光を制御しながらも、軽井沢の風景や緑、光が室内に柔らかく入ってきて、軽井沢の自然と千住さんの芸術が、融合し調和します。人々は森の中を歩くようにいろいろな場を巡り、各所に配された家具でくつろぎながら、千住さんの作品と対話したり、豊かな自然を感じたりすることができます。公園でもあり、同時にプライベートなリビングでもあるような、開かれた空間を目指しました。
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いかがでしょうか。HPにはあまり千住作品を掲載されていないのが残念ですが、実際に足を運ぶときっと千住博の世界観というのが伝わってくるのではないかと思います。作品は当然ながら建築も素晴らしいと二度おいしい美術館です。皆さんも軽井沢お立ち寄りの際はぜひ足を運んでみて下さい。
※画像はアートアニュアルオンライン(https://www.art-annual.jp/news-exhibition/exhibition/21208/)または長野県観光情報TPTTEOKI信州(https://shinshu.fun/)より転載

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