こんにちは、マウスです。
私、この全国美術館紹介の福岡県を記載した後に本美術館が漏れているのを気づいていました…が、九州エリアのバランス(これを載せると福岡ばっかり紹介してしまうことに…)を考えて後から紹介する形としました。後から紹介すると言っても、別にどうでもいいとかそんなことは全くなくて、むしろこの美術館が持つコンセプトや作品群を本気でご紹介するとすると少し時間がかかるなと思って(面倒になり)今に至った次第です。
どうでもいいですが、この美術館、福岡の一大歓楽街:中州エリアの「リバレイン」という商業テナントの7、8階にあり、その下の5、6階には「アンパンマン こどもミュージアム」があります。子どもに連れられよく行っていました…(と言うと私の居住地がばれてしまいそうですが)
ということで早速ご紹介です。
このブログで紹介する美術館
福岡アジア美術館
・開館:1999年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、市観光協会HPより転載)
・場所
福岡アジア美術館 – Google マップ
アジアの近現代の美術作品を収集・展示する世界で唯一の美術館
・確か「福岡市美術館」をご紹介したときに、その収蔵方針として「古代から近世以前のアジア美術」とあったのは覚えていらっしゃいますでしょうか?福岡市美術館の方が近世以前のアジア美術のみを対象としたのはこの福岡市アジア美術館ができたからです…ということはもうお分かりの通り、本館は「近世以降のアジア美術」をコンセプトに運営されています。
アジアとの交流拠点、福岡
・福岡市は、古代からアジア文化の受容窓口であったという地理的、歴史的な特質をふまえて、長年にわたり、アジアの交流拠点都市としての役割があります。福岡アジア美術館は、その福岡市のアジアとの交流への先進的な取り組みのひとつとして1999年に誕生しました。
世界に唯一、アジアの近現代美術の専門館
・アジアの近現代の美術作品を系統的に収集し展示する世界に唯一の美術館。美術館のHPには、「作品は、西洋美術の模倣でもなく、伝統の繰り返しでもない、変化しつづけるアジアの『いま』を生きる美術作家が切実なメッセージをこめて作り出した、既製の「美術」の枠をこえていくもの」と紹介されています。
創造・発信する交流の場
・アジアの美術作家や研究者を招へいし、滞在制作やアジア美術の研究など様々な美術交流を通して、人々がアジアの美術・文化に親しむ場としても機能。福岡・日本とアジアが、また市民と美術にたずさわる人々が、単に出会うだけではなく、互いに理解し、共に創造し発信していくことを目指す交流型の美術館を目指されています。
「まち」の中のライブな美術館
・本館は、福岡と博多の「まち」のエネルギーがうずまく都心にあり、この「まち」に生きる人々が、アジア美術を通してアジアの「いま」へ最短距離でアクセスできる都心型の美術館をコンセプトの1つにしています。アジアの美術作家たちも、「まち」特有の場所や表現方法を活かして、「まち」を生きる人々へとアプローチしています。
取り組み内容
美術交流
・アジアから美術作家と研究者を招へいするレジデンス・プログラムを実施。美術作家や研究者たちは福岡での滞在を通して地域の人々と交流し、また作品制作やワークショップ、パフォーマンス、講演会など様々な美術交流が行われています。また、国内外の美術館や美術研究機関との情報交換、調査研究・交流活動も展開。美術作家と市民、国内外の研究者や専門家との相互協力的なネットワークを築いています。
教育普及
・幅広い層の市民が参加できるワークショップや講演会などの教育プログラムを実施。美術館のボランティアスタッフによる展示作品の解説などを通して、アジアの美術や文化にふれ、理解を深める機会を設けています。また、「あじびニュース」(季刊)やホームページなどの広報物を製作し、アジア美術の情報も発信。
調査研究
・アジア各国での近現代美術に関する研究を、現地調査や文献資料などを用いて継続的に実施。成果を展覧会や講演会などの形で発表しています。また、現地調査で集めたアジアの美術に関する貴重な資料を市民や国内外の専門家に提供、世界各地から福岡を訪れるアジア美術の研究者とともにアジア美術の研究を深めています。
作品の収集
・優れた芸術性と独自性をもつアジア近現代美術の絵画、彫刻、版画、工芸など多様な作品を系統的に収集。原則として19世紀から現代までの近現代の作品を中心に、パキスタン以東、モンゴル以南、インドネシアの以北以西の23の国と地域の作品を対象としています。2022年現在、約4500点を所蔵。欧米とも日本とも異なる独自性を持つアジアの近現代美術作品を系統的に紹介しています。
収集方針
(1) アジア美術の近代から現代へ至る流れを系統的に示す作品
(2) アジアの近現代美術を考える上で重要な、民俗芸術や民族芸術、大衆芸術
(3) その他、アジアの近現代美術を考える上で重要な、伝統的な美術・工芸
→アジア美術の独自性を示す優れた作品を、近代と現代を中心に系統的に収集し、西洋近代の価値観でつくられた従来の「美術」の枠にとらわれない、アジア美術の独自性や固有の美意識を示す作品を収集。新たなアジア美術の価値の創造を目指しています。ここでいう「アジアの近代美術」は、アジア各国・地域が西洋近代の美術や文化と出会い、個人の創造性を重視して、伝統美術とは異なる新たな美術表現を模索しだしてからの美術の意味との事。福岡アジア美術館では、各国・地域でそれぞれ異なる美術の文脈にそってこの「近代」の問題を考えています。
アジアコレクション100
・福岡アジア美術館のHPには「アジアコレクション100」と題し、主要な作品を100点掲載されていました。ユニークなものばかりですのでぜひ一度ご覧ください。
〇福岡アジア美術館 アジアコレクション100:https://faam.city.fukuoka.lg.jp/collections/
(参考)開館20周年記念展の時のチラシ
…いかがでしょう、まさに「西洋の美術史の文脈のみでは語れない」作品の数々なのではないかと思います。美術・芸術にとってもっとも重要な多様性の根本となるような美術館だと感じます。そんな福岡アジア美術館、地下鉄の駅を降りて直結ですので皆さまもぜひご来館下さい!
(参考)福岡とアジア~略歴
・最後に、福岡市とアジア、そして本館建設までの経緯を軽くおさらいしておきます。(前身の福岡市美術館時代から)
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・1979(昭和54)年、福岡市美術館開館記念 アジア美術展第1部「近代アジアの美術~インド・中国・日本~(11/3-12/2)」
・1980(昭和55)年、福岡市美術館開館1周年記念特別展 アジア美術展第2部「アジア現代美術展(11/1-11/30)」
[参加国=バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ネパール、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、日本 計13ヶ国]※第1回アジア美術展は上記2本の展覧会の総称
〇シンポジウム「西洋からの影響によって変容したアジア美術の伝統と将来の課題」
・1981(昭和56)年、ザオ・ウーキー展(10/6-10/21)[中国]
・1983(昭和58)年、韓国現代美術展(12/8-12/27)
・1984(昭和59)年、福岡市美術館開館5周年記念「アジア絵画との出会い 伝統と現代を考える(10/24-11/18)」
・1985(昭和60)年、第2回アジア美術展(11/2-12/1)
[参加国=バングラデシュ、ビルマ(現ミャンマー)、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ネパール、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、日本 計13ヶ国]
〇特別部門「バリの美術」/アジア・フェスティバル/シンポジウム「アジアの現代美術―将来の展望」
・1986(昭和61)年、「第2回アジア美術展」を九州各県に巡回(4/2-6/29)、「第2回アジア美術展」を韓国国立現代美術館に巡回(8/26-12/25)
・1988(昭和63)年、アジア現代作家シリーズⅠ ロベルト・フェレオ展(1/26-3/13)[フィリピン]、アジア現代作家シリーズⅡ 何多苓展(9/27-11/13)[中国]
・1989(平成元)年、ナムジュン・パイクのロボット家族「日本漫遊記」(6/27-7/16)[韓国]、福岡市美術館開館10周年記念、第3回アジア美術展―日常のなかの象徴性(7/6-8/13)
[参加国=バングラデシュ、ブルネイ、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、モンゴル、ネパール、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、日本 計15ヶ国]
〇アジア・フェスティバル/版画ワークショップ
「第3回アジア美術展」を巡回(9/7-10/3韓国国立現代美術館 11・3-12/25横浜美術館)
・1990(平成2)年、アジア現代作家シリーズⅢ タワン・ドゥチャネー展(2/6-3/25)[タイ]、物語の棲む杜―アセアンの現代美術(福岡市美術館の所蔵品による)(2/12-2/26 国際交流基金アセアン文化センター・ギャラリー)[ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ]
伝統―インスピレーションの源泉(5/2-6・17)[ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ]、アジア現代作家シリーズⅣ タン・チン=クァン展(12/11-91.2/11)[マレーシア]
・1991(平成3)年、現代中国の美術(4/2-4/21)、アジア現代作家シリーズⅤ タン・ダ=ウ展(9/10-11/10)[シンガポール]、福岡市美術館所蔵によるアジア現代美術展(9/17-10/6 那覇市民ギャラリー)
・1992(平成4)年、東南アジアのニューアート―美術前線北上中(9/29-10/18)
・1993(平成5)年、アジア現代作家シリーズⅥ ラシード・アライーン展(2/2-3/28)[パキスタン]
・1994(平成6)年、アジア現代作家シリーズⅦ ドルヴァ・ミストリー展(2/8-3/27)[インド]、ナムジュン・パイク展(8/30-10/23)[韓国]、福岡市美術館開館15周年記念、第4回アジア美術展―時代を見つめる眼(9/10-10/16)
[参加国=バングラデシュ、ブルネイ、中国、インド、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ネパール、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム、日本 計18ヶ国]
〇特別部門「リキシャ・ペインティング バングラデシュのトラフィック・アート」展/ワークショップ
・1995(平成7)年、「第4回アジア美術展」を巡回(1/1-2/12箱根・彫刻の森美術館 2/17-3/21秋田県総合生活文化会館 4/5-5/14世田谷美術館)、アジア現代作家シリーズⅧ モコ展(3/14-4/23)[インドネシア]、アジア現代作家シリーズⅨ キム・ヨンジン展(9/5-11/5)[韓国]、描かれた魔力 ・1930年代バリ島バトゥアンの絵画(12/5-96.1/21)[インドネシア]
・1996(平成8)年、現代中国の美術(8/31-9/23)、アジア美術フォーラム(―福岡市アジア美術館(仮称)の開館にむけて―)、トーク・ショー「アジア美術―暮らしに生きる夢のかたち」(9/7)、ワークショップ「親子で体験!みんなでインドの絵を描こう」(8/31 9/1,2)、福岡市アジア美術館(仮称)起工記念、アジア・コレクション展 神話から/現実へ 1977-1995 (9/28-10/20)
・1997(平成9)年、アジア現代作家シリーズⅩ ハン・ティ・ファム展(2/4-3/30)[ベトナム/アメリカ]、東南アジア―近代美術の誕生(5/9-6/8)[インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム]、「東南アジア―近代美術の誕生展」を巡回(6/17-7/13広島県立美術館7/19-8/31静岡県立美術館 9/6-10/12東京都庭園美術館)
〇アジア美術フォーラム(―福岡市アジア美術館(仮称)の開館にむけて―)
千人の竹の響き(8/24)[フィリピン]
・1999(平成11)年3月6日、福岡アジア美術館開館、開館記念展「第1回福岡アジア美術トリエンナーレ1999(第5回アジア美術展)」(6月6日まで)
・2002(平成14)年、第2回福岡アジア美術トリエンナーレ開催
・2005(平成17)年、第3回福岡アジア美術トリエンナーレ開催
・2006(平成18)年、アサヒグループ芸術文化財団よりアサヒビール芸術賞受賞
・2008(平成20)年、釜山市立美術館と相互協力協定締結
・2009(平成21)年、第4回福岡アジア美術トリエンナーレ開催
・2010(平成22)年、財団法人地域創造より地域創造大賞(総務大臣賞)受賞
・2010(平成22)年、シンガポール国立ギャラリーと相互協力覚書締結
・2014(平成26)年、福岡市教育委員会から経済観光文化局に移管
・2014(平成26)年、第5回福岡アジア美術トリエンナーレ開催
・2015(平成27)年、開館以来の観覧者が300万人を超える
・2016(平成28)年、開館以来のレジデンス招聘者が100人を超える
・2019(平成31)年、開館以来の観覧者が500万人を超える
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