今週のPickUp!展覧会

〇仏教美学 柳宗悦の見届けたもの @日本民藝館 会期:3/20(木・祝)まで

<概要>
・1949年に主著作『美の法門』を上梓した柳宗悦。仏教美学の更なる探求と強固な構築を目指した柳は、1961年5月に歿するまで、その樹立を願い留まることはありませんでした。本展では仏教美学に関わる資料展示と、柳が1955年10月に行った「東洋思想講座 第五回」の映像(音源を基に制作)を初上映し、柳が直観で見届けた具体的な作物の提示と共に、悲願とした「仏教美学」を顕彰します。

〇特別展 ドキュメント「アートキャンプ白州」-記録映像で甦る夏 1988~2010-
 @山梨県立美術館 会期:3/23(日)まで

<概要>
・1988 年、「野外芸術祭」が未だ日本になかった時代、山梨県の白州町に音楽、演劇、舞踊、美術、建築、農業など、あらゆる表現に関わる人々が国内外から集い、稀有なお祭り「白州・夏・フェスティバル」が行われました。その後、「アートキャンプ白州」、「ダンス白州」とタイトルを変えながら、2010年まで続きました。その中心を担っていた田中泯は、農村地から都市を逆照射するかのように芸術の真髄を模索し発信しました。
 本展ではその歴史を物語る記録映像や資料を展示し、「アートキャンプ白州」を山梨県で改めて紹介する機会とします。

〇滋賀県立美術館開館40周年記念 BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現 @滋賀県立美術館
 会期:3/23(日)まで

<概要>
・ふと目に入った日常の「モノ」にレンズを向ける。カメラを手にしたことのある人であれば、誰しもが経験したことがある行為ではないでしょうか。カメラからスマートフォンへ、撮影するという行為はさらに一般的になり、SNSの普及により「モノ」を撮影した多くの写真が世界中に溢れています。

 タイトルの「ブツドリ(物撮り)」という言葉は、もともとは商業広告などに使う商品(モノ)を撮影すること。この「ブツドリ」を「物」を「撮」るという行為として広く捉えてみると、写真史の中で脈々と続いてきた重要な表現の一形式であることに気がつきます。

 本展は「モノ」を撮影することで生まれた写真作品を、この「ブツドリ」という言葉で見なおし、日本における豊かな表現の一断面を探る試みです。重要文化財である明治期の写真原板から、文化財写真、静物写真、広告写真、そして現代アーティストの作品まで、200点以上の写真作品を出品します。わたしたちにとって身近な「ブツドリ」。その奥深さを覗いてみましょう。

〇Digital×北斎【急章】その2 @NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
 会期:3/30(日)まで

<概要>
・九十歳よりは画風を改め百才の後にいたりては此道を改革せんことをのみねがふ長寿くんしわが言のたかわさるをしりたまふべし
(九十歳より画風を改め、百歳を過ぎたらこの道を改革することを願っている。長寿の君子よ、私の言葉が間違っていないことを知ってほしい)
『画本彩色通』初編の跋文、弘化5年(1848)

てんわれ をして五年の命を保たしめは、真正の画工となるを得へし」
(天があと5年の命を与えてくれたなら、真の画工になれたのに)
北斎最期の言葉 飯島虚心『葛飾北斎伝』蓬枢閣、明治26年(1893)

北斎が最期に遺したと言われる言葉です。
ここで北斎は「絵師」ではなく「画工」という言葉を用いています。江戸時代において、幕藩のお抱えの「絵師」と民間の「画工」は明確に区別されていました。北斎が自らの生涯をかけ目標とする姿を「絵師」ではなくあえて「画工」と述べたことには、生涯を通じて腕一本で己の道を切り開き、自由に描き、創ることを目指した強い意志が込められているのではないでしょうか。
本展覧会では、北斎の画業の生涯を振り返り、晩年にたどり着いた、超越した創造と革新の道を、小布施に遺した4枚の祭屋台天井絵、そして北斎が生涯で唯一創作に関わった立体作品と言われる祭屋台装飾を中心にご紹介いたします。真正の画工として北斎が生み出そうとしていた世界を、原画を細部まで忠実に再現した高精細複製画や3D デジタルアプリケーションなどを通じてぜひご体感ください。

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