今週のPickUp!展覧会 2025年5月②、6月①

神奈川県

〇DESIGN MUSEUM JAPAN展2025  ~集めてつなごう 日本のデザイン~
 @国立新美術館 会期:5/25(日)まで

<概要>
・『デザインの国』とよばれる日本。それは高価でカッコイイ物や近代的なプロダクトだけを指しているのではありません。実は、日常のくらしの中の道具や仕組み、生活習慣といったものにも、優れた〈デザイン〉が隠れているのです。

 この展覧会は、NHKがすすめている全国各地の生活文化のリサーチプロジェクトに伴走するものです。第一線で活躍するクリエーターたちが、さまざまな〈デザイン〉を現場でリサーチ。その成果を「デザインミュージアムジャパンプロジェクト」として、展覧会やトークショーなどへと展開してきました。プロダクトデザイナー・柳宗理のデザインのプロセス、新潟・佐渡の船大工が暮らした町並み、世界最先端の富山のスポーツウエア、岡山で作られるプロペラの合理的な美しさ、秋田の西馬音内盆踊り衣装の魅力、滋賀の石積職人「穴太衆」の技術、などなど…。

 「これもデザインと呼ぶの?」と疑問を持つものがあるかもしれません。しかし、クリエーターたちにとっては、触発され、わくわくした気持ちになって次のおもしろい物を組み立てる原動力になるもの、〈デザインの宝物〉と呼びたくなるものです。そうして集めた日本中の〈デザインの宝物〉をつないでいけば、日本全体がひとつの大きな〈デザインミュージアム〉だととらえられるのではないか。

 日本中の多くの人に、〈デザイン〉は、実はわたしたちのまわりにあふれていて、日々の暮らしに豊かさや活力を与えていることに気づいていただきたい。そして、今はまだ存在しない日本の〈デザインミュージアム〉の姿についての、ひとつの提案となることを願っています。

〇アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.17 ニュー銀座堂 @岐阜県美術館 会期:5/31(土)まで

<概要>
・アーティストはどうやって作品を作り出していくのだろう?
 どんな人が作っているのだろう?
 作っている時何を考えているのだろう?

  完成した作品を美術館で鑑賞するだけではわからないアートが生まれる瞬間を体験できたり、 時には参加することができるのがアーティスト・イン・ミュージアム。 美術館の中にアーティストのアトリエが出現します!

 17回目となる「アーティスト・イン・ミュージアム」では、岐阜柳ヶ瀬商店街にある表現者のためのサードプレイス「ニュー銀座堂」のメンバーたちが、アトリエで公開制作と作品展示を行います。

ー AiMによせて ー

やってみたい、やりたい、そんなときに自信がなくても、
やる気がなくても、わかんなくても
はなそう、あそぼう、みんなでアニメでも見る?
いや今日は絵をかこう、
つくろう、そんな気分。(ニュー銀座堂代表 渡邉百恵)

〇民藝 無作為の美 ―深澤直人が心を打たれたものたち @日本民藝館 会期:6/1(日)まで

<概要>
・自然の中から生まれ出た作為なき民藝の美に、なぜ人は心を打たれるのでしょう。プロダクトデザイナーで当館館長である深澤直人が、館蔵コレクションの中から自身が感動し刺激を受けた生活道具を選び、「温もり」や「親しさ」「愛らしさ」といった民藝美の魅力に光を当てます。生活美の結晶である民藝の存在が、未来に向けた「ものづくり」や「生きる方向」を確かめるための、大事な試金石となることでしょう。

〇横浜美術館リニューアルオープン記念 おかえり、ヨコハマ @横浜美術館 会期:6/2(月)まで

<概要>
・2025年2月に全館オープンした横浜美術館では、「横浜」をキーワードに、美術館のコレクションに立ち返る展覧会を開催中。おなじみの名作に加え、各所から作品をお借りし、アーティストにも新作を依頼します。テーマは「多様性」。開港前に生きた人びと、女性、子ども、さまざまなルーツを持つ人びとなどに注目します。すると、よく知っているはずの作品にもびっくりするほどたくさんの発見があることがわかります。また、子どもがゆっくりと作品に向き合える「子どもの目でみるコーナー」もあります。

※展覧会の見どころ※
1.「横浜」の歴史の新たな発見を美術館で
…「横浜」をキーワードに「多様性」という観点のもと、絵画、写真、工芸、映像などの作品や資料を通して、新たな視点で意外な横浜の歴史を深掘りします。

2.横浜美術館コレクションの名作の数々が久しぶりに勢ぞろい
…セザンヌ、ピカソ、マグリットや奈良美智など、近代美術の名作から現代美術の作品まで楽しむことができます。

3.子どもも一緒に楽しめる
…子どものために作品を選び、見やすいよう工夫して展示する「子どもの目でみるコーナー」を会場内に設け、親子でお話ししながら鑑賞する機会をつくります。

〇マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート @森美術館 会期:6/8(日)まで

<概要>
・仮想空間と現実世界が接続し、人工知能(AI)が飛躍的に発展するなか、新しいテクノロジーは私たちの日常生活に急速に浸透し、とりわけコロナ禍は仮想空間における活動を加速させました。また、顧みればテクノロジーとアートは、コンピューター・アート、ビデオ・アートなどの歴史のなかで常に併走してきました。近年のビデオゲームやAIの発展がアーティストの創造活動に全く新しい可能性をもたらす一方で、生成AIの登場は、人類の創造力にとっての脅威ともなっています。こうした動向は、現代アートの文脈においても大きく注目されています。

 本展では、ゲームエンジン※1、AI、仮想現実(VR)、さらには人間の創造性を超え得る生成AIなどのテクノロジーを採用した現代アート約50点を紹介します。そこではデジタル空間上のさまざまなデータが素材となった全く新しい美学やイメージメイキング(図像や画像を作ること)の手法、アバターやキャラクターなどジェンダーや人種という現実社会のアイデンティティからの解放、超現実的な風景の可視化、といった特性が見られます。ただ、これら新しい方法を採用しながら、アーティストの表現の根幹では普遍的な死生観や生命、倫理の問題、現代世界が抱える環境問題、歴史解釈、多様性といった課題が掘り下げられています。

 「マシン」とアーティストが協働する作品や没入型の空間体験は、「ラブ(愛情)」、共感、高揚感、恐れ、不安など私たちの感情をおおいに揺さぶるでしょう。現実と仮想空間が入り混じる本展は、人類とテクノロジーの関係を考えるプラットフォームとして、不確実な未来をより良く生きる方法をともに想像する機会となるでしょう。

※1 コンピューター・ゲーム制作に必要な機能をまとめたソフトウェアをさす。

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