日本自動車殿堂入り、個人で集めた500台の実用車コレクション 石川:日本自動車博物館

アートな場所

前に社会人になって自動車に詳しくなったとの話を書きました。また、SUBARUの本拠地がある太田市美術館についても触れました。他にも、自動車と言えば…愛知県や広島県をイメージする人がいるかもしれませんが、実は石川県に日本ではじめての自動車博物館が立地しています。なぜでしょう。そんな石川県1館目は、自動車の歴史が学べる資料館(アート施設)です。ちなみにこのアート施設の創設者、2004年には「スバル・360」主任設計者:百瀬晋六、初代トヨタ・カローラ開発主査:長谷川龍雄、元ホンダの社長:久米是志らとともに日本自動車殿堂を受章されています。では早速。

このブログで紹介するアート施設

日本自動車博物館

・開館:1995年 ※但し、前身の建屋は1978年にオープン
・アート施設外観(以下画像は施設HP、県・市観光協会HPより転載)

・場所
日本自動車博物館 – Google マップ
→石川県は小松市です。

日本自動車殿堂入り、個人で集めた500台の実用車コレクション

・展示台数日本最大級を誇る自動車博物館。20世紀に日本国内で活躍した車を中心に各地より収集し、所有台数800台、常時約500台の自動車を使用していた当時の状態で展示。自動車産業の黎明期(れいめいき)の車から戦後の車まで、メーカーやジャンルなど、さまざまなコンセプトで括り分類分け。特に日本製の古い商用車を多数展示しているのが特徴で「日本自動車博物館でしか見ることの出来ない貴重な車」も存在するそうです。

館の運営は、富山県小矢部市に本社を置く、石黒産業株式会社が行っており、1978年(昭和53年)に当時の社長であり、自動車愛好家である前田彰三さんが、富山県小矢部市にて日本で初めての自動車博物館として開館。昭和の高度成長期にトラックなど実用車が使い潰される風潮を良しとせず、特に実用車の収集に力を注ぎ、個人のコレクションとして公開したことが日本自動車博物館のはじまりです。2004年には東京国立科学博物館において、特定非営利活動法人・日本自動車殿堂から自動車業界の名だたる偉人とともに殿堂入りの称号を受章されています。

設立の想い

そんな前田彰三さん、どんな想いで実用車収集をはじめられたのでしょうか。館のHPにその想いが載っていましたので掲載しておきます。
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・1950年代、日本の自動車産業は生産設備への投資を活発化。朝鮮戦争の勃発により、アメリカのGHQの特需により、アメリカからの産業の自立を求められ、戦後の復興を本格的に軌道に乗せる為、戦争用の武器・四輪車・三輪車などの生産企業への参入が増え競争が激化。日本人の多くが、外国の豊かな生活に憧れ、象徴である自動車に注目し、次々と性能が向上した新型車に熱狂し、「新しい物は良い物である。」と、過去のモデルは次々と廃車され消えていった時代でした。前田彰三は、その流れを良しとせず、仕事で使ったトラックや個人的に購入した自動車を保管。1930年、戦時中の日本の地方で生まれた前田は、会社の跡取り若社長とは言えど、現場の仕事を一から経験して体を使って働いた。修理しながら共に汗水流して働いた自動車達。戦争中で何も無い時代、物を大切にする想いと、また仕事で大切に使っていた商用車を、簡単に廃車する事は出来ず、戦後、新車が販売されるたび、その性能と技術の向上に日本の企業の開発力・素晴らしさを心から賞賛し、素直に自動車を愛した人でした。

 今でも日本の経済の高度成長期の中、日本の自動車メーカーの歩みを一同に見渡せる施設は日本国内では無く、現在でもこの博物館だけです。国内外の先人達の足跡を懐かしみ、参考とし、各々が考え、未来の豊かな生活への役に立てて頂きたい。自らの人生と財産、全てを賭けて日本の自動車史の為に残したい。博物館の自動車コレクションを通じて、亡くなった今でも、その人望と志に感銘を受け多くの自動車愛好家が集まる歴史ある館です。(日本自動車博物館HPより)
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→何となく、心に染みた箇所をマーカーしてみました。「新しい物は良い物である。」と、過去のモデルは次々と廃棄されていく現状に見ていられなくなりコレクションをはじめたのですね。何でもかんでも物が揃う時代、何となくまだ使えるものでも広告などに踊らされて購買欲をかきたてる企業戦略が多くとられるようになりました。一方で世の中は昔ほど高成長が望めなくなってきているのも事実です。そんな時代にこの前田さんの想い、言葉は色々と考えさせられるところがあるなと個人的には感じました。それとこれは蛇足かもしれませんが、日本自動車博物館、かの有名な加賀温泉郷のエリアに存在するのですね。自動車の逸品を観たあとに、それにふけながら温泉に浸る…なかなか良いかもしれません。

ぜひ観てほしいクルマたち

・館のHPには「ぜひ観てほしいクルマたち」と題して様々な古い実用車の画像が載っていました。本ブログでもご紹介しておきたいと思います。
                 

→こう並べると圧巻ですね。あらためて「よくこれ個人で集めたな…」と思ってしまいます。そら、名だたるメンバーと自動車殿堂入りするわけです。

(付録)石黒産業株式会社とは

・最後に、本ブログらしく、この偉大なコレクターの母体、「石黒産業株式会社」についてご紹介しておきます。
現在は。1893年創業。元々は、赤レンガ製造、セメント陶菅販売、木材業、土木建築請負事業などを営んでおられたようですが、現在はブロックやレンガ・石材・ライトなど幅広いエクステリア建材をホームビルダーや工務店へ販売しているようです。(石黒産業HP:https://www.ishikuro.jp/

〇ちなみにより詳細の会社の歴史はコチラ:https://www.ishikuro.jp/outline/history/

…あまり自動車関係ないんですね。それで日本最大級の自動車博物館ですから、それにも驚きでした。(ちなみに個人としてはそこに逆にものすごいコレクター魂を感じました。1台1台ピュアに集めたという魂を)

ということでいかがだったでしょうか。次回も少し変化に富んだ館を紹介したいと思っています。引き続き本ブログ「絵本とアートと。」をよろしくお願いします。

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