こんにちは。今日ご紹介する作家さん、私も好きで印象深い日本画の方です。
親・子・孫、三代にわたって著名な日本画家を有する、そんな家系ってなかなかないのではないでしょうか。近畿日本鉄道㈱中興の祖、佐伯勇氏が寄贈を受け、奈良市にあった自宅の敷地内に美術館を建てました。そんな美術館が今日ご紹介する美術館です。
このブログで紹介する美術館
松伯美術館
・開館:1994年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県・市観光協会より転載)
・場所
松伯美術館 – Google マップ
女性として初めて文化勲章を受章。日本画壇に燦然と輝く作家とその子・孫三の画業を紹介
・女性として初めて文化勲章を受章した上村松園とその子・孫である松篁・淳之三代にわたる作品、草稿、写生等、美術資料の収集と保管し、彼女/彼らの画業を紹介。上村松篁・淳之両画伯からの作品の寄贈と近畿日本鉄道株式会社からの基金出捐により1994年3月に開館。加えて、広く日本画の普及、作家の育成を図るため、特別展、公募展等も開催されています。
松伯の由来
・「松」は、松園・松篁両画伯の名前と、美術館所在地である故:佐伯勇近鉄名誉会長旧邸の庭に植えられている百数十本の松に、「伯」は、画伯の伯と佐伯氏の伯あるいは邸内の茶室の号、「伯泉亭」に由来。「松伯(しょうはく)」の音は、常磐木である「松柏」にも通じるようにとの意味が込められているそうです。
主なコレクション
上村松園
・明治8年(1875)~昭和24年(1949)
京都生まれ。鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事。1948年、女性として初めての文化勲章を受章。京都の風俗、歴史、謡曲の物語等に取材した気品ある格調高い女性像を描く。
→上の画像で鼓太鼓をもった女性の絵。私は松伯美術館でしばらくこの絵の前で立ちすくんでいました。保存状態も良いのでしょうが、それほどまでに素晴らしい色彩美と構図、女性が女性を描いた絵ってなかなか美人画として大成しないと言われる中(単に男性の美意識と僅かに合致しないからだと個人的には感じていますが)、上村松園は見事に男女問わず美しい女性の絵を確立しました。皆さんもまだ見たことがない方は一度実物を見てみて下さい。きっと衝撃を受けると思います。
上村松篁
・京都生まれ。母は上村松園。京都市立絵画専門学校に学び、西山翠嶂に師事。1948年、日本画団体「創造美術」の結成に参加。1984年、文化勲章受章。近代的造形、色彩感覚を取り入れた花鳥画で知られる。
上村淳之
・上村松篁の長男、京都に生まれ。京都市立美術大学に学ぶ。1995年、日本芸術院賞受賞。東洋独自の絵画表現を模索しながら花鳥画の新しい展開を求めて研鑽を重ねる。日本芸術院会員。京都市立芸術大学名誉教授。創画会会員。京都市学校歴史博物館館長。2013年 文化功労者として顕彰。(現:公益財団法人 松伯美術館 館長)
…いかがだったでしょうか。良い絵というのはだらだら説明する必要はないということをあらためて認識させられる絵画の数々です。(もちろん説明することでアートとして完成するタイプもありますが上村三代の絵画はその対極に位置するかもしれませんね)
私も言葉少なめに(笑)終わりたいと思います。日本人ならきっと、いや日本人でなくともきっとその燦然と輝く岩絵の具の魅力に惹きこまれるのではないかと思います。それではまた。
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