ヒロシマのいま…市制100周年を記念、日本で一番最初の公立現代美術館 広島市現代美術館

広島県

こんにちは。今日は広島以西で希少な現代美術専門の公立館のご紹介です。こちら市制施行100周年、広島城築城400年にあたる平成元(1989)年5月3日に開館しました。30年も前に市の記念事業として現代美術にスポットを当てたのは先見性がありますね。

当時の市長:荒木武さん、広島県安佐郡三篠町(現在の広島市西区)生まれで、1945年の広島原爆投下の際に被爆されています。詳細は調べきれませんでしたが、その経験からか荒木さんは市長就任時に広島を「国際平和文化都市」となる都市づくりを最高の目標として掲げ、市政を推進したそうです。(広島市では世界の恒久平和を願い「ヒロシマ賞」の選定、授与を3年に1度この美術館を舞台におこなっています)

そんな想いがいまも根付く広島市、ここにある現代美術館のご紹介です。

このブログで紹介する美術館

広島市現代美術館

・開館:1989年 ※2020年12月より改修工事のため休館中です(リニューアルオープンは2023年3月18日予定)
・美術館外観(以下画像は美術館HP、市観光協会より転載)

→上空ショット。広島市南区、比治山公園内にあります。

・場所
広島市現代美術館 Hiroshima MOCA – Google マップ

ヒロシマのいま…市制100周年を記念、日本で一番最初の公立現代美術館

・公立館では国内初の現代美術を専門とする美術館としてオープン。を見渡す比治山の丘陵、桜の名所としても親しまれている緑豊かな公園内に位置。建築設計は黒川紀章氏。美術館を訪れる方々の多様なニーズを受け止め、より多くの方に開かれた美術館となることを目指しているそうです。

美術館の理念

広い分野からの作品の収集・保存

・作品の収集にあたっては、3つの方針に沿って各分野の優れた作品を系統的に収集保存。

収集方針

①主として第二次世界大戦以降の現代美術の流れを示すのに重要な作品
②ヒロシマと現代美術の関連を示す作品
③「将来性ある若手作家の優れた作品

多種多様な展示

・テーマを設定して収蔵作品を展示。多様な現代美術の展開を身近にし、こころを刺激する企画展を開催。また、映像やパフォーマンスなど、さまざまな表現の可能性を探求しています。

活発な普及活動

・現代美術に関する資料、模型、映像、図書などを収集。また、講演会、講座、ワークショップなど幅広く企画を実施。

美術館の基盤となる調査研究活動

・現代美術に限らず、広く美術に関する総合的な調査研究活動を実施。

開催中のプロジェクト

・現代美術の専門に取り扱う館ですから、比治山公園に近いアパートの一室に鶴見分室101(いちまるいち)という別館を開設し、展示や情報発信を行っているそうです。今回はそのプロジェクトの一部をご紹介。

ヒスロム「現場サテライト」

・アーティスト・グループ「ヒスロム」が、休館中の美術館を探索し、改修工事によって姿を変えていく現場と関わりながら、様々なアクションをしかけます。その過程を館外展示やオンラインを通じて発信。
https://renovation2023.hiroshima-moca.jp/project/hyslom/

2m26「ツールボックス・プロジェクト」

・フランス出身のデザイン・ユニット「2m26」が、美術館のために、「ツールボックス」を制作。休館中、2m26とゲンビがツールボックスに色々な道具をつめ込み、市内各地にあらわれ、ワークショップを開催。ものづくりをしたり、おしゃべりしたり、あそんだり、くつろいだり、ともに過ごす時間を楽しむことができます。
https://renovation2023.hiroshima-moca.jp/project/2m26/

トヨダヒトシ「映像日記/スライドショー」

・写真をプリントせず、35mm フィルムによるスライドショーのみで発表する異色の写真家・トヨダヒトシによる作品上映。作家自らがアナログのスライド映写機を操作し、屋外空間に設置されたスクリーンにスライド作品を投影するかたちで「映像日記」を発表します。
https://renovation2023.hiroshima-moca.jp/project/hitoshi_toyoda/

新生タイポ・プロジェクト

・美術館の近隣地域をはじめとする広島市内、そして館内や館にまつわる資料にひそむ文字デザイン(タイポグラフィー)を調査、それらの特徴を活かした新たな文字作りにとりくみます。それらは美術館リニューアルの一環として、増築部分や機能拡張がはかられるエリアを中心に、館内表示の一部で使用予定。
https://renovation2023.hiroshima-moca.jp/project/typo/

リニューアルオープン記念特別展 Before/After

・全館を用いた特別展「Before/After」を開催。美術館の改修工事によって生じる変化を足がかりに、「劣化と修復」「夢と希望」「歴史」「原子力」「産業奨励館と原爆ドーム」「楽園」「災害と再生」をキーワードに、様々な現象や状況の「前」と「後」に着目。広島市現代美術館のコレクションを中心に、若手作家による新作とを交えた構成で、社会の変化やシステムの綻び、隠されたり葬り去られた過去や歴史などに敏感に反応し、作品として発表してきたアーティストたちを取り上げ、それぞれが出来事と向き合う姿勢、そして変転や変遷の後先を静かに想起させる作品を紹介しています。
https://renovation2023.hiroshima-moca.jp/project/before_after/

横山裕一:「実施しろ」「何をだ」

・疾走感のある描線や独特なキャラクターたちの繰り広げるナンセンスな会話等で「ネオ漫画」とも称される横山裕一の作品。比治山公園に点在する看板や工事のための通行止めフェンス、さらには比治山を飛び出して市内の様々な場所に展開しています。作品は今回のプロジェクトのための描き下ろし。比治山やゲンビにまつわることがらをテーマに、登場人物たちによる不思議な会話が繰り広げられます。
https://renovation2023.hiroshima-moca.jp/project/yuichi_yokoyama/

 

…広島市現代美術館、今は改修のため休館中ですが、2023年3月以降にリニューアルでさらに新しくなっていく姿、楽しみですね。現代美術館として30年超の歴史をもつ美術館は全国にも滅多にありませんので、ぜひ「現代アートの30年」にスポットを当ててご覧いただけたらと思います。
それでは、引き続き本ブログ「絵本と、アートと。」をよろしくお願いします。

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