地域とともに歩む「アートのための家」 青森:十和田市現代美術館

アートな場所

こんにちは。
突然ですが、皆さん車は好きですか?
実は私、通勤で毎日往復120㎞くらい車に乗っています。ちょっとしたテストドライバーより乗っている自信があります。オイル交換も2ヶ月に1回ディーラーへ行っているので、ここ数年で随分と車に詳しくなりました。(地方在住ですしね)

よくモータージャーナリストの五味やすたかさんや河口まなぶさんのYoutube動画を楽しみに見ています。(自分が乗るわけではないのに…乗った感じになるのが楽しい。ゲーム見る専の人と同じ気持ちでしょうか)

その中で最近は個人的にマツダに注目しています。元からマツダはデザインで攻めているところがあり興味深かったのですが、中でも最近マツダのカラーに加わった「ポリメタルグレー」という色。オートカラーアウォードという車の色、デザインの優秀賞を2019年に受賞しています。

(自動車ニュースメディアclicccarより転載 https://clicccar.com/2018/11/29/660435/

参考:「塩ビ管の色」を車に…?マツダの色はなぜ印象的なのか https://newswitch.jp/p/21563

ちなみに、マツダのデザインをつかさどるデザイン本部シニアクリエイティブエキスパートの岡本圭一さんは以下のようなコメントを残されています。
・色を考える際にヒントになったのが、最近トレンドとなっている「古い倉庫をリノベーションしモダンな家具を入れた空間」でした。そこを見ていた時、本来ならば壁の中に埋め込まれている建築資材がむき出しになっているのに興味をそそられました。その塩ビ管の色が青みがかったグレーで、マツダがこれまで開発してきた「万人が美しいと思う色」に対し、塩ビ管のように一般的には高価値ではないものに新たな価値を見出すようなことに挑戦しようと考えました。また、リノベーション倉庫は古いものと新しいものの組み合わせで新たな魅力が生み出されている空間です。これも「違った要素の組み合わせで新しい価値を生む」というアイデアに繋がっていきました。

→これ、さらっと言われていますが、めちゃくちゃすごいことですよね。イメージって色でできているし、色はイメージを導くから、それをデザインで昇華するってほんと意味わからんくらいすごいことですよね。

そんな感じで現代においても色んな分野においてそのデザイン性や創造性をもって従来の壁を打ち破ろうと工夫している人たちを見るとこちらも勇気がもらえますね。ところで、私たち市民にとってそんな新しい発見や心の拠り所になるものが身近にある現代美術館ではないでしょうか。

前置き長くなりましたが、今日ご紹介する美術館も仮にも県庁所在地や大都市圏にあるわけではないですが、ユニークなコレクションと企画展で現代アート界において大きな存在感を示しています。

それではご紹介します。

このブログで紹介する美術館

十和田市現代美術館

・開館:2008年
・美術館外観(以下、写真は美術館HP及び市観光協会HPより転載)

・場所
十和田市現代美術館 – Google マップ
※そもそも「十和田市ってどこ?」って方のために少し遠景にしました。

地域とともに歩む「アートのための家」

・空き地が多く見られるようになった十和田市の官庁街通りを未来に向けてより魅力的で美しい景観に作り変えるための活動として「Arts Towada」に取り組まれているそうです。これは通り全体をひとつの美術館に見立て、多様なアート作品を展開していくもので、そこに十和田市の歴史や美しい自然、そして地域のもつ活力を引き出し未来へつなげていくような仕掛けを随所に盛り込んでいっています。

・個々の展示室は、「アートのための家」として独立させ、敷地内に建物を分散して配置し、それらをガラスの廊下でつなげていることもユニークです。各展示室を独立配置させることで、それぞれのアート作品にあわせて建築空間をつくることができ、両者のより密接な関係を結んでいます。また、アート作品が展示されるスペースはいろいろな方向に向かって大きなガラスの開口を持ち、アート作品がまちに対して展示されているかのような開放的な構成となっています。

設計者の⻄沢立衛さんのインタビューを載せておきます。

美術館のコンセプトなど

・アートによる「新たな体験」を提供し、未来の創造へ橋渡しをする美術館となることを目指す。
1)アートが持つ驚きの体験を提供し、訪れる人々の生活と人生に精神的な豊かさをもたらす。
2)現代のアートの先端的で最良の作品展示を行い、十和田を日本有数の魅力的な文化の街にする。
3)街、地域、伝統との交流を通して、創造性の相互作用を促進し、地域の経済活動、創作活動、生活に知的な刺激をもたらす。

→十和田という街との関連性、地域全体で盛り上げていくことを大切にしている姿勢が伝わりますね。また、アートの効能の中でも特に「新たな体験」や「驚きの体験」というのを重要視しているようですね。

主なコレクション

<塩田千春>

<名和晃平>

<松原慈>

<チェ・ジョンファ>

※コレクション写真は以下のWEBサイトも参考にしています。
・ADFWebmagazine(https://www.adfwebmagazine.jp/art/artsticker-x-towada-art-center-opens-special-site-towada-art-center-collection-includes-arts-of-yayoi-kusama-yoshitomo-nara-ron-mueck-and-others/)、PenOnline(https://www.pen-online.jp/article/010924.html

私個人は数年前、ここを凍えるような真冬の雪の中、長靴を履いて訪れました。エルヴィン・ヴルムの「ファット・ハウス」という作品があるのですが、幻想的な雪の中、妙に生々しい存在感を醸し出していたのを思い出しました。いまだに脳裏に刻み込まれているのですから、本美術館の狙い通りの結果と言えますね(笑

※パブリックアートのポータルサイト「@ART(アットアート)」より転載(https://at-art.jp/

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