パチンコ999(スリーナイン)を改装、島内外が集う憩いの場へ 香川:宮浦ギャラリー六区

アートな場所

こんにちは。香川県直島…ここは今や現代アートのメッカですので、まだまだアート施設が点在しています。今日ご紹介するスポットは元々島民の娯楽の場としてにぎわったパチンコ店を改装したというからユニークですね。それでは早速見ていきましょう。

このブログで紹介するアート施設

宮浦ギャラリー六区

・開館:2013年
・美術館外観(以下画像は施設HP、県・観光協会HPより転載)

・場所
宮浦ギャラリー六区 – Google マップ

パチンコ999(スリーナイン)を改装、島内外が集う憩いの場へ

・かつて島民が娯楽の場として通った「パチンコパーラースリーナイン」を、建築家・西沢大良が展示施設として設計・改装。長年島の人々に親しまれてきた旧パチンコ店のファサードはそのままに、本体は全面的に改修し、展示施設として再生しています。展示施設は、作品を自然光の下で鑑賞できるよう天井には約400本のルーバーを用い、季節や時間の移り変わりとともに異なる作品空間をつくり出しています。隣接する児童公園の一角に芝生の休憩テラスを設け、ギャラリーからの観客の出口を公園側にも設けることで、鑑賞者と直島の子どもたちが一つの空間に共存できるよう、ギャラリーにとっての前庭を兼ねた屋外空間となるよう工夫しています。

西沢大良とは

・1964年生まれ。87−93年、入江経一建築設計事務所勤務。93年、西沢大良建築設計事務所設立。主な作品に《立川のハウス》(97年東京建築士会住宅建築賞受賞)、《熊谷のハウス》《大田のハウス》(99年東京建築士会住宅建築賞受賞)、《諏訪のハウス》《二つの会場──ICC1周年記念展覧会会場》《ショップ・エンデノイ》など。1998年、くまもとアートポリス デザイン・コンペティション 優秀賞受賞。弟は同じく建築家の西沢立衛。

瀬戸内「   」資料館 プロジェクト

・2019年9月より、宮浦ギャラリー六区を拠点に始まったプロジェクト。アーティスト・下道基行によるこのプロジェクトは瀬戸内海地域の景観、風土、民俗、歴史などについて調査、収集、展示しています。施設HPによると、「訪れる方が島の記録や記憶にふれ、新たな視点でこの地域のあゆみを振り返り、新しい関係性や島の未来をつくる場所を目指すこと」、また「そこに住む人々や関わりを持つ人々とともに、各分野の専門家も交えて活動を展開し、島を見つめる新たな視点を提示すること」などをコンセプトに活動をされています。

プロジェクトの名称にある「   」の中には毎回の展示のテーマが表記され、展示に向けた一連の活動の記録や資料は、施設内のラックに保管。これまでの調査や展示の過程でおよそ500点の書籍や写真集などの資料を収蔵しており、訪れた方に手にとって読むことが可能です。プロジェクトは隣接する二つの建築を拠点に活動。一つは旧パチンコ屋を改装した「宮浦ギャラリー六区」(通称:六区 ※上記参照)、もう一つは旧焼肉屋を改装した「へんこつ」です。「宮浦ギャラリー六区」は調査結果を発表・展示し、収集した資料をアーカイブする「展示収蔵室」として使用されています。「へんこつ」は島民や島で働く人などが集い活動する「研究室」として活用されています。

下道基行とは

・1978年、岡山県生まれ。2001年、武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。2003年、東京綜合写真専門学校研究科中退。大学卒業後4年間、時間をみつけては日本全国を旅し、2005年に日本全国に残る軍事遺構の現状を調査撮影した『戦争のかたち』をリトルモアより出版。その後、自らの祖父の遺した絵画を追って旅したシリーズ『日曜画家 /Sunday Painter』を展示と手製本の写真集で発表。その他、2004年より日本全国で放置されている軍事遺構を一時期だけスクウォッ ト/再利用/イベントを起こしながらそれを記録していくプロジェクト「Re-Fort PROJECT」。2006 年より日本の国境線の外側を旅し、日本植民地時代の遺構の現状を調査する『(torii)』、最近では用水路に架けられた木の板やブロックで出来た”橋のようなもの”を撮り集める『bridge』など。

グループ展は、2014年「恵比寿映像祭 2014」(東京都写真美術館 / 東京)、2014年「Once is not enough」(Audio Visual Pavilion/ 韓国)、2013年「六本木クロッシング 2013」(森美術館 / 東京)、2013年「返常 : アジアンアートビエンナーレ 2013」(国立台湾美術館 / 台湾)、2013年「路上と観察をめぐる表現史—考現学以後」(広島市現代美術館 / 広島)、2012年「MOT アニュア ル 2012 風が吹けば桶屋が儲かる」(東京都現代美術館 / 東京)、2012年「光州ビエンナーレ 2012」(光州、韓国)など。

幼い頃、近所の崖に貝塚を堀に出かけたり古墳に関心を持ち、考古学者になることを憧れていた。 現在では、写真や文章を表現手段に、モノ/コトの残り方/消え方、それらを内包する風景の在り方など、目の前に広がる風景に興味を持ち旅やフィールドワークをベースに表現を続けている。

(参考)研究室 へんこつ

・旧パチンコ屋に隣接していた旧焼肉屋「へんこつ苑」を、建築家・能作文徳の手によって、島民や島で働く人との交流、様々な活動を行う研究室として2022年に設計・改修した施設。雨漏りがひどかった屋根を修繕し、天窓を追加することで建物全体が明るくなり、2階の床は撤去して吹き抜けにしたことで、伸び伸びと使える開放的な空間を実現。建物の特徴として念頭に置いたのは、“使いながら空間に手を加えられる”こと。耐力壁の間には机や棚、ベンチが作り付けられ、建築構造を利用したDIYが展開されています。仕切りにポリカーボネートを使用した冷暖房が機能する部屋も後に追加。今後も活動の変容とともに、空間が成長していくことをコンセプトとしています。

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