こんにちは。能登半島、行ったことがありますか?
能登半島はこの前ご紹介した富山県の氷見市、石川県の羽咋市にはじまり、その先端部には石川県は珠洲市、輪島市などがあります。今日ご紹介する美術館はその能登半島のちょうど中間地点、七尾市にあります。ここは安土桃山時代~江戸時代に千利休や豊臣秀吉らに重用され活躍した日本画家、長谷川等伯誕生の地です。(20代の頃まで故郷の七尾で日蓮宗関係の仏画や肖像画を描いていたそう)
そんなところになぜ美術館が⁈と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、早速ご紹介しておきましょう。
このブログで紹介する美術館
石川県七尾美術館
・開館:1995年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県・市観光協会HPより転載)
・場所
石川県七尾美術館 – Google マップ
長谷川等伯誕生の地で、紡績業界を代表する経営人が集めた能登半島随一のコレクション
・七尾市名誉市民で紡績業を営んでいた故池田文夫氏の蒐集美術品「池田コレクション」125点の寄贈がはじまり。桃山美術の画聖と讃えられる長谷川等伯生誕の地でもある。偉大な芸術家を育んだ背景には、当時の都の文化を積極的に取り入れて育てた畠山文化と、交易で栄えた町衆の経済的豊かさがあったといわれています。能登地区唯一の総合美術館として、年間を通じての様々な企画展の開催によって、優れた美術品に接する機会の提供と、未来を担う青少年の学習の場として、また、地域の多くの皆様の芸術文化活動の拠点ともなるような、開かれた美術館をめざしているそうです。
池田文夫とは
・1907年(明治40年)、七尾市に生まれ。戦後まもない1948年(昭和23年)、岐阜県大垣市で和興紡績株式会社を設立。中部石川県人会会長や日本経営者団体連盟常任理事など、中部地方を代表する経営人として活躍し、1987年(昭和62年)、80歳で亡くなりました。池田氏にはその多岐にわたる功績に対し藍綬褒章が贈られた他、岐阜県大垣市からは産業功労賞、また1984年(昭和59年)、七尾市の名誉市民に推挙。池田氏は美術品に対して大変興味を持ち、その蒐集に情熱を注ぎました。若かりし頃、貰ったばかりのボーナスをそっくり作品の購入にあて、夫人に空の袋を渡して驚かせたという逸話もあるほど。氏の美術品に対する姿勢は、作品をあれこれ難しく考えるのではなく、とにかく気に入った作品を純粋に「いじる」事を至福としたそうです。コレクションの内容は滞在した岐阜県美濃地方にゆかりが深い「黄瀬戸」「志野」「織部」などの陶器類を中心とした茶道美術館と、日本の近現代絵画からなりたっています。
→このコレクションの寄贈があったからこそ能登半島に美術館ができたのですね。
長谷川等伯とは
・桃山時代の画家。長谷川派の祖。能登国(石川県)七尾(ななお)に生まれる。実父は七尾城主畠山家の家臣・奥村文之丞、養父は長谷川宗清で染色を業とした。初めは生国で仏画を中心に制作。1572年(元亀3)以前に上洛していたものと思われるが正確な年は不明。のちまもなく等伯と号し、当代漢画壇に独自の地位を占めた。1583年(天正11)ごろ、織田信長の菩提所・総見院、1589年には三玄院など、大徳寺の客殿襖絵(ふすまえ)や、同じく大徳寺の天井画・柱絵を描いた。1593年(文禄2)、一門を率いて、豊臣秀吉の愛児棄丸の菩提を弔うために創建した祥雲禅寺の障壁画(現京都・智積院障壁画、国宝)※1を制作。金地に濃彩を用いた絢爛豪華なその作品は、桃山盛期を代表する傑作の一つに数えられる。その後、妙心寺隣華院、大徳寺真珠庵、南禅寺金地院および天授庵、禅林寺など京洛諸寺院の襖絵を描く。1610年(慶長15年)、徳川家康の召に応じて下向した江戸の地で客死。わが国の水墨画史上最大の傑作の一つに数えられる『松林図屏風』(国宝、東京国立博物館)※2を残した。
※1 祥雲禅寺の障壁画(現京都・智積院障壁画)
(画像はブログ「桜の傑作を見にゆく~ 智積院(https://openmatome.net/matome/view.php?q=14592990183103)」から転載)
※2 松林図屏風(→日本の水墨画史上最大の傑作の一つです)
(画像は「東京国立博物館(https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A10471)から転載)
美術館設置の目的
・能登地方の芸術的個性を活かし、地方色豊かに芸術活動の中枢的な役割を果たし、広く開かれた魅力ある美術館とする。
コンセプト
①能登にゆかりのある作品を中心に収集展示する。
②豊かな美術文化の創造と推進をはかる。
③芸術文化活動の拠点として情報サービスを行う。
主なコレクション
・「池田コレクション」と「能登ゆかりの作家・作品」に大別。「能登ゆかりの作家・作品」では、長谷川信春(等伯)が若い頃に描いた作品をはじめ、現時点における能登地方唯一の総合美術館として、能登ゆかりの古今の作家や作品を幅広いジャンルで紹介することを重要なテーマとされているようです。
池田コレクション
能登ゆかりの作家・作品
…いかがだったでしょうか。池田コレクションと長谷川等伯…その2つが能登半島に集結する。なんだか不思議な組み合わせのような気がしますね。石川県へ行かれた際は、少し足を伸ばして七尾市まで行かれてはいかがでしょうか。引き続き本ブログ「絵本と、アートと。」をよろしくお願いします。
(マウス)
コメント