隔たりを超えた極致「足立美術館」

アートな場所

衆院選前シンジョウ聞こゆ 白球の先に時代を見るやも

こんにちは、学生時代に1年間短歌クラブに所属していたマウスです。
新庄選手、あの赤パーカーはどうなんでしょう。
でもあんな50歳いたら日本も元気になるかもしれませんね。
選挙も終わりましたが、色々と今後に期待です。

今後といえば、だいたい執筆者3記事に対して私が1記事くらいの割合でMC代わりに記事を書こうと思っていましたが、執筆者の筆が遅いこと遅いこと。。

子育てしながらってのもあるんでしょうけど、執筆者に会ったときに「どうせまだ誰も見てないんだから適当に書いたら?(→失礼すぎる私)」と言ったところ、読んでいる人がいる限り適当には書けないし、記事の質は下げられないとの回答。
…ブロガーの鏡です。

どうでもいい内輪話はいいとして、10/24の2nd.CHで項目に挙げた記事のうち、今回は足立美術館(島根県)をご紹介したいと思います。

ここは知る人ぞ知る、米国の日本庭園門誌「Sukiya Living Magazine / The Journal of Japanese Gardening」の日本庭園ランキングにおいて19年連続庭園日本一(2022年時点)を誇る美術館です。[ちなみに2位はこれまた17年連続で桂離宮(京都府)で、直近の3位は同じく島根県にある皆美館のようです。島根県ってお庭のレベル高いんですね!]
他にも「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」での三ツ星獲得やトリップアドバイザーのエクセレンス認証でも5年連続受賞のうえ殿堂入りするなど、枚挙にいとまがありません。

今や有名な美術館となってしまいましたので、その庭園の素晴らしさや横山大観の名作については各雑誌等のメディアに任せるとして、私は今回少し異なる視点でその素晴らしさをご紹介したいと思います。

と、その前に以下の画像をご覧ください。

いかがでしょう。もはや庭園という枠組みを超えて、1枚の絵画のような色彩と構図ではないでしょうか。

これは庭師7人を含む職員約30人による毎朝の清掃を365日(!)欠かさないという並々ならぬ努力や、時には奥に借景として映る山々(館所有)の枝1本1本まで剪定を行うという執念が実を結んでいるということは言うまでもなく、私が今回着目したいのは、この美術館が他館と比較しずば抜けて高いレベルにある「ガラスの透明さ」です。

本来ガラスとは、一般的な住宅においてもそうですが、外界と内界をその1枚の薄い壁で隔てつつも、透明であるという特性を活かし、採光や内と外との連続性など、境界で隔てつつも何らかの曖昧さを打ち出すことを主目的として使用されます。だって隔てるだけなら壁でいいわけですからね。

以前、ヨーロッパを旅行した際に、レンガや石壁など、日本と比べガラスでの採光や外界景色の取り込みが少ないことに気づきました。
これは欧米人とアジア人(日本含む)の価値観や宗教性の違いにも起因することだろうと思いますが、特に自然と人間の関係性においてはこの窓ガラス1枚をとってみてもよく表れている事例だと思います。(教会など宗教性のある施設ではステンドグラスですからね。あまり外の風景を見せるという意識はないのかもしれません。それはそれで綺麗ですけど…)

話を戻します。
で、足立美術館。私ここでお庭を見ながら考えたんですよ、もし全国の津々浦々の住宅にまでこの透明度が保たれたとしたら幸せだろうなと。

総務省が2018年に実施した調査では、日本にある(賃貸を含む)総住宅数は6240万7千戸あり、そのうち849万戸が空き家となっている現状だそうです。少子化もあり15%近い住宅が空き家となっているのは資産活用の面でも勿体ないですよね。
持ち主不明となっている空き家は足立美術館のようにお庭を整備し、窓ガラスを美しく保つだけでも市民の憩いの場として有効活用できそうな気がします。

ちなみにですが、日本ガラスクリーニング選手権というガラスクリーニングにおける職人さん達がその技術を競う全国大会が2年に一度開催されているようです。(PR動画を載せておきます)

この動画では全国大会に出場するのは総勢350名、最速タイムが大体3窓で15秒前後と紹介されています。

先ほどの全国の住宅6240万戸(1戸2階建てなら平均8窓程度でしょうか)をこの精鋭350人でクリーニングするには、ゆっくりめで1窓10秒として「(62,400,000戸×8窓×10秒×122日※3日に1回)÷350人⇒1人あたり1,740,068,571秒(≒29,001,143分≒60,419日)」・・・
もちろん移動や準備もありますので、ガラスクリーニング職人さんの今の人数だと、到底、足立美術館のように美しく、内界と外界の曖昧さが生み出す幸福を得ることができなさそうです。。残念。

まあ、この是非は置いておいて、こうやってガラス1つとってみても、色んな空想にふけることができるのもこの美術館の良さだと思いました。

最後に、AGC(旧:旭硝子㈱)のサイトに足立美術館のガラス施工について、学芸部長さんとの対談が載っていましたので記載しておきます。
https://www.asahiglassplaza.net/products/clearsight2/interview.html

お庭の窓ガラスが同じかは定かではありませんが、同メーカー品の低反射ガラスを採用しているとの事。一般的には同じ低反射でも軽さや割れにくさを考え、少し透明度は落ちますがアクリルを採用している美術館が多いようですね。(眼鏡と似た理屈です)
今度、美術館の展示室に行った際はそれがガラスかアクリルかコンコンと軽く叩いて確認してみて下さい。ガラスだったらラッキーです!(怒られそうw)

いずれにしろ、それでもなおガラス素材を使うという足立美術館の姿勢に、透明度へのあくなき追及をする館の並々ならぬ情熱が伝わってきます。

日本を代表するガラス業界。これからも国内外でその素晴らしさを発信していっていただきたいですね。

足立美術館のご紹介というよりはガラスメインになってしまいましたが、またこうやって少し違う角度から美術館やその歴史などをご紹介していければと思います。
それでは寒くなってきましたが皆さんお気をつけて。

(マウス)

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