上流花街の繁栄を偲ばせる巨大遊郭建築に秘められた知られざる世界 奈良:町家物語館

奈良県

こんにちは。桑田佳祐さんが1995年に「メケメケの世界~♪」と歌われてから早30年近くが経とうとしています。…子どもながらにあれはいったい何だったのだろうと思っていた時期もあるマウスです。

すいません、今日はこんな話から奈良県のスタートですが、大和郡山市に今ではあまり知る人も少なくなったそんなメケメケ…いや、大人の上流花街の歴史について学べるその当時の雰囲気のまま残る建物(資料館)が今回ご紹介するところです。それでは早速。

このブログで紹介するアート施設

町家物語館

・開館:1922年 ※1922年(大正11年)に納屋と蔵が、1924年(大正13年)に本館と座敷棟が建設。
・施設外観、内観(以下画像は施設HP、県観光協会より転載)
※登録有形文化財に指定(2014年10月7日)
・場所
町家物語館 (旧川本家住宅) – Google マップ

上流花街の繁栄を偲ばせる巨大遊郭建築に秘められた知られざる世界

・町家物語館は、大和郡山市内の中心市街地の南東部にある洞泉寺町に位置する町家建築。1922年(大正11年)に納屋と蔵が、1924年(大正13年)に本館と座敷棟が建設。当時では珍しい木造三階建て遊郭建築で、遊郭として一世を風靡しますが、1958年(昭和33年)に廃業。その後下宿として客間は貸間として利用されます。今もなお、当時の上流花街の繁栄を偲ばせ、良好な保存状態で現在に至っており、内部には意匠を凝らした欄間や上質な数寄屋造りの小部屋など特殊な建築技法を各所に取り入れた遊郭建築ならではの造形美が創出されています。

→恐らく、私も建築物はその歴史について詳しくないのでこちらの動画がわかりやすのではないかと思います。(私も含め知らない世界の話がほとんどだと思うので結構面白いと思います)

  
→上の画像で載せた「ハート形」の窓、「猪目」と言われる日本古来の建築文様の一種で、特にハートを意識してつくられたものではないということは意外でした。(トランプに慣れ親しんだ現代人が見るとハートマークにしか見えませんが、それはあくまで西欧起源で、明治以降に日本に伝来したもの。日本には古来からこの文様があったんですね)

これ、屋根の両端などに使われることが多いらしく雨風から保護するための破風板に「飾り板」を付け意匠を彫り込むことによって建物の品位を高める工夫をしてきたのだそうです。この飾り板を「懸魚」といい、本来は魚の形をしていたようで、火災に弱い木造建築を、水に縁の深い魚によって守ろうと願掛けをしていたとの事。瓦屋根の両端につける「鯱(しゃちほこ)」や「鴟尾(しび)」などを飾ることがありますが、あれも魚類を表し、その霊力によって火災から守ることを祈念したというルーツは同じですね。

ちなみに町家物語家、その外観もさながら、室内もお客さんと家主が顔を合わせないための工夫や、格子の数が階によって違うなどの繊細な造り、上質な数寄屋造りの小部屋、そして当時はトイレの床に透明ガラス板で大和郡山名物の金魚が泳いでいたそうでその形跡があるなど随所に見どころがあります。

さて、少しずつ奈良に行きたくなってきたのではないでしょうか。(まっとうな意味で)
日増しに寒くなってきていますが、明日から1館ずつまたご紹介していきたいと思います。

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