一人の作家をテーマにした貴重な写真専門美術館 山形:土門拳記念館

アートな場所

こんにちは。マウスです。

つい先日、車内でコンタクトレンズを外そうとしたらパチンと…。
シート下に落ちてしまい、シートを前後上下しながら「どこかな、どこかな」と必死に探しました。(注:乱視持ちのためハードレンズです)

なんとシートレールの上にのっており、私が上下前後にシートを動かしたためグニャンと曲がってしまっていました…。

「最近のハードコンタクトは割れないんだなぁ」と妙なところに感心しながらもハードレンズですから、片眼1万円くらいするわけです。目には優しいけど痛い出費でした!(って上手いこと言いかけましたががっくりorz…です)

と言ってもプラス思考で前に進もうと、これまで使用していた旭化成さんのアイミーサプリーム(球面レンズ)が少し異物感があったので、ネット等々口コミを参考に非球面レンズというものを試してみることにしました。(非球面レンズ…ハードレンズだとメニコンZやシードAS-LUNAなどが有名のようです。)

ただ、これ、サイズがそれまでの球面レンズ8.8㎜と比べ、非球面レンズだと9.2㎜と少し大きくなるのですよね。球面と非球面の違いについて、たぶん人生で考えたことなかったですが、多分20年弱ぶりくらいに眼科でコンタクトの処方を書いてもらいました。

…で、何でこんな話しているのかと言うと(注:シードやメニコン社の回し者ではありません)、非球面・球面やレンズなどを常々考えているアーティストがいるからです…そう「写真家」です。

「写真はアートなのか」

…この一大論争、今や歴史の1ページになった感はありますが、写真がアートなのかという視点は写真技術が発達した19世紀から一眼レフカメラが誕生した1950年代にかけて様々な議論が巻き起こりました。世界を見渡すと写真の誕生によりアートが担っていた写実分野からの脱却を促し、印象主義絵画の始まりにも繋がりました。
(より詳しく知りたい方は以下の故:沢本徳美日本大学芸術学部教授が書いた論文ご参照ください)
・日本写真学会誌「写真術の発達と表現の変遷」※沢本 徳美 著
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/52/6/52_6_572/_article/-char/ja/

そして日本の芸術写真家としての第一人者といえば、この山形が生んだ巨人、「土門拳」(1909年10月25日 – 1990年9月15日)です。前置き長くなりましたが、今日はこの土門拳を中心に展示している美術館をご紹介したいと思います。

このブログで紹介する美術館

土門拳記念館

・開館:1983年
→日本で最初の写真専門美術館です。これだけでも土門拳がいかに日本写真史に功績を残したのかが分かると思います。
・美術館外観
(以下、画像は美術館HP及び県観光協会HPより転載)

・場所
土門拳記念館 – Google マップ
→山形県酒田市、行ったことありますか?無い人多そうなのでだいぶ引きで載せておきます。

一人の作家をテーマにした貴重な写真専門美術館

・土門拳、酒田市で生まれ実は6歳までしか酒田市で暮らしていません。幼少の頃の僅かな記憶でしたが土門にとってとても良い思い出があったのでしょう。彼の晩年自分の全作品を酒田市に寄贈したいと申し出ます。寄贈された作品は約7万点。よほど酒田市に思い入れがあったのでしょう。そんな土門が愛した酒田市、一度訪れてみたいものです。(私もまだです)

土門のライフワークであった「古寺巡礼」をはじめ、「室生寺」「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」「文楽」「風貌」などの作品を順次公開しているそうです。

主なコレクション

・土門の生前の親交の深さがあったのでしょう、本記念館の建設に当たっては、各方面の芸術家たちが記念作品を寄贈しました。(建物は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、ニューヨーク近代美術館新館などを手掛けた建築家:谷口吉生氏が、入口正面に銘板とポスター・チケットはグラフィックデザイナー:亀倉雄策氏が、中庭の彫刻とベンチは彫刻家:イサム・ノグチ氏が、庭園とオブジェは華道草月流三代目家元:勅使河原 宏氏がそれぞれ担当)
<イサム・ノグチ>

<河原宏>

<亀倉雄策>

…そして土門拳コレクション。※写真は記念館HPより転載




土門拳とは

~ここからは付録です。土門拳について更にご紹介~(以下、資料館HPより)
・昭和を代表する写真家。徹底したリアリズムにこだわった報道写真や、寺院仏像など日本の伝統文化を独特の視点で切り取った作品を発表。激動の昭和にあって、そのレンズは真実の底まで暴くように、時代の瞬間を、日本人の現実を、そこに流れる日本の心を捉えた。「絶対非演出の絶対スナップ」など独自のリアリズム論を提唱し、戦後写真界をリード。また、写真界屈指の名文家としても知られている。

土門のことば

・実物がそこにあるから、実物をもう何度も見ているから、写真はいらないと云われる写真では、情けない。実物がそこにあっても、実物を何度見ていても、実物以上に実物であり、何度も見た以上に見せてくれる写真が、本物の写真というものである。

写真は肉眼を越える。

それは写真家個人の感覚とか、教養とかにかかわらない機械(メカニズム)というもっとも絶対的な、非情なものにかかわる。時に本質的なものをえぐり、時に瑣末的なものにかかずらおうとも、機械そのものとしては、無差別、平等なはたらきにすぎない。そこがおもしろいのである。

写真家は、機械のうしろに、小さく小さくなっている。写真家が小さくなって、ついにゼロになることは、なかなかむずかしい。せいぜいシャッターを切るとき、あっちの方を眺めるぐらいなものだ。写真の中でも、ねらった通りにピッタリ撮れた写真は、一番つまらない。「なんて間がいいんでしょう」という写真になる。そこがむずかしいのである。 [土門拳]

…ハードコンタクトレンズから、日本、山形県酒田市が生んだ偉大な写真家を回顧してみました。
皆さん是非足を運んでみて下さい!

追伸
・せっかく土門拳、写真の話になったので、人物が写っている世界初の写真を。

ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール 「パリ、タンプル大通り」(1873年)

→本格的な写真術が確立して150年。写真がアートを変え、アートが世の中を変えていったように、iPhone始めとするスマホのトリプルカメラ技術が世の中を席巻しはじめています。写真が再びアート、そして世の中を変えていく足音が迫っているのかもしれませんね。

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