旧住友家麻布別邸跡地に開館、住友家が蒐集した美術品を展示する都会の隠れ家 泉屋博古館東京

東京都

こんにちは。今日の美術館、京都でご紹介した泉屋博古館の分館になります。
場所は東京都港区六本木の旧住友家麻布別邸跡地で、大都会六本木の喧噪と比較すると隠れ家的なスポットとなっています。六本木で歩き疲れた際はぜひこの美術館にいってみてはいかがでしょうか。

 京都の本館では、中国古代青銅器を中心にご紹介しました。正直、一私立美術館が中国の国宝級のお宝をコレクションしているのも驚きで、それだけでも当時の住友家が持っていた力を垣間見ることができましたね。

 そんな美術館の東京分館、早速ご紹介しましょう。

このブログで紹介する美術館

泉屋博古館東京

・開館:2002年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、都、観光協会HPより転載)

・場所:泉屋博古館東京 – Google マップ

旧住友家麻布別邸跡地に開館、住友家が蒐集した美術品を展示する都会の隠れ家

・住友家が蒐集した美術品を保存、展示する美術館 泉屋博古館の東京分館。(泉屋博古館は、京都と東京分館の2カ所で収蔵品やそれに関連する作品の展覧会を開催しています)

 京都の泉屋博古館は住友家第15代当主:春翠氏が別荘として求めた鹿ヶ谷の地にある一方で、「泉屋博古館東京」は東京都港区六本木の旧住友家麻布別邸跡地に建てられ、当時の佇まいを今に伝える庭園とあいまって都会の隠れ家のような雰囲気を醸し出しています。

 住友家の美術品で最も有名なものは、第15代住友家当主:春翠氏(1864-1926)が明治中頃から大正期にかけて蒐集した中国古銅器と鏡鑑で、中国以外では質量ともに最も充実したコレクションとして世界的にも高く評価されています。 泉屋博古館の名称は、江戸時代の住友の屋号「泉屋」と900年前に中国で皇帝の命によって編纂された青銅器図録『博古図録』からとられました。

 その後も住友家から数々の美術品の寄贈を受けた泉屋博古館の収蔵品は、現在3000点を超えており、収蔵品の増加に伴い昭和61年に青銅器展示館の傍らに新展示室を増築、さらに平成14年に東京六本木に「泉屋博古館分館」として開設しました。「泉屋博古館分館」は、2020年1月より2021年3月まで改修工事のため休館、2021年4月、館名を「泉屋博古館東京」に改称。2022年3月リニューアルオープンしています。

泉屋博古館東京 年表

・1999年(平成11年)、東京都港区六本木の旧住友家麻布別邸跡地に泉屋博古館の分館を開設することが決定し、名称は「泉屋博古館分館」に決定。
・2002年(平成14年)
  7月、泉屋博古館分館竣工。
  10月、泉屋博古館分館開館。 「分館開館記念名品展 第Ⅰ部 青銅器と中国絵画」展開催。
・2003年(平成15年)
  4月、 「分館開館記念名品展 第Ⅱ部 茶道具と書画」展開催。
  9月、 「分館開館記念名品展 第Ⅲ部 近代の絵画と工芸」展開催。
  12月、登録博物館認可。
・2010年(平成22年)
  4月、 「泉屋博古館創立50周年記念 住友コレクションの茶道具」展開催。
・2012年(平成24年)
  1月、泉屋博古館分館開館10周年「神秘のデザイン―中国青銅芸術の粋―」展開催。
  4月、泉屋博古館分館開館10周年「近代の京焼と京都ゆかりの絵画」展開催。
  7月、泉屋博古館分館開館10周年 「近代日本洋画の魅惑の女性像―モネ・印象派旗挙げの前後―」展開催。
  10月、 泉屋博古館分館開館10周年「特別展 中国絵画―住友コレクションの白眉―」展開催。
・2015年(平成27年)~2016年(平成28年)、住友春翠生誕150周年記念展を京都本館・東京分館にて開催。
・2019年(令和元年)9〜10月、住友財団修復助成30年記念「文化財よ、永遠に」展を、住友財団・当館・京都本館および東京国立博物館・九州国立博物館との共同企画により同時期開催。
・2020年(令和2年)1月、改修工事のため休館。
・2021年(令和3年)
  4月、館名を「泉屋博古館東京」に改称。
  8月、シンボルマーク/ロゴタイプ発表。
・2022令和4年 3月 リニューアルオープン。

泉屋博古館 ロゴマークについて

・京都の本館では触れられなかったロゴマークについて少し触れておきたいと思います。

(以下はこのロゴマークに込められた美術館の想いです)
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・美術館の名称となっている「泉屋(せんおく)」は、銅の製錬業を営んでいた住友家が江戸時代に用いた屋号「泉屋(いずみや)」にちなむもので、「泉」は住友を象徴する語とされてきました。「泉」という文字の歴史をひもとくと、美術館コレクションを代表する中国古代青銅器に記された文字=金文にたどりつきます。その形は岩穴から水が湧き、広く流れでる様子をかたどっています。

 そしての美術館のシンボルマークはこの古代文字をもとに着想を得、泉から湧き出た水がやがては大河をなすように、泉屋博古館の活動が広く文化の発展に資して、訪れる人の日常に豊かな光彩を添えるといったイメージがそこには重ねられています。

 古代の造形を継承したおおらかで力強いフォルムは、太古から連なる深遠な歴史の語り部として、さらに金色の円形は創造性ゆたかな新しい文化の発信地として――このマークは、多くの方々にとってそのような存在でありたいとする美術館の思いをあらわしたものです。

 京都で設立された財団が還暦を迎え、東京館リニューアルを目前にした2021年、それぞれのカラーをもつ京都・東京両館の道しるべとして、このシンボルマークを定めました。(デザイン・アートディレクション:株式会社PACIFICS プロデュース:株式会社クリエイトボックス)
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主なコレクション

・泉屋博古館が所蔵する美術品は、中国青銅器・鏡鑑の他に中国・日本の書画、洋画、近代陶磁器、茶道具、文房具、能面・能装束など多岐にわたります。これら収蔵品の多くは、住友家第15代当主:春翠氏が蒐集したもので、春翠氏は青銅器コレクターとして有名でしたが、彼の美術品に対する関心は青銅器に留まらず、大変広い範囲に及ぶものでした。

 春翠氏は、茶の湯や能楽といった日本の古典芸能を嗜み、日本家屋で日本画を鑑賞するといった伝統的な数寄者の生活を楽しみ、その一方で当時としては先進的な西洋風の生活も楽しみ、洋画をはじめとする近代美術にも深い理解を見せています。さらに中国文人の生活にも憧れ、青銅器や文房具に囲まれた書斎で篆刻を嗜むといった文人的生活も楽しんでいた。

 このように様々な文化に興味をもった春翠氏は、美術品も自らの美意識にかなったものを洋の東西、新旧を問わずに蒐集しており、これが今日の泉屋博古館収蔵品の母胎となっています。春翠以外の収集品では、春翠氏の長男である寛一氏の中国明清代の絵画を中心とするコレクションや16代当主:友成氏が蒐集した作品、また春翠以前から住友家に伝来したものもあり、現在は3,500件(国宝2件、重文19件、重要美術品60件を含む)を超える作品群を形成、所蔵国内随一の規模となっています。

クロード・モネ

ジャン=ポール・ローランス

藤島武二

岸田劉生

北村四海

橋本雅邦

→橋本雅邦、埼玉県川越の山崎美術館でご紹介しました。和菓子屋「龜屋」さんが運営しているユニークな美術館で橋本雅邦存命時に所縁の深いお菓子屋さんでしたね。記憶が薄らいでいる方は再度読み返してみてください!

木島櫻谷

初代宮川香山

板谷波山

小井戸茶碗 銘六地蔵(16世紀)

唐物文琳茶入 銘若[南宋~元時代(13~14世紀)]

白紫段海松貝入子菱繋唐花模様厚板(江戸時代 18世紀)

…いかがでしょう。まさに豪華絢爛、都会の喧騒を離れてここまで立派な美術品を目に触れる機会はなかなか無いと思います。ぜひ皆さんも六本木へ行った際は一度足を運んでみて下さい。

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