「創造的太田人」を基本理念に、SUBARU創業の地で市民と街に溶け込む空間 群馬:太田市美術館

アートな場所

今日ご紹介する美術館。2017年にオープンしてまだ5年しか経っていないので行ったことある方少ないかもしれません。(特に群馬県や関東圏外の方は)

また、群馬県太田市…この地名を聞いてピンときた方は相当な車好きかもしれませんね。そう、あの水平対向エンジンを生んだSUBARUの本拠地があるところです。
※画像はWEB CARTOPより転載

そんなところにある美術館、私が調べた限り、企画力・実力、館内空間、立地共に素晴らしいようです。名実ともに今後飛躍しそうな美術館、ご紹介です。

このブログで紹介する美術館

太田市美術館

・開館:2017年 ※開館5年!新しい。
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県・市観光協会HPより転載)

→大阪出身の建築家:平田晃久氏の設計です。他、代表作に桝屋本店、イエノイエ、one roof apartment、ナインアワーズシリーズなど。

・場所
太田市美術館・図書館 – Google マップ
→図書館を併設しています。東武伊勢崎線:太田駅前の目のまえ!

「創造的太田人」を基本理念に、SUBARU創業の地で市民の手で創り上げる空間

・本館は、まちに創造性をもたらす、知と感性のプラットフォームを目指しているそうです。近代以降、太田市はSUBARUの企業城下町として「ものづくり」を中心に発展。ものづくりを通して培われてきた市民ひとりひとりの英知は、いまも太田市の活力の源泉となっている一方で、中心市街地の衰退、人口減少と高齢化への対応など、様々な都市課題を抱えているそうです。(→関東圏内でもこのような課題を抱えているのですね)

今後太田市が「人と自然にやさしい、笑顔で暮らせるまち」であり続けるため、「まちづくり」に対する市民の参画と協働をこれまで以上に推進していくため、太田市美術館は、「ものづくり」を通して育まれてきた太田市民の創造性を、これからの「まちづくり」に生かしていくための拠点となることを目指されています。

そのため、太田市美術館は、斬新な発想により人々の感性を刺激する多彩な美術作品と、創造的発想の源泉となる広範な知識を提供する図書資料を、同時に閲覧できる場所を提供。そのことにより太田市民に内在する創造性を開花させ太田市の未来を担う「創造的太田人」を育成することで、中心市街地に賑わいをもたらすプロジェクトを多彩に展開していっています。
(参考)「創造的太田人」 育成へのプロローグ

美術館のコンセプト

太田市に蓄積されてきた創造の遺伝子の収集と調査研究

・太田市ゆかりの美術品や工芸品、郷土の歴史に関する資料や近代産業関連資料などを収集し、その調査研究を推進することで、太田に蓄積されてきた創造の遺伝子の価値を顕在化させる。

世界の最先端の感性やクリエイティビティに触れる機会の提供

・現代において世界最先端の評価を受ける表現や知識に触れる機会を提供する。太田市民による創造的取り組みの一助となることを目指す。美術館事業、図書館事業を同時に推進することで、感性と知性の双方を刺激する。

次代を担う人材、プロジェクトの育成

・本施設を拠点として、まちに広がるプロジェクトを多彩に展開するととともに、次代を担う子どもたちの創造性の育成に取り組む。事業計画、運営に市民が主体的に参加し、市民とともに本施設を運営する。

→なんか、市民目線で、市民のより近くで活動をされたいという意欲が伝わってきますね。

建築家:平田晃久さんの言葉

ここであらためて本館設計者の平田晃久さんが建築にかけた想いが美術館HPに載っていましたので掲載しておきます。
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・太田駅北口にこの美術館図書館がつくられることになったのには切実な理由があります。太田市は人口20 万を超える豊かな市であり、太田駅はその中心に位置する、一日の乗降者数が1 万人を越える駅です。しかしながら現在駅前は閑散としています。多くの人々が車中心の生活をし、郊外のショッピングモールで買い物をするようになった結果、街の血液である歩行者が少なくなり、駅前の魅力ある街並みが喪われつつあるのです。
この建物は、人々の流れをもう一度駅前に呼び戻し、駅前の街並みを歩いて楽しい魅力あるものに育てていくためのきっかけとして構想されました。私たちはその構想に応えるようにして、建物の基本的な考え方をつくりました。
→だから駅前にあるのですね。別に立地が良いとかいう訳ではなく、かつての駅前の賑わいを取り戻したかったという切実な願いからきているのを知りました…そういえばこういう駅、増えてきているような気がします。建物も「すべての場所が街とつながっていくような」、「街を歩くような」コンセプトで設計されたそうです。

 
→この建築イメージだけでも芸術性相当高いです…

みんなで北口をつくる

・建物が完成しても、本当に完成したことにはならないと美術館側は説きます。たくさんの人々が歩き、思い思いの時間を楽しむ、生きた場所になる必要があると。そのため、太田市民の方々とワークショップをしながら、専門家も交えて議論し、たくさんの重要な決定を実施。図書館と美術館がからみ合うようなゾーニングや、箱の個数にいたるまで、この話し合いの中で決めたようです。このプロセスの中で、この建物が太田にフィットしたものになるための、たくさんの手がかりもあったそうで、実現されることになった様々な案はこうして生まれているそうです。
 
→なんか…大学のワークショップみたいと思ったのは私だけでしょうか。そんな自由闊達な空気感の中で色んな案が生まれているのですね。

ロゴマークについて

太田市美術館、ロゴデザインもかっこいいですよね。(ついでにいうとこの写真も)

→このロゴ、大きなコンセプトとして「街を取り込む、街に溶け込む」をもとに、以下の5つのキーワードを軸にデザインされたとの事。
①「新しさ(他にない新しさを持ったデザイン)」
②「シンプル(単純で印象的なデザイン)」
③「調和(建物コンセプトと調和したデザイン)」
④「オリジナル(太田市ならではのデザイン)」
⑤「ボーダレス(お年寄りから子どもまで、そして英語圏の方にとっても使いやすいデザイン)」
※訪れる人がアートや本を楽しんでもらうことと同じように、ロゴも楽しんでもらえることを目指しているそうです。

→なんか、デザインって現代社会においては大量消費されていくイメージを抱いていたのですが、この美術館のロゴデザインは街の中に溶け込んでいくような、目新しさもある中で異物感のない本当に素晴らしいデザインだと感じます。

 

コレクションについてはHPにはあまり触れられていなかったのですが、まだできたての美術館、今後収蔵品も増え、ますます地域とのつながりを深めていかれるでしょう。本美術館について更に知りたい方は事業年報と運営委員会の議事録などもありましたので掲載しておきます。(HPにアーカイブあります)
太田市美術館年報2020
太田市美術館・図書館運営委員会2021

 

時代の先端で新しい美術館の形を模索している太田市美術館、今後に注目ですね。

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