さて、富山、最後は県立美術館です。実は富山市、先日ご紹介した富山市ガラス美術館に続いて、この県立美術館も2017年にオープンしためちゃくちゃ新しい美術館なのですよね。(富山の人たち、ほんと羨ましい!)
そんな美術館、どんなコンセプトで建てられ、どんなコレクションがあるのでしょう。立山連峰の美しい風景とともにお楽しみ下さい。
このブログで紹介する美術館
富山県美術館(通称:TAD)
・開館:2017年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、県観光協会HPより転載)
・場所
富山県美術館 – Google マップ
→駅からもすぐですね。
子どもから大人そしてクマまでも、幸せな時間を感じることができる空間を目指して
・1981年に、富山県置県100周年記念事業として設立した前身の「富山県立近代美術館」から名称をかえ、富山駅北側の富岩運河環水公園に移転し、2017年に開館。
ピカソ、シャガール、ミロ、デュシャン、ポロック、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、フランシス・ベーコンの作品など、20世紀美術の国内屈指のコレクションとポスターや椅子といったデザインコレクションも充実。
「オノマトペの屋上」には「ぐるぐる」「ひそひそ」など、佐藤卓さんのデザインによるオノマトペをモチーフにしたユニークな遊具が設置されているほか、屋外広場には美術館のシンボルともいうべき三沢厚彦さんの手による大きなクマの彫刻が設置。
開館以来、多彩な企画展やイベントを行い、「見る」はもとより、「学ぶ」「遊ぶ」「楽しむ」「創る」「発表する」などをいっそう充実させ、開館僅か5年で来館者数300万人を達成した美術館です。コレクションや多彩なアート、デザインの企画展を楽しむ方々が訪れるとともに、立山連峰を望む「オノマトペの屋上」やアトリエでのワークショップを楽しむ子どもたちの声が聞こえるように。今後も、子どもから大人まで幅広い県民の皆様や美術愛好家の方など多くの方々に親しまれ、そして訪れた方々が幸せな時間を感じていただけるような美術館を目指しているそうです。
美術館のコンセプト
富山県美術館、他館と異なり、各々のコンセプトに対して文字だけでなくイメージ画像がHPについています。それも素敵でしたので掲載しておきます。
アートとデザインをつなぐ、世界で初めての美術館
・世界的コレクションを新しい切り口やテーマ、見せ方で紹介。来館ごとに何かを発見してもらえるような企画を展開し、新しい時代に対応するためにデザインの視点を積極的に取り入れ、人々とアートやデザインをつなぐ場となることを目指す。
富山の新しいビューポイントとなる美術館
・館内ももちろん屋上から環水公園や立山連峰の美しい眺望を四季折々に楽しめ、公園に遊びに来る感覚で、気軽にレストランやカフェ、ミュージアムショップに訪れてもらい、多くの人に集い、いつでも楽しめる場になる。
見る、創る、学ぶといった双方向で美術を体験する美術館
・アトリエでの創作とギャラリーでの展示、アトリエでの作家の公開制作などにより、双方向の美術体験と、体験共有による新たな交流の場を生み出す。
産業の活性化にも寄与する美術館
・新たなデザインによる工芸品や、伝統工芸とコラボレーションした土産の開発などにより、産業振興にも寄与する。
時代とともに成長し、価値が高まっていくような美術館
・地方創生、人口減少など時代が大きく変わりつつあるなかで、県民に親しまれ愛され、時代とともに成長して価値が高まっていくような美術館を目指す。
主なコレクション
世界の20世紀美術
<アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック>
<パブロ・ピカソ>
<ジョアン・ミロ>
<ジャクスン・ポロック>
<フランシス・ベーコン>
日本の20世紀美術
<棟方志功>
ポスター
<永井一正>
<亀倉雄策>
椅子
ヘリット・トマス・リートフェルト
<倉俣史朗>
屋外展示
<三沢厚彦>
・こちらのシロクマは三沢さんのコメントと一緒にご覧ください。
・私は、動物をモチーフにして「ANIMALS」という作品を制作していますが、動物そのもののリアリズムというより、人間の物事に対して感じるリアリティを大切にして作品をつくっています。
この美術館も同じように、人の様々な思いや感覚に広いキャパシティーと柔軟性を感じました。それはまるで大きな生命体のようで、優しく私たちを迎えてくれる新しい美術館の姿を感じました。
このような美術館に設置する「ANIMALS」の彫刻は、「森からふらっと遊びに来て、あまりの居心地の良さに、ここに居ついてしまった」という感覚で、立山連峰を見据え、堂々と立つ大きな「クマ」を配し、その左右の空間には、立ち上がろうとするクマや大きさの違うクマなど、造形的にも変化のある彫刻を設置したいと考えています。大きな空間の中の屋外広場ですが、「自然と響き合って存在する魅力のある空間」を作り出せればいいなと思っています。(三沢厚彦)
瀧口修造コレクション(恒久展示)※画像なし
・富山県に生まれ。詩人であり、戦後日本で最も影響力のあった美術批評家の一人。慶應義塾大学に在学中の1920年代後半にシュルレアリスムに深く影響を受け、日本における最初のシュルレアリスム詩人の一人。1940年にシュルレアリスムの中心的な画家、ジョアン・ミロの世界で最初の書物を著す。
日本が第二次世界大戦に向かう中、危険思想として、戦争終了まで警察から活動を厳しく監視。第二次世界大戦後、美術や音楽、舞踊といった様々な分野の、まだ名声を得ていない若い芸術家と積極的に親交を結び、荒川修作や河原温、草間彌生といった若手美術家の、新しい表現に対して数多くの論評を執筆し、擁護。
(富山県美術館の前身、富山県立近代美術館が20世紀美術に焦点を絞り活動してきたのは瀧口氏の助言によるものだそうです。死後、彼の書斎に残された絵画、版画、オブジェや玩具、石、貝がらなど、約700点から成る瀧口修造コレクションが未亡人から寄贈。)
シモン・ゴールドベルク コレクション(恒久展示)※画像なし
・弱冠19歳で世界屈指の名門ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに抜擢されるも、ポーランド生まれのユダヤ人であったため、ナチスの台頭により、国籍と民族を理由にベルリン・フィルを退団。また、家族はことごとく強制収容所に送られる。ゴールドベルクは九死に一生を得ますが、戦後再会を果たせた親族はごくわずかだったそう。1948年アメリカに渡り、音楽活動を再開するとともに、少しずつ身の回りに美術品を置くように。2006年、シモン・ゴールドベルク氏が亡くなった後、夫人でピアニストの山根美代子さんから、当該美術品の寄贈を受ける。油絵4点、水彩・ドローイング4点、彫刻3点、版画6点、椅子2脚、計19点。このコレクションはゴールドベルクの反戦と平和という生き様を色濃く映し出した貴重なものだそうです。
ポスターアーカイブ
・永井裕明さん、三木健さん、佐藤卓さんの各展覧会ポスターの他、前身の富山県立近代美術館時代にポスターデザインを手がけた永井一正さんのアーカイブがご覧いただけるそうです。(詳しくはコチラ:https://tad-toyama.jp/poster)
(付録)はじめしゃちょーと富山県美術館
・今や日本を代表するユーチューバー、「はじめしゃちょー」が富山県は砺波市ご出身だと知っていましたか?そんなはじめしゃちょーが富山県美術館を紹介している動画がありましたので掲載しておきます。…さすが、有名ユーチューバーだけあってリアクションがとても良く、本美術館の良さが存分に引き出されている動画だと感じました。(アートや美術館にそんな詳しくない方はぜんぶすっ飛ばしてこれだけ見ても楽しめると思います)
ちなみにファンの方はメイキング映像の方もどうぞ。
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