こんにちは、マウスです。
今日ご紹介する美術館、東京都あきる野市にある美術館です。
皆さん、あきる野市、行ったことありますか?先日、玉堂美術館で奥多摩をご紹介しましたが、こちらも西東京の自然豊かな森に囲まれた美術館です。ちなみに「あきる野」の由来は、古来、この地域が秋留郷に属し、旧五日市町にある古社も阿伎留神社と呼ばれていたことによるそう。
その後、市町村合併などにより新市にふさわしい名称として、
・地域一帯の呼び名であり、歴史があること
・未来へ発展する期待がこめられていること
・ひらがなにすることにより、親しみやすいこと
・緑豊かな自然や中心部である秋留台地をイメージできること
などを理由により「あきる」の末尾に「野」を加え、多摩川を境に東の平野の「武蔵野」に対し、西の平野をあきる野とし、新市の名称を「あきる野市」としたものだそうです。(参照:あきる野市HP)
そんなあきる野市にある美術館、とある造形作家の作品を中心に展示されています。どんな美術館なのか、早速見ていきましょう。
このブログで紹介する美術館
深沢小さな美術館
・開館:2002年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、都・市、観光協会HPより転載)
人形劇「プリンプリン物語」で有名な造形作家の作品を展示、あきる野の森に囲まれた美術館
・1979(昭和54)年からNHKで放送された「プリンプリン物語」で知られる現代彫刻家、友永詔三(ともなが あきみつ)さんの作品を展示した美術館。本美術館は友永さん本人が古民家を改修、毎年、改造や改築など、手が加えつづけられています。隣には、友永さんのアトリエがあります。
館内にはいると、妖精のような少女、こびと、キメラをはじめ、幻想的な人や生き物で埋めつくされた世界が。館内はどこかしら懐かしさを感じる空間となっています。 これら人形たちを眺め、子どものころの無垢な空想の世界に想いを巡らせてみてくだい。
友永詔三とは
・1944年高知県で生まれの現代彫刻家。オーストラリアで7年間、パペット製作を学んだのち、1975年に日本でパペット・デザイナーとしてデビュー。その後はテレビのアニメシリーズやCM用の人形をつくっていきます。日本の放送局・NHKで1979年から3年間放送した人形劇シリーズ『プリンプリン物語』のパペットは高い評価を得ます。(この番組には、総計500体のパペットが登場しました。すべて友永さんが考案し、製作したものだそうです)また、1987年にニューヨークの劇場で公演された人形劇、「卑弥呼ー日出る国の女王」で用いられたパペットや小道具を製作。 友永さんが目指しているのは、劣化したら自然界に還れる素材だけを用いて、美術館や芸術作品を創造すること。深沢小さな美術館にあるものはどれも木や紙、石でできており、その着想も森や川に生息する小さな生き物、地元の祭りなど、彼自身が子ども時代に体験した世界を表現しています。
主な展示作品
(本写真はMATCHA-深沢小さな美術館ー魅力あふれる森に囲まれた東京のアートスポット:https://matcha-jp.com/jp/7263から転載しています)※美術館HPはないようです
プリンプリン物語について
・それでは最後に、既にご存知の方もいるかと思いますが、友永さんを一躍有名にしたNHKの人形劇シリーズ「プリンプリン物語」を振り返っておきましょう。
プリンプリン物語とは
・1979年4月2日から1982年3月19日までNHK総合テレビジョンで放送された人形劇。主人公の少女プリンプリンが、まだ見ぬ故郷を探し求めて仲間たちと旅をする、ミュージカル仕立ての物語である。全656回。
物語全体の構成
・主人公である15歳の少女プリンプリンが、見知らぬ自分の祖国と両親を探して、仲間たちとさまざまな国や世界を旅する物語。プリンプリンは赤ん坊の時に、なんらかの事情で箱舟で海に流され、拾われた漁師に育てられたどこかの国のプリンセスであると設定されており、いわゆる貴種流離譚形式※1の物語である。
※1 若い神や英雄が他郷をさまよいながら試練を克服した結果、尊い存在となる物語の一類型
初期のエピソードで、「ラセツの女王」が登場しプリンプリンを「シータ」と呼んだこと、怪人「ランカー」の名前、キャラクターの衣装素材とデザイン、などから古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』をモチーフにしていることが窺える。また、プリンプリンを中心にボンボン、オサゲ、カセイジンといった主要キャラクターたちの造形とパーティの構成から、『西遊記』を意識しているとの指摘もある。
物語の基本フォーマットは、 プリンプリンの祖国に関する手がかりを得てある国を訪れる(あるいは事件・事故によって意図せず別の国に飛ばされることもある) 訪れた国でさまざまな騒動(王位継承問題や政治抗争であることが多い)に巻き込まれる 結局その国は本当の祖国ではないことが判明し、別の国へ向けて旅を続けるというパターンで構成されるエピソードを、短い場合で1 – 2週間、長い場合で2 – 3か月程度のスパンでつないでいく形となっていた。
自身が騒動の発端となる場合もあり(プリンセス帰還のため、既存権力側がプリンプリン排除を試みるアクタ編、デルーデル編など)、またもともと進行中の騒動に巻き込まれる場合もある(プリンセスたるプリンプリンが権力闘争に利用されるケントッキー編、ドオンブリカ編など)。一度訪れた国が再度登場することはほとんどなかったが、いくつかの例外がある(パリ:ケントッキー編とデルーデル編、ガランカーダ:ガランカーダ編は途中にタンガラトントン編を挿んでいるなど)。
また、次の回を放送する際には見逃した視聴者に配慮して、毎回冒頭で前回のあらすじが再演される。物語の節目に放送されていた総集編も過去の放送の再編集ではなく再度演じられている。 各エピソードは、その国がプリンプリンの祖国かどうか、という謎を縦糸にしつつ、その国で出会う風変わりな人物たちと織り成すコメディドラマを横糸として進行する。とくに政治や自然現象などの時事ネタ(当時のチリ独裁政権、中国政府四人組による権力掌握、英国皇太子成婚、惑星直列現象、非核三原則、仏TGV開業など)を、ときには単に駄洒落として、あるいは痛烈に風刺を利かせた舞台装置として物語に積極的に取り込み、NHK連続人形劇としては『ネコジャラ市の11人』(1970年 – 1973年)以来となる3年間にわたる長期シリーズとして、当時の子供たちに人気を博した。
作劇・演出上の特徴
・子供と大人を対置する構図によって、子供の視点からみた大人社会の奇妙さや歪みをユーモアとペーソスを交えながら一貫して描いている。金銭のみを豊かさの基準とし、騙し合いと力の行使によって欲を満たそうとする大人社会の自己中心的な精神構造が、敵役の武器商人「怪人ランカー」として象徴的に描かれる。
一方プリンプリンの味方である大人たちについても、幻の黄金バットを捕まえて名声を得たい(ワット・マイホーム夫妻)、仕事に就いていないと落ち着かない(軍曹)、悪事としりつつ組織の命令には逆らえない(シドロ・モドロ)、天才的な科学者だが役に立たないものばかり作ってしまう(オチャノハッパ博士)など、平凡な大人の小市民的性向がデフォルメされて面白く描かれている。
プリンプリンたちは子供の代表として、時に羽目をはずしつつも子供らしい明快な倫理観で大人の論理に対抗し、多くの印象深いキャラクターたちとの邂逅ののち、やがて物語は最終エピソード(ガランカーダ編後編)でのプリンプリン・ランカーの対峙へと収斂していく。
物語の中で繰り返し語られた平和、祖国、愛、命といったテーマについては、その理想の象徴であるプリンプリンの祖国を登場させる安易な結論付けをあえて避け、プリンプリンたち、さらには視聴者である子供たちが自ら考え、答えを出していくことを促す形で、希望に満ちあふれた未来を予感させながら物語を締めくくった。また憎まれるべき敵キャラクターであるランカーについても、彼自身に立身出世の苦難を語らせるなど、必ずしも「大人=悪」と簡単に断じずに、人間社会の矛盾ややるせなさをさらりと描いてみせた。
諸国訪問といったフォーマットから政治風刺色も濃く、君が代のパロディソングと国歌論が登場したこともある。脚本を担当した石山透によるこれらの作劇と演出は、現在でも当時の視聴者世代を中心に高く評価されている。 物語上特定のナレーターは存在しないが、狂言回し的な要素として「花のアナウンサー」が、テレビのブラウン管から飛び出すなど物理的な制約を無視してたびたび登場し、プリンプリン他のキャラクターとからみながら、物語の進行や解説を担当した。
また、各国の登場人物たちの突飛な行動に巻き込まれる形で話が脱線し祖国探しの物語がよく停滞したが、その都度プリンプリン一行のメンバー「カセイジン」が「予感」によって未来を予言することで物語が新たな局面を迎えることが多く、事実上彼が物語の牽引役を務めていた。なお、カセイジンの予感はほぼ100%的中するが、肝心な情報が曖昧で万全な備えをすることは困難であり、予想外の展開を見せることも多かった。
年末にプリンプリン版紅白歌合戦を催したり、脱ドラマ趣向としては作曲担当の小六禮次郎を番組に引っ張り出したこともある。 過去のNHK連続人形劇と同様、劇中においてプリンプリンをはじめとする登場人物たちが歌を歌いながら踊るシーンが数多く挿入された。訪れた国それぞれにその国のテーマともいうべき歌が設定され、エピソードの初期には毎回1度はその歌が披露された(ただし、長期滞在した国のなかでタンガラトントンのみテーマ曲が存在しない)。女の子が単独で主人公となるのは、NHK連続人形劇としてはこの番組が唯一であり、当時小学生の女の子からは絶大な支持を得ていた。
…友永詔三さんとプリンプリン物語、皆さんどれくらいご存知だったでしょうか。個人的にはもう1つの人形劇「卑弥呼ー日出る国の女王」の方も気になっています。
なお、JR武蔵五日市駅で下車、北口を出ると、かわいい木彫りZiZiと呼ばれるのこびとが出迎えてくれます。(こびとが示す方向に進むと、道端や個人宅の庭、谷、森の木陰につぎつぎとこびとが現れます)…そんな森の妖精たちに胸を躍らせながら、ぜひ友永さんの世界観を体感できる場所へ足を運んでいただければと思います。
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