今週のPickUp!展覧会(会期:2月初めまで)

東京都

○ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜  @静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
 会期:2/3(土)まで

<概要>
・重要文化財の橋本雅邦≪龍虎図屏風≫(1895年)をはじめ、龍のモチーフとする作品を幅広いジャンルから集めご紹介する展覧会。

 想像上の動物である「龍」は、古代中国で誕生しました。
天に昇り、雨を降らせるなど様々な力をもつとされ、強さや権力を象徴する龍は、吉祥図様として、東アジアの絵画をはじめ、数多くの工芸品に取り上げられています。

 中国の「五行思想」とも結びついた龍は、四神の中で東方を護る青龍となり、西方の白虎と“玉環”を取り合う図像も多く認められます。これは陽(東方)と陰(西方)のバランスが取れていることを示し、それにちなむ「龍虎図」がよく知られています。鳳凰と組み合わせて皇帝と皇后を象徴した「龍鳳図」、雲を従わせ天空を飛翔する「雲龍図」、波間に姿を現す「龍濤図」など、龍は多彩な姿で表され、人々に愛されてきました。

これまで公開される機会が少なかった作品も、ここぞとばかりに登場いたします。
古来人々がその霊力、吉祥を呼ぶ力に願いを込めた「龍」の絵画・工芸品を、2024年・辰年正月の「静嘉堂@丸の内」にて、どうぞお楽しみ下さい。

○【特別展】癒やしの日本美術 ―ほのぼの若冲・なごみの土牛―  @山種美術館
 会期:2/4(日)まで

<概要>
-心が温かく、優しい気持ちになれる日本美術で、癒しのひとときを

 日常が大きく揺らぎ、不安定な世界情勢が続く今、「マインドフルネス」、「ウェルビーイング」、「チル」といった心の動きを意識する言葉が時代のキーワードとなっています。その背景として、自分自身の内面と向き合い、心を癒やすことが求められているといえるでしょう。このたび山種美術館では、日本美術の鑑賞を通して、心が癒やされる展覧会を開催します。

 伊藤若冲や長沢芦雪が描いたゆるくてかわいい姿。ユーモアあふれる作品に、自然と笑みがこぼれます。また、愛らしい動物や子どもを描いた作品からは、対象をいとおしむ画家の愛情が伝わってきて、見た目のかわいらしさに心が和らぐとともに、温かな気持ちになります。そして、優しく包み込まれるような自然を描いた川合玉堂の作品や、心地よい音を想像させる上村松園の作品を前にすれば、気持ちがリラックス。さらに、作品の制作が画家自身の心を癒やすことになった例もご紹介します。

心が安らぐ日本美術が並んだ、心地よい展示室で、癒やされるひとときをお過ごしください。

<関連:伊藤若冲>
京都国立博物館
細見美術館
相国寺承天閣美術館
泉屋博古館
岡田美術館
<関連:長沢芦雪>
無量寺・串本応挙芦雪館

○「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄
渋谷区立松濤美術館  会期:2/4(日)まで

<概要>
・美術評論家の瀧口修造たきぐちしゅうぞう(1903-79)、絵画と写真で活躍した阿部展也あべのぶや(1913-71)、そして写真家である大辻清司おおつじきよじ(1923-2001)と牛腸茂雄ごちょうしげお(1946-83)。この4人を結びつける、日本写真史における特異な系譜をご紹介する展覧会。
(→瀧口氏と阿部氏はいずれも岡本太郎と所縁のある人物ですね。福井県立美術館の「北荘・北美」美術運動の中でもご紹介しました。右の検索窓で両者、氏名検索してみて下さい)

 1930年代、海外のシュルレアリスムや抽象芸術の影響を受けて、日本各地に前衛写真が流行。東京では、瀧口や阿部を中心とする「前衛写真協会」が設立されます。技巧を凝らした新奇なイメージが珍重された前衛写真の風潮に満足しなかった瀧口は、「日常現実のふかい襞のかげに潜んでいる美」を見つめ、いたずらに技術を弄ぶべきではないと、熱狂に冷や水を浴びせかけます。しかし、太平洋戦争へと向かう時局において前衛写真が次第に弾圧の対象となっていくなか、この瀧口の指摘は一部をのぞいて十分に検討されることなく、運動は終局に向かいました。

 戦後、個々人のなかに前衛写真の精神は継承され、特需景気、経済成長からその限界へとひた走る戦後の日本社会に反応し続けます。とりわけ、写真家としての出発点において瀧口と阿部に強く影響を受けた大辻と、「桑沢デザイン研究所」における大辻の教え子だった牛腸の二人は、時代に翻弄され移り変わる「日常現実」を批判的に見つめなおし、数々の名作を生み出しました。その写真には、反抗と闘争の60年代が過ぎ去った70年代、変容を遂げつつあった「前衛」の血脈が隠されています。

4人の精神があぶりだす、「なんでもないもの」のとんでもなさ。どうぞ穴の開くほど、じっくりとご覧ください。

○自然とともに ~水や植物のある風景~
○彫刻って面白い! ~これってなんだ?からそっくりまで~
石川県七尾美術館  会期(予定):2/12(月)まで ※令和6年能登半島地震により休館

…最後は残念ながら能登半島地震により被害を受け、臨時休館となってしまった七尾美術館です。
(能登半島にも国内を代表する美術館がありました。皆さんも是非あらためてブログページをご覧いただけますと幸いです)1日も早い復興を祈念して掲載しておきます。

…以前、岩手県はじめ震災関連の美術館をご紹介した際、私たちがあって当然のごとく思っている身近な芸術作品や遺産がこのような自然災害や戦争を含め突然失われるリスク、実際に失われた事例などをご紹介しました。
 あらためて過去の人たちが後世のためにと陰ながらも受け繋いでくれた芸術作品と、それを通して垣間見ることのできる過去のストーリーを、2024年現在、私たちが知ることができる貴重性に感謝しながら今年も過ごしていきたいと感じた次第です。

(マウス)

コメント

タイトルとURLをコピーしました