今週のPickUp!展覧会(会期:12月末まで)

静岡県

○≪見の目弱く、観の目強く≫「火」の声を聴く~いのちの煌めき~ @浜松市秋野不矩美術館
 会期:12/24(日)まで

<概要>
・過酷な環境の中でも懸命に生きる人・動植物。厳しい環境の中で順応して生き抜いてきた姿を捉えた作品を展示。作品を通して秋野不矩自身の生き方に焦点をあてご紹介します。

○栃木県誕生150年記念 下野新聞創刊145年記念 文晁と北斎―このふたり、たたものにあらず
 @栃木県立美術館 会期:12/24(日)まで

<概要>
・江戸時代中期から後期 (18世紀末から19世紀前半) にかけて、 谷文晁 (1763-1840) 葛飾北斎 (1760- 1849)、本展では、その二人の作品を展観することで、江戸時代中・後期の絵画受容のあり方を想像することをも目的に開催されます。

  当時、彼らの人気ぶりは凄まじいものがありました。文晁と北斎はまさに江戸絵画界の二大ブランドといっても過言ではないスーパースターといえるでしょう。 そして、この二人はほとんど同じ時代を生き、制作と研究に力を注いで、3歳ほど年長の北斎は数え90歳、文晁は78歳まで活躍して人生を終えました。

 この両人については、飯島虚心 『葛飾北斎伝』 (1893年刊)に面白いエピソードが残っています。11 代将軍家斉が北斎の評判を耳にし、 浅草の伝法院に北斎を呼びます。北斎はそこで席画の披露を求められますが、その場に呼ばれたもう一人の画家が谷文晁でした。先ずは文晃が見事な席画を描いた後、 北斎は長い紙を広げ、太い筆で藍色の帯を一刷きします。そして、その上に朱色の絵具を足裏に付けた鶏を放ち、その朱の足跡を「龍田川の紅葉でございます」と将軍に申上げたというのです。真偽のほどはわかりませんが、ここには正統派の大御所文晁と庶民派の奇才北斎のコントラストが反映されています。

 文晁による初公開の《東海道・中山道・木曽街道真景図巻》など約40点と、同じく初公開 を含む北斎の肉筆画など約40点、さらには世界的に有名な「神奈川沖浪裏」、赤富士としても名高い「凱風 快晴」など 《富嶽三十六景図》全46図を展示紹介 (半期ずつ)することにより、 江戸絵画の二大ブランドとなった二人の作品の受容の様相を概観します。

○石川真生 ―私に何ができるかー @東京オペラシティ アートギャラリー
 会期:12/24(日)まで

<概要>
・沖縄を拠点としながら精力的な制作活動を続ける写真家・石川真生(いしかわ まお 1953-)の初期からの主要な作品を始め、とりわけ2014年から取り組んでいる「大琉球写真絵巻」の新作を中心に展示し、石川真生の実像に迫る個展を開催します。

 石川の作品は、2004年の横浜美術館でのグループ展「ノンセクト・ラディカル 現代の写真III」において、沖縄以外の美術館で初めて紹介されました。以来、国内外での数多くの展覧会を経て、2021年には沖縄県立博物館・美術館にて回顧展「石川真生:醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。」が開催されました。本展は回顧展で示された成果も踏まえつつ、東京で初めての個展として開催します。

 石川の写真は、国内外にパブリックコレクションがあり、その活動も広く知られているにもかかわらず、これまで発表された作品の流れを紹介する機会が多くありませんでした。本展では、初期の作品から最新作に至るまで、石川の作歴を概観することができると同時に、昨年沖縄の本土返還50周年を迎えるもなお、困難な状況に置かれている現代の沖縄という地政学的な最前線で撮影を続けている石川の活動をご覧いただく好機にもなります。

○IAMAS ARTIST FILE #09〈方法主義芸術〉-規則・解釈・(反)身体 @岐阜県美術館
 会期:12/24(日)まで

<概要>
・ゼロ年代初頭の芸術運動「方法主義」は、同時代芸術を批判し、厳密な規則による絵画・詩・音楽を発表しました。岐阜県美術館と情報科学芸術大学院大学[IAMAS]の連携事業である「IAMAS ARTIST FILE #09」では、IAMAS教員2名(三輪眞弘・松井茂)がメンバーとして参加した「方法主義」の軌跡を辿り、その活動を再考します。

※参考※
足立智美(1972-)
・パフォーマー、作曲家。方法主義の起草に関わり、2001 年まで参加。音響詩、即興演奏、器楽作曲、テ
クノロジーを駆使した多岐にわたる表現を通じて、独自の実験音楽を追求する。

中ザワヒデキ(1963-)
・美術家。90 年代のバカ CG 期を経て 2000 年に方法主義を提唱、方法主義者となる(-2004)。2010―2012
年、新・方法主義者。2016 年「人工知能美学芸術宣言」に端を発する人工知能美学芸術研究会(-現在)。
著書『近代美術史テキスト』『現代美術史日本篇』他

松井茂(1975-)
・詩人、情報科学芸術大学院大学教員。2000 年から04 年まで「方法」同人。「純粋詩」(2001~)「量子詩」
(2002~)などを制作。詩集に『Cycle 自転車をめぐる散文詩の試み』(engine book、2023 年)など。

三輪眞弘(1958-)
・作曲家、情報科学芸術大学院大学教員。2002 年より方法主義に参加し、後に方法芸術を身体運動を通し
て実現する「方法マシン」を結成。方法主義によって生み出された音楽創造の方法論「逆シミュレーショ
ン音楽」を提唱。佐近田展康とのユニット・フォルマント兄弟の兄。

○開館45周年記念 「定本 樂歴代」 @樂美術館
 会期:12/24(日)まで

<概要>
・樂家の伝統と創造にかける歴代の作陶を真正面から捉え、「定本」となるべく、2013年に『定本 樂歴代』が出版されました。

 それから10年。15代が隠居し直入に、16代が襲名により吉左衞門と戸籍より改名し、それぞれの隠居、襲名を経て、『定本 樂歴代』も15代・16代の最新作品を増やし、歴代の印も完全網羅し、新たに改訂版を出版…本展では、改訂新版『定本 樂歴代』掲載作品の中より、長次郎から16代吉左衞門までの代表作となる名品を中心に展観し、また初版から10年の間に考察が進んだ、樂家と外戚になる本阿弥光悦、玉水焼三代を加え、樂焼の歴史、作風の特色とその変遷を探ります。

 樂歴代は、初代長次郎はじめ、それぞれの時代を生き、己の茶碗を新たに生み出してきました。それは、千利休居士の利休道歌の中に出てくる「守破離」の言葉にあるように、変わらない本質と時代変化の中で新たな作風を追求してきたと言えます。まさに「不易流行」。利休居士が求めた侘びの精神を歴代それぞれが軸に据え、今日まで450年にわたりその精神性を茶碗に込め「茶」と共に歩んでいます。

○大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ @国立新美術館
 会期:12/25(月)まで

<概要>
・「存在するとはいかなることか」という問いを掲げ、身体の感覚を揺さぶるような大規模なインスタレーションを創り出してきた現代美術家:大巻伸嗣(1971年岐阜県生、神奈川県在住)の展覧会。

 会場は、国立新美術館で最大の天井高8m、2000m²にも及ぶ展示室をダイナミックに使って開催されます。この広大な空間でなければ展示できないインスタレーションは、観客の身体的な感覚と強く響き合い、細分化した世界に生きる私たちが失った総合的な生の感覚を喚起します。また、展示には、映像や音響、そして詩も用いられるほか、会場内でのパフォーマンスも予定。

 大巻は、現代社会がどのような歴史を経て今に至り、現在どのような問題を抱えているかを深く考察し、それをもとにインスタレーションの着想を得てきました。また、光と闇を重要な要素とする大巻の空間は、太陽のリズムとともに在るこの世界を象徴するかのような始原的な感覚を湛えています。この始原性とも関わるのが、大巻が好んで用いてきた繊細かつ濃厚な装飾的な造形です。人間は、自然を抽象化した文様を身近なものとすることで、自然に寄り添って生きてきたからです。大巻のインスタレーションは、現代社会に対する優れた批評である一方、人間に普遍的にそなわる根源的な造形志向を色濃く反映しているのです。

大巻が創り出す、現代の総合芸術をお楽しみいただければ幸いです。

◆ 大巻伸嗣(おおまきしんじ)
1971年岐阜県生まれ。現在、神奈川県を拠点に制作。「存在」とは何かをテーマに大巻は、環境や他者といった外界、記憶や意識などの内界、そしてその境界にある身体の問題を探求してきました。大巻が生み出した空間で私たちは、外界と内界の相互作用や、時間と空間におけるその揺らぎを、身体的な感覚とともに多義的に経験します。近年の主な個展に、「The Depth of Light」(2023年、A4 美術館、成都)、「地平線のゆくえ」(2023年、弘前れんが倉庫美術館)、「存在のざわめき」(2020年、関渡美術館、台北)、「存在の証明」(2012年、箱根彫刻の森美術館)など。「あいちトリエンナーレ」(2016年、愛知)ほか国内外の数多くの国際展にも参加してきた大巻は、近年、「Rain」(2023年、愛知県芸術劇場/新国立劇場)などの舞台芸術でも活躍しています。

○現代版画の小宇宙 金子コレクションから @福島県立美術館
 会期:12/27(水)まで

<概要>
・福島県伊達市出身の精神科医・⾦⼦元久⽒は、現代日本の版画や蔵書票の収集家としても知られています。当館では2022年度に同氏から130作品の寄贈に加え、400点以上の作品の寄託を受けました。なかでも木版画家・黒崎彰の作品は90点にも上り、初期から晩年まで彼の作風をたどることができる貴重なコレクションと言えます。
 その収集品は、どれもコレクターの深い愛情が詰まったものばかりで、ひとつのまとまり(小宇宙)を形成しています。本展は黒崎彰に加え、木口木版画家・柄澤齊や銅版画家・北川健次、日本の現代美術の動向のひとつである「もの派」を主導した李禹煥(リ・ウファン)など、戦後の⽇本版画界を代表する作家から、シャガールのポスターまで、約250点の作品を通して、同氏のコレクションの全貌に迫ります。

(マウス)

コメント