○企画展「春を待つ―清方が描いた新春―」 @鎌倉市鏑木清方記念美術館
会期:1/8(月・祝)まで
<概要>
・鏑木清方が新春の風情に取材した作品や口絵、雑誌の正月号の附録となった双六などをご紹介する展覧会。あわせて、清方作品を名匠・永井周山が意匠化した押絵羽子板「明治風俗十二ヶ月」も展示。
大正から昭和にかけ近代化が進んだ東京では、伝統的な季節の風習は徐々に忘れられつつありました。それでも昭和の初めころまでは、正月に晴れ着姿で髪を島田に結った女性や新春の寿ぎを唄い踊る萬歳の姿がみられたといいます。
江戸から続く風習や季節の行事を大切にしていた清方は、新年を迎えると氏神や七福神へ詣でたり、弟子たちと新年会を開いて宝珠の寄せ描きをするなど新春の吉例を楽しんでいました。そして、松飾りを外し、七草粥を食べて正月気分も落ち着く頃には、日常に戻ることに寂しさを覚えつつも春が来るのを心待ちにしていました。
○上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす―菌類、植物、動物、人間 @東京都美術館
会期:1/8(月・祝)まで
<概要>
・人間以外の自然界のいきものを「うつす」ことに取り組み続けてきた6名のつくり手たちをご紹介する展覧会。
創作・表現活動において、動物や植物という題材は非常にポピュラーなものですが、今回注目するのは、特定のいきものと分かちがたい関係を結び、数十年にわたり高い熱量を絶やすことなく、それらの姿を追いかけ続けた/続けているつくり手たちです。
偶然の出会いを機に野生きのこに魅了されて以来、様々な土地に生息するきのこを探し描き続けている小林路子(こばやし みちこ)。
明治末~昭和期の画壇で活躍する一方、少年の頃から草花を愛で、それらの姿を日々描き記録し続けた辻永(つじ ひさし)。
木象嵌職人として鍛え上げた手わざにより、日本におけるバードカービングの世界を切り拓いた内山春雄(うちやま はるお)。
詩的かつ実験的作風で戦後写真界に躍り出たのち、その後半生をサラブレッドの撮影にささげた今井壽惠(いまい ひさえ)。
大学在学中に牧場で出会ったウシに魅せられ、酪農の現場で働きながらウシたちの存在を木版画に刻み続けている冨田美穂(とみた みほ)。
世界各地の動物園やアフリカの野生に暮らすゴリラを追いかけ、心を交わし、描き記してきた阿部知暁(あべ ちさと)。
ひとつの主題を切実に求め、それらの姿を写し、描き、かたどることを通して、それぞれのつくり手たちは何を見つめてきたのでしょうか。本展では、「うつす」という営みの中で繰り広げられる、他者との触れあいの様々なあり方と向き合いながら、私たち人間が他のいきものたちと共に生きていく未来について、考えていきたいと思います。
※「上野アーティストプロジェクト」は、「公募展のふるさと」とも称される東京都美術館の歴史の継承と未来への発展を図るため、公募展に関わる作家を積極的に紹介する展覧会シリーズとして2017年より毎年異なるテーマを設け開催しています。
○青空は、太陽の反対側にある 原美術館/原六郎コレクション @原美術館 ARC
会期:1/8(月・祝)まで
<概要>
・本展では、「青空は、太陽の反対側にある」をキーフレーズに、自身の理想を求めて当時の美術的・社会的動向に背を向けた荒川修作や久保田成子、ギルバート&ジョージやヨーゼフ ボイスなど、国内外の作家の表現を展観します。
雲ひとつない晴れた日に原美術館ARCを訪れて最初に目にするもの――それは大きな青空です。青空と山々の深緑や紅葉、そして青空と端正な黒色の磯崎新建築とのコントラストは、恐らくここでしか見ることのできない感動の光景。しかしよく見ると、青空の青さにはわずかに濃淡があります。輝く太陽の周りは少し白っぽく、太陽から離れるにつれ青さが増してゆく。思い描く理想の青い空は太陽の反対側にあります。
現代美術ギャラリーA、B、Cでは、常識や慣習、既存の価値観に抗うことで、または視点を変えることで独自の地平を切り開く作家や、声高ではなくとも社会や美術の潮流に疑問を呈する作家、そして自身の心に深く潜ることで新たな表現を浮上させる作家の作品を紹介します。
一方、特別展示室 観海庵には、鎖国の江戸期に西洋絵画や科学に傾倒した司馬江漢や、「朦朧体」と揶揄されながらも墨線を否定し、独自の表現を切り開いた横山大観の作品を展示します。また、通常は東京国立博物館に寄託している原六郎コレクション、『青磁下蕪花瓶』(国宝)と『青磁袴腰香炉』がお里帰り(展示期間:3月24日~4月26日)。どちらも爽やかな青空色が美しい名品です。さらに、「光悦本」と呼ばれる希少な古活字本である『謡本』を帖を替えながら通年展示。記録に残る限りでは、『青磁袴腰香炉』は明治45年に東京帝室博物館(現 東京国立博物館)開催の特別展覧会「和漢青磁器」展以来の一般公開、『謡本』は初公開となります。
○企画展 大倉組商会 150 周年 偉人たちの邂逅 ―近現代の書と言葉― @大倉集古館
会期:1/14(日)まで
<概要>
・大倉集古館には、大倉喜八郎と交流をもった中国清時代や、明治大正の偉人たちの書が所蔵されています。彼らは折に触れ歌を詠み、それを贈り合いました。また、喜八郎自身は、光悦流と称する自らの書風によって歌を書きあげ、嫡子の喜七郎は、松本芳翠に書を学び、友とともに漢詩を作り軸に仕立てました。大倉財閥150年をめぐる偉人たちの交流の跡を示す書の数々を展示いたします。
○ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち @NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
会期:1/14(日)まで
<概要>
・「ICC アニュアル」は,2006年度から2021年度まで開催し,多くの方々に親しんでいただいた「オープン・スペース」展を、その役割やコンセプトを継承しながら、2022年度より、長期展示としてリニューアルした展覧会です。 今年度のICCアニュアルでは、拡張された現実世界としての仮想世界が、私たちの生活環境として浸透しつつある現在、物事や出来事のかたちはどのように変化するのか、私たちの記憶、ふるまいはどのように表わされうるのかを、さまざまな異なるテーマの作品から考察します。
現在、仮想世界は拡張された現実世界として,私たちの現実の一部となり、ヴァーチュアルなものもまた現実世界における実在とみなされるようになっています。メタヴァースやミラーワールドといった現実世界の拡張された場としての仮想世界が、現実世界と連続した新しいリアリティを持ちはじめ、そこでは,リアル(現実)とヴァーチュアル(仮想)という二項ではなく、フィジカル(物理空間)かデータ(情報空間)かの違いととらえられています。
私たちをとりまく見えないものごとの数々にかたちを与えることは、これまでもアートの領域で大きなテーマとなってきました。データの視覚化や解析の方法によって、得られる結果が変わっていくように、さまざまな不可視の事象にかたちを与えるのかによって、さまざまな表現の可能性が広がっています。
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