〇札幌美術展 マイ・ホーム(仮) @札幌芸術の森美術館 会期:3/9(日)まで
<概要>
・ホーム(home)には、住宅、家庭、故郷、発祥地、本拠地などの意味があります。本来あるべき場所、 頼りとなるものというニュアンスを含む言葉です。昨今では、パンデミック、地域の過疎化、都市開発、移民問題、民族紛争など、ホームを揺るがしかねない出来事が相次いでいます。物質的もしくは精神的な「よすが」であるはずのホームは、思いがけず頼りなかったり、移ろいやすかったりするのかもしれません。
本展では、暮らし、制度、ルーツ、コミュニティーなど、ホームを形づくる様々な要素をテーマとした作品を紹介します。私たちが「仮に」身を置いているだけなのかもしれない、頼りなくも愛しいマイ・ホーム。 北海道にゆかりのある作家7人の創作を通じて、そのあり方を見つめ直します。
〇IAMAS ARTIST FILE #10 繭/COCOON:技術から思考するエコロジー @岐阜県美術館 会期:3/9(日)まで
<概要>
・柔らかな繭玉のなかで、幼虫はその解剖学的形態をことごとく脱ぎ捨て、飛翔する蝶の生として生まれ直す。
イタリア出身の哲学者コッチャは『メタモルフォーゼの哲学』の「技術についての新たな考え」において、「繭」は個体によって製造された、生まれた後の卵であり、「メタモルフォーゼ」は純粋に技術的であると説く。 「繭」は、技術についてのわたしたちの理解を覆す。 わたしたちは技術を、人間に都合のいい世界を作るための便利な道具、あるいは身体の延長であると考えることに慣れている。いっぽう「繭」は、自らを内部で変化させると同時にそれを取り巻く世界を作り変える。
技術が人間だけのものではないと気がつけば、わたしたちは世界に対してより深く共感できる。このような考えは、喫緊の課題である今日のエコロジー問題を乗り越えるための新たな視座を与えてくれるだろう。 芸術もまた、生きることと共にある「技術」である。本展では、多様なアプローチを通じて、その可能性を模索する。
〇阪神・淡路大震災30年 企画展 1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち @兵庫県立美術館 会期:3/9(日)まで
<概要>
・阪神・淡路大震災から30年を迎えるに際し、6組7名のアーティストによるグループ展を開催します。
1995年1月17日の震災では、兵庫県立美術館の前身である兵庫県立近代美術館(1970-2001)も建物や収蔵品に被害を受けました。同館を引き継ぎ、2002年に震災復興の文化的シンボルとして開館した当館では、これまでも震災後の節目の年に関連展示を開催してきましたが、今回が初めての特別展会場での自主企画展となります。
1995年から2025年までの30年の間に、アメリカ同時多発テロ(2001年)、東日本大震災(2011年)、ロシア軍によるウクライナ侵攻(2022年)、そしてイスラエルとハマスの軍事衝突(2023年)、能登半島地震(2024年)と、世界は多くの自然災害や紛争に見舞われてきました。明るい未来を想像することはますます困難な状況となっていますが、そのような時代に求められる希望とは――。
簡単には答えの出ないこの問いを、それでも、あるいはだからこそ考え続けるための、ひとつの場となることを目指し、本展を開催します。アーティストとその作品、何らかの出来事と、それらと出会うみなさんが展覧会という場につかのま集うこと。言い換えれば、今それぞれに生きる「わたしたち」こそ「希望」の出発点にほかならない、そのような思いを展覧会名に込めています。
〇evala 現われる場 消滅する像 @NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 会期:3/9(日)まで
<概要>
・いわゆる視覚を中心にした表現領域である「美術(visual arts)」に対し,聴覚を中心にした表現として「サウンド・アート」があります.サウンド・アートでは楽音(楽器で演奏される音)によらない,自然環境音を録音した素材などの,さまざまな音が使用され,「聴くこと」自体を主題とするなどの特徴によって,同じく聴覚による芸術表現である音楽と区別されています.それは,聴くことから広がる知覚世界の提示という側面を持っています.ゆえに,サウンド・アートは,見ることに偏重した美術に対して,もうひとつの見ることを提示する表現でもあると言えるでしょう.
evalaは,2000年代以降,個人としての活動のみならず,多くのコラボレーションを行なうなど,幅広い分野で活躍する音楽家でありサウンド・アーティストです.2017年からは,新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」を国内外で展開しています.ほぼ音だけで構成されているにも関わらず鑑賞者の視覚的想像力をも喚起する作品群は,既存のフォーマットに依拠しない音響システムを駆使した独自の「空間的作曲」によって,文字通り「耳で視る」ものとして高い評価を得ています.
2013年にevalaと世界的なサウンド・アーティストである鈴木昭男とのコラボレーションとしてICC無響室で制作,発表された《大きな耳をもったキツネ》は,後に「See by Your Ears」となるevalaの活動の方向性を定めた原点と位置づけられる作品となりました.
「evala 現われる場 消滅する像」展は,作家の活動史においても重要な作品を制作するきっかけとなったICCを会場に開催される,「See by Your Ears」シリーズの,本展のための新作を含めた,現時点における集大成となる展覧会です.《大きな耳をもったキツネ》や,そこから発展し多くの国々で発表されてきた作品,さらにICCで最も大きな展示室を全室使用した大型インスタレーションほか,複数の新作によって,精緻に構築された音響空間のなかで,聴くことと見ることが融け合う新たな知覚体験をさまざまな方法で提示します。
〇黒い美術(ART) @逸翁美術館 会期:3/16(日)まで
<概要>
・美術に欠かせない色、黒。絵画における水墨画、書における古筆や墨蹟は、黒い墨の濃淡で様々な風景や人物を描き分け、墨のかすれや線の太さや細さで、絵画や文字を書く人の個性を表します。
また、工芸品においては、黒い釉薬の焼き物や、日本人に馴染みの深い漆を用いた作品などがあります。焼き物では、釉薬や焼成方法、温度や作られた場所などによって黒の発色が異なり、漆芸品では、漆の性質や塗り重ねられた上に磨かれることで生み出される艶のある黒など、それぞれが古から多くの人々を魅了してやまない”黒”色です。
今回の展覧会では、そうした黒をモチーフにした作品に注目し、水墨画や古筆切、墨蹟などの掛軸や、樂茶碗や瀬戸黒茶碗、漆を用いた棗や盆、器などを収蔵品の中から展示し、黒い美術(ART)を取り上げます。
〇星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido @北海道立近代美術館 会期:3/16(日)まで
<概要>
・9名のアーティストと10名の学芸員それぞれがピックアップした当館の「北海道の美術」コレクション、アーティストの自作、学芸員によるコレクション研究の成果を一堂に展示します。北海道美術史を複眼的に読み直す試み。企画協力はCAI現代芸術研究所/CAI03。
■アーティスト9名が、時空を超えたコラボレーション!
・札幌を拠点に活躍する現代アーティスト9名が作品を選び、自作と共に展示します。
■学芸員10名が、調査しまくり、書きまくる!
・学芸員10名がコレクションを選び、調査・研究により明らかになった作品の新たな一面をテキストと展示でお伝えします。
〇奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展 @WHAT MUSEUM 会期:3/16(日)まで
<概要>
・この展覧会は、美術家・奥中章人氏による体験的なバルーン状彫刻作品をご紹介するものです。奥中氏は、「空気と水と光」を題材に巨大な作品を制作し、鑑賞者の感覚を揺さぶる体験を生み出してきました。展覧会タイトルである「Synesthesia(シナスタジア)」とは共感覚を意味しますが、奥中氏はこの言葉を独自に解釈し作品に落とし込みました。感覚することが、自然・社会・人を繋げる可能性になるのではないかと考え、作品も従来の形から有機的な形へと変貌しています。
本展では、今回のために特別に制作された、最大直径12メートルにもおよぶバルーン状のインスタレーション作品を発表します。展示室いっぱいに膨らみ、さまざまな色に変化する作品の内側には、大きな水枕が置かれています。空気と水と光という「形のない」ものを媒介に、人々の感覚を呼び起こし響きあいます。形を持たないはずの存在を感覚することで、他者と身体的感覚を超えた「つながり」をも感じることでしょう。
奥中氏は、科学技術社会学の分野を中心に活躍した哲学者ブリュノ・ラトゥールの影響を受けています。元々学んでいた教育学と社会学に、自然と社会の二元論を支柱とした近代のあり方を見直すことを提唱するラトゥールの思想が加わっています。本展示では、奥中氏の哲学的思考から生まれた作品の背景や、作品に落とし込むプロセスの一端も展示資料でご覧いただけます。
実際に作品に触れ、中に入り、寝転びながら、五感を交えた体験をしていただくことで、自然や社会、他者との「つながり」を感じるきっかけを提供します。
・・・最後のWHAT MUSEUMは最新の美術館紹介でもブログにしています。皆さま是非足を運んでみてください。
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