子どもの感性を大切に、多様なものを受け入れる寛容さと心豊かに生きることができる未来の創造にむけて 熊本市現代美術館

熊本県

こんにちは。本ブログも(途中飛ばした都県を除いて)いよいよ残すは4県です。九州は各県主要な館1館ペースで進んでいますので、もしかすると一巡してまたいくつかご紹介するかもしれません。(九州、実は福岡以外はそこまで私設美術館、公立館含め数は少なく、一方でその館に集中して良質なコレクションが存在しているのが特徴だと個人的には思っています)

今日ご紹介する館、九州で唯一の「現代」を冠たる美術館です。(恐らく九州は青木繁や黒田清輝はじめ近代洋画が伝統的に強い土地柄も影響しているのだと考えています)

そんな九州唯一の「現代」を冠とする美術館、作品もジェームス・タレル、マリーナ・アブラモヴィッチ、宮島達夫、草間彌生という現代を代表する4人の作家とともに、開館の契機となり日展の理事も務めた井手宣通氏の寄贈品を軸に展開されています。そんな魅力的な常設コレクションがある美術館、早速ご紹介しましょう。

このブログで紹介する美術館

熊本市現代美術館 CAMK

・開館:2002年
・美術館外観(以下画像は美術館HP、市観光協会HPより転載)

・場所
熊本市現代美術館 – Google マップ
→熊本市中心市街地の真ん中に建つ「びぷれす熊日会館」の3階に設置されています。

※熊本日日新聞社の移転に伴い、その跡地に建設された建物。 熊本城を真正面に望み、古くから熊本を代表する中心市街地に立地、館内にはホテル日航熊本、鶴屋百貨店New—S館、熊本市現代美術館、カルチャースクール、武道場、コワーキングスペースなどが入居する複合ビル。

多様なものを受け入れる寛容さと心豊かに生きることができる未来の創造にむけて

ミッション

・多様なものを受け入れる寛容なまちと市民が心豊かに生きることができる未来を創造する。

ビジョン

・一人ひとりの市民にとって、なくてはならない「現代の美術館」をめざす。

日常的に多様な文化に触れることのできる場となる
心を揺さぶられるさまざまな機会をつくる
市民とともにまちの未来について考え続ける

沿革

・1993年、井手宣通画伯の遺族から熊本市へ、同氏の主要な作品が寄贈されたことを発端として美術館建設計画が始まる。
・1997年、熊本市議会にて上通A地区第1種市街地再開発事業に参画し、美術館を建設することを表明。
・1997年、熊本市企画調整局企画広報部文化振興課(当時)内に美術館建設プロジェクトを設置。
・1997年、美術館建設の基本的考え方及び機能・活動等を検討するため「熊本市美術館建設検討委員会」が発足。
・1998年、熊本市美術館建設検討委員会が美術館の建設構想を示した中間答申書を提出。
・1999年、熊本市美術館建設検討委員会が最終答申書「熊本市美術館の目指すべき構想について」を提出。
・2000年、美術館が建設、上通A地区市街地再開発ビル建設工事起工式を行う。
・2000年、熊本市企画調整局(現企画財政局)内に「美術館設立準備室」を設置。
・2001年、「熊本市現代美術館条例」が制定され、美術館の管理運営を財団法人熊本市美術文化振興財団が行うこととなる。
・2002年、上通A地区市街地再開発ビル建築工事を竣工し、美術館部分が熊本市へ引き渡される。
・2002年、熊本市現代美術館を開館。

→どうでもいいですが、この沿革、美術館HP(https://www.camk.jp/about/museum/)を参照にしていますが、HP本文はほとんど「~される」、「~が行われる」、「引き渡される」など、少し主体性のない文章表現になっているのが気になります。もう少し「~する」、「~を行う」、「引き渡す」と前向きな言葉を使った方が、せっかく九州では滅多にない現代美術の良い展示をされているので勿体ないと感じましたのでここに記載しておきたいと思います。

(参考)熊本市現代美術館パンフレット

→ところで、本美術館は昨今流行りの「指定管理方式」を採る館ですが、こちらに最新の事業計画と予算書が載っていましたので、更に興味ある方はご覧ください。  ※公の施設をノウハウのある民間事業者等に管理してもらう方式のこと。

令和4年度事業計画
令和4年度予算書

→あまり語られることはないですが、このような熊本市街中心部に立地する現代美術館を運営するには年間3億5千万円ほどかかるようですね。逆に言えば、年にそれだけ財を投入すれば美術館を運営できるわけですから、資産をお持ちの方はこれを機に検討されてみてはいかがでしょうか(笑)

主なコレクション

・国際的に活躍する4名のアーティストの作品が、館内のさまざまな場所に建築と一体化した形で設置されています。

ジェームズ・タレル

・1943年、アメリカのロサンゼルス生まれ。光のアーティストとして知られ、眼だけでなく、五感に響く神秘的な空間を作り出す。

マリーナ・アブラモヴィッチ

・1946年旧ユーゴスラヴィアのベオグラード生まれ。コミュニケーションの意味を問うパフォーマンスやインスタレーションで知られる。

草間彌生

・1929年、長野県生まれ。60年代以降、ニューヨークをはじめ、世界各国でドット・ペインティング(点による絵画)や前衛的なパフォーマンスを展開する。

宮島達男

・1957年、東京都生まれ。発光ダイオードが数字を刻むように点滅する作品によって、独自の世界観を表出する。

坂口恭平パステル画

・坂口恭平が描いたパステル画のオンライン・カタログ・レゾネ。
https://www.camk.jp/art/sakaguchi/

安本亀八

中島千波

アンドレアス・グルスキー

一番最初に描いた絵のアーカイブ~天才の誕生

・最後に、これまで数多の美術館をご紹介してきて、非常にユニークだと感じた取組みがありましたのでこちらに掲載しておきます。以下は美術館のHPからの抜粋です。
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初めて書いた絵を覚えていますか?
一番最初の絵は、世界にたったひとつです。その「天才の絵」を熊本市現代美術館にメールで送ると、
美術館に保管され、いつでも好きなときにパソコンで探して見ることが出来ます。
自分や友達や家族の初めての絵、「天才の絵」。
一枚の絵が天才の誕生をこっそり教えてくれるかもしれません。
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https://www.camk.jp/art/tensai/

→いかがだったのでしょうか。子どもの感性を大切にされている熊本市現代美術館。コンセプトは「多様なものを受け入れる寛容さと心豊かに生きることができる未来の創造」ですが、それは子どもの時分に戻ることなのかもしれないですね。そんなことを考えさせてくれる美術館、ぜひ足を運んでみて下さい。

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