今週のPickUp!展覧会(会期:2月末まで)

愛知県

○決定版! 女性画家たちの大阪  @大阪中之島美術館
 会期:2/25(日)まで

<概要>
・約百年前の大阪では多くの女性日本画家が活躍しました。大正元年(1912)に島成園(しま・せいえん)が20歳で文展に入選すると、その成功に触発された木谷千種(きたに・ちぐさ)や生田花朝(いくた・かちょう)なども官展に入選を重ねます。また、美人画や歴史風俗画に加えて、江戸時代から大阪に興隆した南画(文人画)の分野においても、河邊青蘭(かわべ・せいらん)や融紅鸞(とおる・こうらん)などが実力を発揮しました。

本展では、「島成園と浪華の女性画家」展(2006年)の開催を端緒とする調査研究に、近年の新たな成果を加えて、全国的にも注目を集めた50名を超える近代大阪の女性日本画家の活動を約150点の作品と関連資料でご紹介。

 成功を収めた女性画家は、自らの画業を追求するにとどまらず、後進の女性を育成するため画塾を開きます。門下生たちも師に続いて公募展や塾展に挑み、大阪の女性画家の裾野はさらに広がりました。当時の美術界は、東京と京都がその中枢を担い、制作者は男性が大多数を占めていましたが、女性日本画家の活躍において大阪は他都市と肩を並べており、その存在は近代大阪の文化における大きな特色のひとつとなりました。お稽古事や趣味にとどまらず、画家として社会的な成功を夢見た女性たちを育んだ、大阪という都市の文化的な土壌についても考える機会を提供します。

○生誕120年 古賀忠雄展 塑造(像)の楽しみ  @練馬区立美術館
 会期:2/25(日)まで

<概要>
・佐賀県佐賀市に生まれた古賀は、1926年に東京美術学校彫刻科塑像部本科に入学し、在学中の1929年第10回帝展に《佛心》を出品し初入選。その後帝展で活躍し、戦後は日展の評議員、理事を務めながら、日本彫塑会委員長、日本陶彫会会長などを歴任しました。本展では、こうした古賀の活動の中から「塑造(像)」に注目、約30点の塑像に加え区内または他地域に設置された作品をパネルで紹介し、古賀作品の魅力はもちろん、塑造(像)を様々な側面から見て考える楽しみを提示します。

 古賀は、ロダンやブールデル、北村西望等の影響を受け、写実の中にやや誇張した表現を取り入れながら、安定した形態を持つ人体や動物を多く制作しています。その作品は地元の佐賀県や練馬区内をはじめ、全国各地の公共空間にも設置されています。木や石を彫り刻む技法「彫刻(carving)」に対し、粘土などを足し引きし形を生み出す「塑造(modeling)」で作られる塑像は、作品の制作過程や作家の姿勢に、他ジャンルとは少々異なるポイントがあります。

<関連>
佐賀県立博物館・美術館

○レトロ・モダン・おしゃれ 杉浦非水の世界  @ヤマザキマザック美術館
 会期:2/25(日)まで

<概要>
・ポスターや書籍・雑誌のデザイン、広告・商標・パッケージデザイン、写生を旨とした杉浦非水―丹精込めて制作した木版画集『非水百花譜』など数多くの作品を分野別に展観し、その魅力に迫る展覧会。非水の生きた時代と足跡を多面的にご紹介します。

 日本のグラフィックデザインの先駆者 杉浦非水(すぎうら ひすい/1876-1965)。多摩帝国美術学校(現 多摩美術大学)初代校長としても知られています。愛媛県松山市出身の非水は東京美術学校日本画科を卒業後、師と仰いだ近代洋画の巨匠、黒田清輝(くろだ せいき)がフランスから持ち帰った1900年パリ万国博覧会の絵葉書や資料等によってアール・ヌーヴォーのデザインを知り、さらに1922-24(大正11-13)年のヨーロッパ留学によってアール・デコをはじめとするヨーロッパ美術・デザインの潮流に触れました。

 非水は様々な影響を受けながらも、特徴を的確に捉える鋭い観察眼、時に繊細優美、時に大胆で力強い変幻自在な作風で、カルピスやヤマサ醤油、東京地下鉄道(現東京メトロ)、鉄道省(現JR)名古屋鉄道局などのポスター、ジャパン・ツーリスト・ビューロー(現JTB、日本交通公社)の機関誌『ツーリスト』、たばこのパッケージなど数々の名デザインを生み出し、近代化されていく日本の商業世界を彩りました。 特に三越との結びつきは強く、1908(明治41)年の入社以降1934(昭和9)年の退社まで、三越のポスターや広報誌『みつこしタイムス』『三越』などのデザインを一手に引き受け、「三越の非水か、非水の三越か」と言われたほどでした。

 また、非水の旅行鞄や滞欧日記、滞欧期スケッチ、『三越』表紙デザインを柄模様とした長襦袢、非水のポスター中の女性をほうふつとさせるレセプション・ドレスやシャネルのデイ・スーツなども合わせて展示しています。

<関連>
東京藝術大学美術館
愛媛県美術館
宇都宮美術館

○奈良美智: The Beginning Place ここから  @青森県立美術館
 会期:2/25(日)まで

<概要>
・国際的に活躍する美術家・奈良美智(なら・よしとも)の個展。

 奈良美智は1959(昭和34)年、青森県弘前市に生まれました。愛知県立芸術大学で本格的に絵画を学び1987年に同大学大学院修士課程を修了すると、翌年にはドイツに渡り、国立デュッセルドルフ芸術アカデミーで学びながら制作を続けます。2000年に帰国してからは、国際的な評価へとつながる大規模な個展の数々を、国内はもとより欧米やアジア各地で開催しています。約40年に及ぶその歩みから生み出された、孤独にたたずむ鋭い眼差しの子どもの絵画やどこか哀しげな犬の立体作品は、国や世代を超えて多くの人々の心を捉えてきました。

 本展は、前回の「君や 僕に ちょっと似ている」展(2012-13)から約10年ぶりの当館での個展となります。東日本大震災以後の奈良は、自らがよって立つ地盤を確かめるように、たびたび過去に意識を向けています。自分史に関わる土地に旅をしたり、旧作を新たな眼差しで捉え直したりなど、過去との出会いを通じて奈良は「自分の時間軸に一本の幹を見つけ」ようとしています。本展では、感性の起源(はじまりの場所)へと至る「一本の幹」を探り当てるべく設けられた5つのテーマの中で、近年の作品と共に学生時代にまでさかのぼる秀作の数々を展観いたします。

 タイトルの「The Beginning Place」とは、奈良の創造の「はじまりの場所」としての「故郷」を示唆すると同時に、奈良の作品との出会いが生み出す「はじまりの場所」を意味します。過去と現在を行き来するように旧作と近作が織りなす展示空間から、美術館の外に続く作家の郷里の風景へと、この展覧会を通じた体験が、訪れる人にとって、希望をはらんだ何かしらの「はじまりの場所」となることを願ってやみません。

<関連>
原美術館ARC
東京オペラシティアートギャラリー
高松市美術館

○企画展「若冲と応挙」  @相国寺承天閣美術館
 会期:2/25(日)まで

<概要>
・18世紀の京では、多くの絵師が各々の画技をふるいました。なかでも、伊藤若冲と円山応挙は現在も愛好者の多い、人気の絵師です。本展覧会では、相国寺と伊藤若冲の関係を軸に、相国寺と相国寺塔頭所蔵の作品を公開。Ⅰ期は円山応挙の傑作、重要文化財《七難七福図巻》全三巻と画稿、下絵を、Ⅱ期は伊藤若冲の傑作、重要文化財の《鹿苑寺大書院障壁画》五十面を公開します。

<円山応挙:関連>
三井記念美術館
岡田美術館
無量寺・串本応挙芦雪館
群馬県立近代美術館

<伊藤若冲:関連>
京都国立博物館
細見美術館
泉屋博古館
岡田美術館
静岡県立美術館
島根県立美術館

○名品展 国宝「紅白梅図屏風」  @MOA美術館
 会期:2/27(火)まで

<概要>
・MOA美術館のコレクションは、創立者・岡田茂吉(1882 ~ 1955)が蒐集した日本・中国をはじめとする東洋美術を中心に構成されています。その内容は、絵画、書跡、彫刻、工芸等、多岐にわたり、各時代の美術文化を語る上で欠くことの出来ない作品を含んでいます。なかでも国宝「紅白梅図屏風」は、江戸中期の絵師・尾形光琳の最高傑作と高く評されています。本作品は二曲一双の金地を背景に白梅と紅梅を対峙させ、図案化した梅花や水流を配し装飾的な画面をつくりあげています。

 本展では、「紅白梅図屏風」をはじめ京焼の大成者・野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」、三大手鑑の一つとして著名な手鑑「翰墨城」の国宝3件の同時公開に加え、コレクションの各ジャンルを代表する名品を精選して展観します。梅花咲き誇る2月、隣接する瑞雲郷梅園とともにぜひご鑑賞ください。

<尾形光琳:関連>
静嘉堂文庫美術館
大倉集古館
京都国立博物館
樂美術館
岡田美術館
大塚国際美術館
大阪市立美術館

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